洗練された都会的なエリアから少し離れれば、人情味あふれる下町の風景が広がる大阪。昭和レトロを味わい楽しむ夜の旅へ、いざ出発。
(※その他の写真は【関連画像】を参照)
※この記事は2024年11月号に掲載されたものです。
■薪焚きの風呂に浸かり、昭和ノスタルジーに浸る
ハシゴ酒を楽しんだ後は、銭湯で昭和の香りを楽しむのはどうだろう。東京に次いで銭湯が多いという大阪。薪で焚いている銭湯があると聞き、近鉄電車に乗って「布施駅」に向かった。
商店街から少しはずれた場所にある「戎湯」。先代が初代から引き継いだのが昭和33年(1958)。初代がいつ始めたかは不明だが、おそらく戦後だろうと3代目の和田裕之さんが教えてくれた。


戎湯は地域の人々が日常的に集う「庶民の風呂場」。地元の常連さんたちが次から次へと暖簾をくぐって入ってくる。日課として毎日同じ時間に通う人も多いそうだ。
建物は昭和当時のまま、浴場は少しずつ手を入れているが、レトロなタイルやアーチ型の入り口など昭和の香りがあちこちに残っている。脱衣所で昭和のマッサージチェアが現役でスタンバイしているのも嬉しい。
戎湯では2代目の時代から薪でお湯を沸かしている。薪は近隣の工場や工務店などから出る廃材を活用。薪で焚くと、じわじわとお湯が温められるので冷めにくく、体もじんわり温まる。

布施の商店街の活性化をめざす「SEKAI HOTEL」の“外湯”として提携していることもあり、最近は若い人たちの利用も増えてきた。
銭湯は初めてという若者に、「それはな、こうすんねん」と常連さんが時に優しく、時に厳しく風呂の入り方を教えてくれるそうだ。
また、家に閉じこもりがちなお年寄りがここで知り合った人と連れだって買い物に行く、というような交流も生まれている。



「昭和の時代は銭湯が生活の一部でした。今も昔も、人と人の交流の場であることに変わりはありません」と和田さん。
昭和ノスタルーにあふれるお湯に浸かりながら、人の温もりの温かさをしみじみ感じられる銭湯である。




ロッカーやベビーベッド、マッサージチェア、コイン式のドライヤーなど、昭和レトロなアイテムが並ぶ懐かしい雰囲気の脱衣所。女湯には懐かしのお釜型ドライヤーが鎮座する。もちろん現役で愛用する常連さんも。
戎湯
大阪府大阪市生野区小路東1-20-6
TEL/06-6751-4353
営業時間/13:30~23:30
定休日/水曜
⚫︎もっと街に溶け込むなら「SEKAI HOTEL」
商店街に点在する空き家をリノベーションして客室にした「まちごとホテル」。周辺の店と提携することで商店街全体を盛り上げている。

大阪府東大阪市足代1-19-1
TEL/06-6748-0750
料金/1泊朝食付8500円~
■昭和スタイルを味わい尽くす「大阪の名銭湯」
大阪の銭湯の数は東京に次いで2位。人口比は日本一だ。大阪の暮らしに溶け込んだ銭湯を創業年とともにご紹介。
⚫︎大阪一熱い風呂「末広温泉」(昭和32年)
マニアの間では温冷浴の聖地と呼ばれる銭湯。つねに45℃に調整された温湯は大阪一熱いのだとか。


大阪府大阪市平野区背戸口2-1-19
TEL/06-6703-5356
営業時間/14:00~24:00
定休日/金曜
料金/520円
⚫︎心を癒す柔らかな湯「寿楽温泉」(昭和38年)
一度は閉業したものの、再オープン。開業当時の雰囲気をとどめた内装が美しい。湯はすべて軟水。


大阪府大阪市住之江区北加賀屋1-10-1
TEL/080-4788-9586
営業時間/15:00~22:00
定休日/水曜
料金/490円
⚫︎工場街のオアシス「八坂温泉」(昭和元年)
松下幸之助も利用したことがあるといわれる老舗の銭湯。電気風呂や乾式サウナも備えている。


大阪府大阪市福島区大開2-8-21
TEL/06-6461-0255
営業時間/14:00~25:00
定休日/第2・4木曜
料金/490円
※この記事は2024年11月号に掲載されたものです。
文/いしだかおり 撮影/渡部健五
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