【プロフィール】
パンツェッタ・ジローラモ(タレント・57歳)
1962年イタリア・ナポリ生まれ。建築一家の三男として、ナポリ大学在学中に亡き父の後を継ぐ。主に政府からの依頼を受け、歴史的建造物の修復にたずさわる。1988年から日本在住。2014年3月には、「連続して最も多くファッション誌の表紙を飾った数(男性モデル)」という記録名でギネスワールドレコーズ2014に世界記録として認定。現在も更新中。

運転している時が一番贅沢で豊かな時間です

「仕事へは支障がない限りクルマで向かいます。妻を乗せて買い物にも行きます。女性をエスコートする時にも欠かせませんね。あとは家族で旅行に出かける時もクルマを運転することが多いです。普段の生活で、僕はいつもクルマで移動している」

今年で57歳になるジローラモさんがクルマに乗り始めたのは20代の頃。以来、40年間で60台ほどのクルマを購入し、乗り替えてきた。新車もあればクラシックカーもあり、様々なタイプのクルマに乗ってきたが、選ぶ際に重視するのは、スタイリッシュで内装がきれいで、飽きないこと。そして機能性も大事だという。

「クルマにはそれぞれに個性があるでしょ。ハンドルの遊びの割合とかタイヤのキレ具合。ブレーキのかかり具合やエンジン音、座席のカバーなどもね。それは特にクラシックカーに強く残っていて、その一台一台に、前に乗っていた人の面影みたいなものがある。それを私の個性に変えていくのはとても楽しいことです」

まさに根っからのクルマ好きであるジローラモさんだが、クルマを“眺めて愛でる派”ではなく“運転して楽しむ派”。その気持ちの底には、何においても「美しいものを追求したい」という熱い思いがある。審美眼を研ぎ澄ませば研ぎ澄ますほど、何かを選ぶ時に美しく、良いものを選べるようになる。ジローラモさんの審美眼は、〝どんなクルマに乗るか〟を考えたこれまでのクルマ遍歴によって磨かれてきたといえる。そして、ジローラモさんが最近巡り合ったのが「アルファロメオGT1600ジュニア」。このクルマは友人のディーラーが見つけてくれた。

そして、ジローラモさんにとって、とても懐かしい一台なのだという。「私が子どもの頃、お父さんが乗っていたのは、今から50年ほど前に生産されたスポーツカータイプのアルファロメオだったんだ。F1なんかのレースに出ていたクルマで、僕は子どもだったけど欲しいと思いました。でも、フェラーリやランボルギーニと並ぶ高級車だから、当時、手に入れるのは到底無理。だから、GT1600ジュニアを見た時、とても懐かしい思いがしました。わずか1000台ぐらいしか生産されていない貴重なクルマだからです」

アルファロメオGTのエンジンは1600だがパワーは 十分。「エンジンもシンプルでいい」とジローラモさん。

「あのクルマが欲しいと強く思えば、願いは叶うもの」

それに加えて、最近、愛車がもう一台増えた。それが「フィアット124スポーツスパイダー1800」だ。一般的にフィアットはイタリアの国民車であり、代表的な大衆車。しかし、このクルマは高級車の部類に入る。そのため、アメリカをはじめ世界的に人気が高い。

このフィアットがジローラモさんにとって特別なクルマとなったのは、生まれて初めて買い求めたのが、フィアットだったからだ。「運転免許を取ったのは18歳の時だった。カッコつけるためだったんだけど、イタリアで大人気だったフィアット500が欲しくてね」

随所にウッドが使われているフィアット。「たとえばこのハンドル。イタリアの職人の気持ちを感じるね」

ちなみにフィアット500は、アニメ『ルパン三世』でルパンが愛車としている一台でもあり、知っている人も多いだろう。ジローラモさんは当時をさらに振り返った。

「フィアットを買うことをお母さんはOKしてくれたのに、お兄さんがダメと言う。お兄さんも18歳の時にクルマを買ってもらったけど、それは4人乗りの普通車だったから、やきもちを焼いたんだと思います。せいぜい3人しか乗れないフィアット500じゃ、もし家族に何かあった時に全員乗れないじゃないかというわけ。でも、家族はそれぞれクルマを持っていたから、単なる意地悪だね(笑)」

そんな思い出があることもあり、ジローラモさんは20年ほど前からフィアットのクラシックカーを探していた。そして、たまたま立ち寄った東京・目黒にある外国車の専門店で、この124スポーツスパイダー1800を見つけることになる。その時の衝撃を、ジローラモさんは「まさに初恋みたいでした!」とジェスチャーと共に興奮気味に表現した。

「色もこの独特のイエロー。というのは僕が初めて乗った500も同じ色だったから。イタリアでも日本でも決して人気のある色ではないけれど、僕にとっては思い出の色。この出会いはまさに運命的で、強く思い続ければ願いは叶うものなんだなぁと思いました。また、こうした出会いがこれからもあるんだろうと思うとワクワクします!」

ボディにある「F」のエンブレムは、イタリア・トリノのピニンファリーナ社によるデザインであることの証。

現在、アルファロメオは修理を控え、フィアットは車検前のため、残念ながら公道はまだ走れていない。ジローラモさんは、2台を愛おしそうに見つめながら言った。

「人によってはボロくさいと言うかもしれないけど、それを含めこのクルマの良さを生かせるかは僕の腕次第。修理に早く出して、晴れて運転できる日が来るのが待ち遠しい。


アルファロメオGT1600 ジュニア
製造開始年/1972年
排気量/1570cc
エンジン/直列4気筒
高級車でもめったに見られないカリスマ性を備えているクルマ。性能も優れているが、魅力はボディラインの美しさとエンジン。回転を上げれば見事なエンジン音を堪能できる。

フィアット 124 スポーツスパイダー1800
製造開始年/1967年
排気量/1800cc
エンジン/直列4気筒
小型ファミリーカーとして登場したオープンスポーツカー。ヨーロッパ車の風情を漂わせており、ボディラインの美しさに合わせ、スポーティな感じも堪能できる。