5500種に及ぶクラシックカメラの修理経験が裏付ける信頼

「1970年代以前の機械制御式カメラは、部品さえあったら手で直せます」と、早田清さんは言う。浅草で60年以上続く「早田カメラ店」の2代目は、40数年前に父から店を継いで以来、ひたすらカメラを分解し観察することで整備の腕を磨いてきたそうだ。

早田カメラ店では、自社販売したカメラは無償で修理を引き受けているが、他店で購入した品までは受け付けない。2002年に「ハヤタ・カメララボ」を開いたのは、現在は店長を努める根本泰人さんをはじめ熱心なファンの説得によるものだ。

早田清さん。クラシックカメラの魅力を語れば話は尽きない。

「修理業者の中には、いいかげんな修理をするところも少なくなかったのです。どこをどう処理したか正確な説明もなく、そもそもきちんと直っていないこともよくありました。しっかりした修理工房を開く必要があると痛感していました」と話す根本さんは、もともとカメラ約600台を持つマニア。早田さんの技術に惚れ込み、勤め先を退社してラボを預かることを選んだ。

カメラを開くための工具はメーカーによって違う。手に入らない場合は自作もする。

修理は会員制を取っている。互いの信頼関係がなければ、大切な愛機を扱えないという信念があるからだ。預かったカメラは、1回目は必ず分解してオーバーホールする。すでに修理の手が入っているかどうか、依頼以外にも不具合がないかなど見るためだ。

分解の過程は細かに画像に残し、報告書を作り、部品を別のカメラから手当てする場合はそのカメラの画像も添える。そうして費用もすべて明確にしたうえで、持ち主の意向を確認して修理する。修理後は1年間の保証付きだ。

内部に繁殖したカビの掃除途中の「ライカM4」。

今、クラシックカメラと呼ばれるものは世界に6500種あるといわれる。ラボでは、そのうち5500種あまりを扱ってきた早田さんと、10~20年の整備経験を積んだ早田さんの弟子たちが修理を受け持つ。

「難しいカメラほど面白い。ハッセルブラッドのギア部分など、設計者との知恵比べです」と早田さん。

検品は根本さんの担当。「私自身、ほかで何度も嫌な思いをしていますから。使う側の立場で徹底的にチェックしています」

高い経験値を元に、丁寧にカメラの修理を行う。

おかげで開業後6500台以上修理してきて、再修理が必要となるケースは、非常に少ない。会費は初年度5500円、翌年から3300円。状態検査や操作法の相談、カメラ検索などのサービスが受けられるほか、早田カメラ店での購入も割引になる。会員になれば1割引きで買える。

文/秋川ゆか 写真/遠藤純