数量限定で11月4日に新発売する『SLEEPY OWL』
薩摩酒造といえばこの夏、数量限定で発売したプレミアム芋焼酎「MUGEN白波」が記憶に新しいが、今回は麦焼酎を12年間かけて木樽で熟成した“本格派リキュール”だというから、麦焼酎&ウイスキー好きの食指が動いてしまうのは致し方ない。
縁あって発売前に『SLEEPY OWL』を試飲する機会を得たので、忖度なくレビューさせていただくことにした。
焼酎蔵に専門の“樽職人”がいる、という強み
まず驚いたのが、“樽職人(クーパー)”の存在である。薩摩酒造には焼酎の蔵元で唯一、樽職人が常駐している。これは薩摩酒造の主力商品のひとつ、貯蔵した麦焼酎「神の河(かんのこ)」の存在によるところが大きい。この神の河という酒、焼酎なのにほんの少しだけ琥珀色をしている。
これはウイスキーの熟成にも使用されるホワイトオーク樽に、焼酎の原酒を3年以上貯蔵し熟成しているためだ。この酒を飲んだことがあればわかると思うが、味は尖りがなく非常にまろやかで、鼻腔に抜ける香りがうっすらとスモーキーさをまとっている。
そこで思い出して欲しいのは、ウイスキーの原料だ。基本的にウイスキーは穀物類を原料としている。大麦を用いたモルトや、トウモロコシやライ麦などを使用するグレーン、米を使うライなどが有名どころだ。作り方に違いがあれど麦焼酎とウイスキー(の一部)は麦を原料とすることに共通点がある。ならば、貯蔵や熟成の段階でウイスキーのように木樽に保存することに違和感はないだろう。
話が少し逸れてしまったが、つまり何が言いたいのかというとウイスキー蒸留所でもないのに“樽をメンテナンスするための職人”が常駐する薩摩酒造は、焼酎業界では異端であるのと同時に挑戦者だということ。さらに職人の存在だけでなく、「樽工房」や「樽貯蔵施設」まで備えているというから、伝統を守ってきた歴史ある焼酎蔵にも関わらず、酒造りに対して進歩的なマインドを兼ね備えているのがわかる。
本格麦焼酎をホワイトオーク樽で12年熟成させるとどうなるか?
さて、『SLEEPY OWL』の話に戻ろう。冒頭でも触れたがこの酒は法律に則り「リキュール」に分類されている。
「焼酎」を「ホワイトオーク樽で12年熟成」させて「リキュール」。
いささか納得がいかない感もあるのだが、それは国の決まりごと。とはいえ、試飲する前から「ウイスキー7割:焼酎3割」のつもりで心構えている。というのも「神の河」の3年貯蔵の4倍もの時間をホワイトオーク樽で熟成しているのだ。それってもうさ、ウイスキーになってるんじゃない? と思ってしまう。
箱からボトルを取り出してさらに確信を深めた。美しい琥珀色の液体はウイスキーそのもの。光にかざして見れば濁りのない美しさがある。さっそく開封し、香りを嗅いでみるとハニーナッツのようなバニラのような、優しくて香ばしい甘さが薫る。焼酎とは違い、(個人的によく飲む)モルトやバーボンのような強さもない。ただ、ウイスキーといわれれば納得してしまうニュアンスだ。
ストレートとロックで味わってみたのだが、どちらも“とても美味しい”と感じた。というのも香りの印象と同様に、口当たりが優しく麦の甘さを感じられる味わいで、樽の焦がし(チャー)の塩梅が絶妙なのか、嫌味のないスモーク感が唯一無二の飲みやすさを造り出している。
アルコール度数が40度あるとは思えない飲みやすさ、といえば伝わるだろうか。“カッ”とこないのだ。“スルっ”といってしまう。
ナイトキャップにぴったりな1本に仕上がっている
『SLEEPY OWL』という名前に込められた思いを聞いて、試飲は1日の終わりにしようと決めていた。
直訳すると眠たいフクロウ。夜行性のフクロウでさえも眠たくなってしまうような、心をほぐす癒しのお酒をイメージして名づけました。九州の南部には焼酎を飲むことで1日の疲れを取る「だれやめ」という焼酎文化が存在します。1日の終わりにアロマを感じさせる極上の樽の香りで楽しむ新しいお酒スタイルを提案します。(薩摩酒造)
この提案が本当に正しいのか確かめてやろう! という意地悪心が働いてしまったのだ。
そして感服した。優しい味わいがふかふかの羽毛布団のように1日の疲れを癒してくれる。“リラックスする”という目的のもと、この酒は誰かとワイワイ飲むのではなく、ひとり静かにリビングで傾けようか。そんな余韻を残してくれた。
【商品概要】
商品名 :SLEEPY OWL
品 目 :リキュール
原材料 :本格麦焼酎(国内製造)、食物繊維
アルコール分:40%
内容量 :720㎖
参考小売価格:6,000円 (税抜)
発売地域 :全国
販売方法 :数量限定販売
▶︎薩摩酒造公式HP
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