107282三陸・常磐の“潮の香”を、旬の技で。全国136の名店が紡ぐ「三陸・常磐うみうまフェア」の奥深き世界

三陸・常磐の“潮の香”を、旬の技で。全国136の名店が紡ぐ「三陸・常磐うみうまフェア」の奥深き世界

合同会社エーライト
菅堅太(エーライト)
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世界三大漁場の一つに数えられる三陸・常磐の海。寒流と暖流が交わるこの豊かな水域が育んだ水産物は、古くから食通たちを唸らせてきた。その至高の素材を、全国各地の名店がそれぞれの感性で仕立てる「三陸・常磐うみうまフェア」が、2026年2月1日から28日まで開催されている。

和洋中、さらにはエスニックやスイーツまで、過去最大規模となる全国136店舗、約300種類ものメニューが展開される今回のフェア。単なる復興支援の枠を超え、日本の水産資源のポテンシャルを再発見する貴重な機会となっている。その熱気の一端を、東京・西葛西の名店での体験を通してレポートしたい。

全国5エリア、名店たちが挑む「素材との対話」

今回の「三陸・常磐うみうまフェア」の最大の特徴は、その圧倒的な規模と多様性にある。主催する復興水産加工業販路回復促進センターの呼びかけに応じたのは、関東、愛知、関西、広島、福岡という全国5つのエリア。老舗のお好み焼き店から気鋭のベーカリー、さらには京都発のガーデンレストランまで、ジャンルを問わない強者たちが名を連ねた。

各店に課せられたのは、現地から直送される選りすぐりの水産加工品を使い、自店の個性を活かした「オリジナルメニュー」を開発すること。料理人たちは、三陸・常磐の素材が持つ「鮮度」「旨味の強さ」「扱いやすさ」に驚き、それらをどう一皿に昇華させるか、真剣な「素材との対話」を繰り広げてきた。その成果が、いま全国のテーブルに並んでいる。

五感で楽しむ居酒屋空間。西葛西「あばら大根」のこだわり

今回取材に訪れたのは、東京・西葛西に店を構える海鮮居酒屋「あばら大根 西葛西店」。暖簾をくぐり店内に一歩足を踏み入れると、そこにはどこか懐かしく、活気あふれる居酒屋空間が広がっていた。

足を伸ばして寛げる掘り炬燵形式のテーブル席が並び、ふと壁に目を向ければ、躍動感のある文字や可愛らしいイラストが目を引く。これらはすべて、お店で働くアルバイトスタッフが自ら描いたものだという。手書きならではの温かみが、マニュアル化されたチェーン店とは一線を画す、この店独自の「居心地の良さ」を演出している。

同店を運営する株式会社そらが大切にしているのは、単に空腹を満たす場所としての飲食店ではなく、「ご家族でも楽しめる、五感に響く体験(コト)づくり」だ。舌で味わう美味しさはもちろんのこと、目や耳、鼻、そして肌で感じる空気感。そのこだわりは、今回のフェアメニューにも色濃く反映されている。

理念「体験づくり」が結実した、至福の「海グラタン」

同店が提供する「三陸の恵み 海グラタン(税込1,078円)」は、まさにその「体験(コト)づくり」を形にした一皿だ。使用されているのは、青森県・マルゲン水産の「冷凍真タラフィーレ」、宮城県・三養水産の「冷凍1粒むき身牡蠣(IQF)M」、そして宮城県・川村海産の「三陸産肉厚わかめ」。これら三陸の豊かな素材の個性をどう組み合わせるか、料理人たちは時間をかけて熟考を重ねたという。

テーブルに運ばれてきた瞬間、クライマックスが訪れる。お客様の目の前で、スタッフがバーナーを手に取り、グラタンの表面を豪快に炙り始めるのだ。バチバチという小気味よい音、チーズが溶け出す視覚的な変化、そして一気に立ち上る香ばしい匂い。これこそが、同店が追求する「五感での体験」である。

スプーンを入れれば、上品な味わいのタラ、ぷっくりとして旨味の強い牡蠣が顔を出す。ホワイトソースにはワカメの旨味を凝縮させたエキスが練り込まれており、和食の技法としてポテトサラダの中に「ガリ」を加えることで、濃厚ながらも最後まで飽きさせない軽やかさを実現している。

蟹酒の余韻とXO醤が描く芳醇な逸品

続いて、テーブルを彩ったのは「ズワイの味噌甲羅〜蟹酒(税込1,628円)」。飛騨コンロの上で焼かれたズワイガニの蟹味噌は、磯の香りと濃厚な旨味が凝縮されており、これ以上ない酒の肴となる。

印象的なのは、そのフィナーレだ。味噌を食べ終えた後の甲羅に、日本酒を注いで楽しむ「蟹酒」は、まさに通の愉しみ。蟹の細胞から溶け出した旨味と日本酒が混ざり合う黄金の液体は、三陸の海の豊かさを改めて教えてくれる。

さらに、一献のスタートにふさわしいのが「旨味帆立とコラーゲンXO醤クリチーポテサラ(税込858円)」だ。使用されているのは、宮城県気仙沼市で作られた「気仙沼旨味帆立とコラーゲンのXO醤」。帆立やさまざまな材料が織りなす芳醇な香りと深みが、クリーミーなポテトサラダやクリームチーズと見事に調和する。

和と中華の要素が融合したこの一皿も、同社が培ってきた多彩な業態のノウハウが活かされた逸品といえる。

あばら大根 西葛西店
東京都江戸川区西葛西6-17-12 第三関口ビル101
TEL:050-5868-4625
営業時間:月~土17:00~25:00、日16:00~24:00
公式HP:https://www.sola-japan.co.jp/shoplist/abaradaikon-nishikasai/

一皿の向こう側に、豊かな海を感じる喜び

「三陸・常磐うみうまフェア」が提供するのは、単なる美味しい食事だけではない。それは、東北の海の力強さと、それを支える人々の技術、そして全国の料理人たちの創意工夫が結実した、一つの文化交流の場である。

ポテトサラダに添えられた「XO醤」ひとつをとっても、現地の加工業者が素材の旨味を凝縮させて作った逸品だ。そんな細部に宿る「海の恵み」を、私たちは全国の身近な店で体験することができる。

フェアの期間は、立春を過ぎてもなお寒さが残る2月末まで。三陸・常磐の海の幸を肴に、東北の酒を酌み交わす。そんな豊穣な時間が、全国136の店舗で待っている。一皿の向こう側に広がる豊かな海を想いながら、ぜひ自分だけの“うみのうまい”を見つけに出かけてほしい。

三陸・常磐うみうまフェア
開催期間:2026年2月1日(日)〜28日(土)
参加店舗:全国136店舗
公式HP:三陸・常磐うみうまフェア

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合同会社エーライト

代表は1992年、大阪府出身。出版社、編集プロダクションで書籍・雑誌の制作に携わり、独立後の2019年には記事制作会社「合同会社エーライト」を設立。月刊誌『男の隠れ家』の編集としてお世話になった経緯もあり、現在は「男の隠れ家デジタル」でも記事制作を行っている。

仕事ばかりしすぎて「趣味ってなんだっけ?」と思いつつも、取材先やネタ探しで出会うものに影響を受けがち。毎年のように和歌山でワーケーションを行ってるほか、最近は別府温泉にハマり、半年で4回も訪れるほど。生粋のキッチンドランカー。

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