67347ソロでバイクで行ってきた! 涼しさ際立つ夏の高原キャンプとは?

ソロでバイクで行ってきた! 涼しさ際立つ夏の高原キャンプとは?

編集部
目次

街の暑さに音を上げて、目指すは高原の風が心地良い八ヶ岳。その麓のカラマツ林の中に佇むキャンプ場で一夜を過ごす。必要最小限のギア類で楽しむバイクツーリングのキャンプ旅。

■街の暑さを理由にしてハンドルを高原へ向ける

昔は人の行き来がたやすくできなかったであろうと想像に難くない険しい峠。その峠をつらぬく長いトンネルを抜けると、道は大きな盆地に向かって一気に下っていく。視線の遠くには南アルプスの峻険な高峰が天を衝くような入道雲を背負って影絵のように連なっている。その風景を目にする度、街を抜け出て遠くまで来たということをいつも実感する。

街を脱出する言い訳は暑さだった。気休めとはわかっていても高原の冷涼なイメージに誘われて今こうしてバイクの上にいる。

向かっているのは八ヶ岳の麓に広がる高原地帯にそっと佇むカラマツ林に囲まれたウッドペッカーキャンプ場。高原観光地の喧噪から離れているので、静かで、そして涼やかな夜を過ごすことを期待してバイクにキャンプギア一式を積んで高速道路をひた走っている。

「大滝湧水」に立ち寄る。

目的地のインターの一つ先で高速道路を降りた。そこには八ヶ岳から湧き出る湧水が点在しているからだ。八ヶ岳南麓高原湧水群と称され、代表的な湧水地として「女取湧水」「大滝湧水」「三分一湧水」が挙げられる。そのうちの一つ、大滝湧水を目指す。

●日本名水百選の一つ

山梨県北杜市長坂町と小淵沢町に点在する八ヶ岳南麓高原湧水群の一つ。水温は年間を通じて約12℃。日量約2万2000tという水量を誇る。

大滝湧水
山梨県北杜市小淵沢町上笹尾2734-2
TEL:0551-30-7866(北杜市観光協会)
アクセス:中央自動車道「小淵沢IC」より約15分

■湧水群と林間のサイトで高原の冷涼感を満喫する

中央自動車道の小淵沢ICから約10分、森の中に鎮座する大滝神社に目的の大滝湧水を見つけた。木をくり抜いた樋口から流れ落ちる八ヶ岳からの湧水の勢いは暑さを吹き飛ばしてくれるようだ。

近くのベンチでは湧水でコーヒーを沸かしている人の姿もみられる。水を汲み終え、次に目指すのはやはり八ヶ岳南麓高原湧水群の一つ、三分一湧水。大滝湧水から約10分ほど。

ユニークな名前の湧水池「三分一湧水」。

このユニークな名前の由来は湧水地に掲げてあった看板によると「昔、湧水の利用をめぐり長年続いた水争いを治めるため、三方の村々に三分の一ずつ平等に分配できるよう工夫したことからきています」とある。

先人の知恵に感嘆しながら、今は涼やかな風景を堪能している。暑さを寄せ付けない湧水地の森の中にいつまでも佇んでいたいが、そうもいかずキャンプでの食糧を確保するため北杜市の地元農家の組合が営んでいるパノラマ市場に向かう。

三分一湧水からJR小海線沿いに東へ約15分。パノラマ市場は甲斐大泉温泉パノラマの湯に隣接している。ここは地消地産にこだわり、近隣の生産者が栽培した地場野菜を販売している。

今夜のメニューは「地場野菜や高原野菜丸ごと入りカレー」と「アスパラにバラ肉巻炭火焼き」、そしてキャンプ場の名を冠して売られている「ウッドペッカーワイン」だ。

高原といえども容赦ない日差しを降らす太陽がほぼ真上に来た頃、昼食をとることにする。清里の駅付近からキャンプ場に向かう国道沿いに山梨の郷土料理であるほうとうの店「甲州ほうとう小作 清里高原店」の看板が目に入った。

この暑さで“ほうとうか?”とも思ったが、郷土料理は外せないと思い直す。冷たいものを摂取しすぎた体に、この温かく優しい味がしみ込んでいくようだった。

腹ごしらえも終えてキャンプ場へ向かう。須玉ICへ向かう国道141号線を南下すれば目指すキャンプ場までは約15分。チェックインを終えて早速サイト作り。

テントとタープを張り終えたら受付で購入したウッドペッカーワインをチビリチビリ飲みながら夕食の準備だ。何も急ぐことはない。木々の間からの風を感じながら、市場で買ってきた地場・高原野菜をつまみつつ炒める。

太陽はまだ高いが日差しは周囲のカラマツが遮ってくれる。チェアに座って脚を伸ばし思いっきり欠伸をする。そんな時間が木々に囲まれた青空の下の空間に流れるのを満喫する。キャンプの醍醐味はそうした時間を感じることなのだろう。

カラマツ林の低い位置から夕方の日が差す頃、火を熾しランタンに明かりを灯した。やっていることといえばワインを飲みながらアスパラの炭火焼きをつまんだり料理を口に運ぶだけ。地球の動きに身を委ね、ただ夜が更けるのを待つ時間。

気がつくと頭上には星が煌めいていた。ほろ酔い気分でシュラフにもぐり込むと、いつの間にか深い眠りに落ちていた。

日が暮れて夜の帳が下りる頃、火を見つめて過ごす自分時間の始まりだ。

●湧水分配のシステム

江戸時代に湧き出す水を三等分した農業用水で、6つの村、3地域に分けたことからこの名になったといわれる。

三分一湧水
山梨県北杜市長坂町小荒間292-1
TEL:0551-30-7866(北杜市観光協会)
アクセス:中央自動車道「長坂IC」より約10分

●地元農家の野菜市場

近隣の生産者の栽培した地場野菜を販売している。スタンダードな野菜から、ちょっと珍しいものまで。全て会員が育てた新鮮な野菜が並ぶ。

パノラマ市場
山梨県北杜市大泉町西井出8240-2305
TEL:0551-38-1705
営業時間:9:00~15:00(7~9月は16時まで)
アクセス:中央自動車道「長坂IC」より約12分

●夏でも山梨名物ほうとうを食す

武田信玄が野戦食として用いたことから甲州に広く根付いたと言われる山梨の郷土料理「ほうとう」。ほうとうのラインアップも豊富。

甲州ほうとう 小作 清里高原店
山梨県北杜市高根町清里3545-118
TEL:0551-48-2801
営業時間:11:00~20:00
定休日:無休
アクセス:中央自動車道「須玉IC」より約15分

■心地良い風の中での目覚めのんびりとコーヒーを味わう

周囲に響くキツツキのドラミングが目覚まし代わりなのは高原ならでは。カラマツ林に囲まれているおかげで、まだ朝日は差してこない。夏はそれがありがたい。日が差すとテントの中は熱せられて入っていられないからだ。

生まれたての朝の空気に囲まれて、コーヒーを飲むためにバーナーに火を付ける。昨夜はぐっすり眠ったおかげか目覚めは悪くない。チェックアウトの時間まではカラマツ林が生む風を満喫しよう。手持ちぶさたな時間が何よりのご馳走である。のんびり朝食をとり、またコーヒーを淹れる。そのうちカラマツ林の高さを超えた日差しがテントサイトを照らし始めた。それを合図にのんびりと撤収を始める。

素晴らしいサイトに別れを告げ、キャンプ場からは八ヶ岳に向かってツーリングを開始する。たぶん気温は猛暑日の数値近くまで上がっているのだろうが、バイクを走らせているおかげで受ける風は心地良い。

木漏れ日の中でキャンプ場をチェックアウト。

標高を上げるたび、周囲の景色は田園風景から高原野菜の畑に変わってきた。八ヶ岳に目を移すと、今日は湿気があるのか山の稜線に雲がかかっている。それでも山の麓の空気は街のそれよりも断然気持ち良い。

JR鉄道最高地点を過ぎ、その足で、パラボラアンテナがズラリと並ぶ野辺山宇宙電波観測所に立ち寄り、渋滞を避けるため早めに高速道路に乗った。気がつくとハンドルを握りながらもう次のキャンプの予定を頭に描いているのだから困ったものである。

●標高1375mはJR最高所

1375m。JRの路線で一番の標高。野辺山駅と清里駅の間で最高地点を示す木製の標柱と線路の反対にも石碑が設置されている。

JR鉄道最高地点
長野県南佐久郡南牧村野辺山217-1

●パラボナアンテナが並ぶ

長野県の野辺山高原に位置し観測所構内の一部を公開している。見学コースは自由に入場できる。

野辺山宇宙電波観測所
長野県南佐久郡南牧村野辺山462-2
入場無料、自由見学
見学時間:8:30~17:00
休日:年末年始
アクセス:中央自動車道「道長坂IC」より30分

■キャンプサイト情報

●ウッドペッカーキャンプ場

1985年オープンの静かなカラマツ林の中にあるキャンプ場。五感を刺激する青い空、樹木の緑、木漏れ日、林を抜ける風の音や、木々や落ち葉に囲まれてリラックスできるキャンプ場だ。

山梨県北杜市須玉町上津金2449-5
TEL:0551-46-2450
営業:4月中旬~11月20日
料金:入場料大人800円、車1台2800円(テント一張+タープ)~、環境料300円
チェックイン:12:00~17:00、チェックアウト:13:00(ピーク時はin14:00〜17:00、out11:00)
アクセス:中央自動車道「須玉IC」「長坂IC」より約20分 
https://www.woodpecker-cs.com/
※開設期間、シーズン料金などの詳細はHPでご確認ください。

Text/Takeo Aki Photo/Shogo Motobayashi

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