■自分で壁を塗りアンティークなテイストになじむ空間の妙
●神奈川県/W邸
(※その他の写真は【関連画像】を参照)
※この記事は2025年3&4月号に掲載されたものです。
南側に向いた窓から、初冬の柔らかな陽光がリビングに差し込む。天然素材のカーテンを通してオーク材の床が、アンティークテイストになじむ白壁が、光を吸い込み、あるいは反射させる。
ここは神奈川県の丘陵地帯。Wさんは新興住宅地に最初に建った築27年のマンションを購入。84㎡、4部屋だったこの物件は、リノベーション会社でデザイナーを務める奥さんが自ら設計し、アンティーク調の住まいへと生まれ変わった。

【POINT】窓際の植物
窓際には観葉植物とドライフラワーを並べる。写真の枝はヤナギ。支えのガラス瓶が陽光に照らされ雰囲気を醸し出す。
【POINT】籠もらないスペース
ワークスペースは、ドアを付けない構造。「完全に籠もらない、家族がいる感覚で仕事をしたい」という希望からの設計。
【POINT】すべて真鍮製
本棚の金具、ハンガー、ブラケットライトや電灯スイッチもすべて真鍮製。使い込んでにじむ「経年変化」を楽しむ。
【POINT】窓際のスペース
窓際の天井にアイアンバーを設置しており、陽光あふれるスペースでゲストのコートを掛けることもできる。
「お客さまに提案しても採用されなかったアイデアを、あえて実験的に詰め込んでみました」
奥さんはそう語る。エントランスから招かれれば深緑の壁、電灯のスイッチは経年変化を楽しめる真鍮製、廊下を進んで英国渡来のアンティーク扉を開ければ視界は広く開ける。
キッチンにリビング・ダイニングは柔らかな光に包まれる大空間。一歩置いて「夫婦の書斎」がある。
収納部屋と窓の間の幅2m弱、奥行き2m半ほどの空間が、ここでいう秘密基地。上には本棚、前には真鍮のライト、造り付けのテーブルにはパソコン2台が並ぶ。

奥さんは出社、デザイナーのWさんは完全在宅での仕事だが「『家に誰もいなくても、家族がいるような雰囲気がほしい。完全に籠もりきりにならないような感じがいい』という夫の意見に、私が考えました。後ろはすぐ窓なので光が入る、ドアがないので籠もりきりになりません」と奥さん。
「非常に快適ですね。籠もり空間で空調が届きづらいのでサーキュレーターで空気を入れ換えるようにしています、何より明るいので、ありがたい空間です」と、Wさんも語る。

2人で並んで席に着ける、ゆったりした空間。それぞれの席には上から真鍮のライトが暖色系の明かりを投げかける。
部屋はちょうど南向きの角部屋、前は大通りで遮るもののない立地ゆえ、恵まれた陽光は部屋に直接差し込み、2つ折りにされたカーテン生地が光力を適度に優しくすることで、安らぎを演出してくれる。
隣室は、今は納戸部屋として使われている空間。いずれは子ども部屋に改装する予定だが、子どもが部屋に籠もって勉強するのではなく、パパと窓際に並んで勉強できるようにと親子の対話も予感させた秘密基地だ。



視線をリビングからダイニングに戻せば、8人は席に着ける大型テーブル。「テーブル位置を考えて部屋を設計した」とこだわる品で、天板に浮き出す無垢板の木目も趣深いアンティークテーブルだ。
窓から入る朝の光は角部屋という環境も相まって寝室も照らし、自然な目覚めをもたらしてくれる。
ともにデザインしたことで、2人の暮らしも深まったと語る。部屋とともに新たな人生を刻んでいく。


■Favorite Item
⚫︎コーヒーカップ

奥さんはお茶、Wさんは珈琲が好き。お好みはケニア産の浅煎りとか。取材陣のために手ずから珈琲を淹れてくれた。
⚫︎お気に入りのチェア

チェアは部屋になじみ、長時間の作業にも使いやすいものをセミオーダー。ダイニングのチェアは、ラタンのチェア。
■Idea
●壁を塗る

壁は「ポーターズペイント」の塗料。ザラザラした質感がアンティークになじむ。廊下の水回りは深緑色、リビングはカシミヤ、夫婦で色を相談して決めたうえで、すべて手作業で塗り上げたとのこと。

上の写真は、その折の「記念のハケ」。84㎡の壁、リビングから廊下まですべて仕上げた想いがこもる。
棚は韓国のブランド「ファーニハンター」。小物を飾る。
■Owner’s voice
夫婦2人でのワークスペースですが、将来子どもができたら親子で並んで使えるよう妻に設計してもらいました。

【取材協力】
リノべる。
東京都港区南青山5‐4‐35 たつむら青山ビル
03-5766-2590
https://renoveru.co.jp/
取材・文/角田陽一 撮影/黒田雄一
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