現在開催中の東京都美術館の他、福岡、名古屋にも巡回を予定しているゴッホ展。アートに明るくない人もその名は知っている、さらには代表作を1〜2作品挙げられるという人も多いだろう。

■ゴッホといえば?
フィンセント・ファン・ゴッホといえば、「ひまわり」や自画像の他、「星降る夜」や「星月夜」など星がきらめく夜空を題材にした代表作品を思い浮かべることだろう。そして、一部の人は、ゴッホと聞けばやはりあのアーティストを一緒に思い出してしまうと思う。
■クリスチャン・ラッセンとは?

「ゴッホより〜普通に〜」…芸人・永野さんのギャグのおかげで、ゴッホとラッセンがセットで頭に浮かぶようになったという人は、ラッセンの作風もなんとなくイメージできることだろう。
青い海の中を泳ぐイルカや、月明かりにきらめく海の上をしなやかにジャンプするイルカなど、幻想的な海を題材にしたラッセンのアートはバブル期に大流行し、ラッセンの絵を専門に販売するギャラリーは街に点在していた。
■ゴッホとラッセン、アート的価値は?
いうまでもなく、ゴッホとラッセンは時代もジャンルも異なることだらけで比較するに及ばないが、ゴッホの作品の中で最も高額で落札されたのは「医師ガシェの肖像」。ニューヨークで開催されたクリスティーズのオークションで、落札価格は8,250万ドル(現在の約93億円)だった。
ラッセンのアートは、上記したギャラリーで売られていたようなポスターが身近だが、人気のピーク時にはけっこうな高額で販売されていたものも、1つの版画から数千枚単位で刷られて販売されていた作品だと希少性が低いため、価格的な価値はかなり下がってしまっている。だがラッセン作品にはアクリルや水彩で描かれた原画作品もあり、現在も定着したファン層がいるため数十万〜数百万円で取り引きされることもあるという。
■ゴッホ派? それともラッセン派?
アートの価格的価値は、作品そのものよりも、作品が誕生した背景やアーティストの生き様などによって付加価値が与えられることが多い。アートの知識がなくても、技術的な評価が分からなくても、好みのアートを見つけたらそれは自分にとって価値のあるものだ。
ゴッホ派もラッセン派も、それ以外派も、自分が普通に好きだと思えるアートを愛でながら、芸術の秋を楽しもう。