東京都調布市の調布飛行場から飛行機で約35分。空の旅を楽しむ間も無く降り立ったのは、東京都の離島「新島」である。サーフィンの聖地として知られサーファーや海水浴を楽しみたい観光客に人気の新島だが、ほかにも釣りや食、島ならではの農業、自然体験など魅力の宝庫。
今回、1泊2日の弾丸週末旅では「秘密基地で過ごす男のリラックスツアー」と題し、1日1組限定の宿「Niijima Villa 菜宿物語」で至福の時間を過ごしてきた。
■男心をくすぐるのはいつだって“秘密基地”
●トレーラーハウスに滞在する「Niijima Villa 菜宿物語」とは?
東京から南へ約160km、伊豆諸島の一つ「新島」は、手付かずの自然が多く残る美しい島だ。そんな新島の小高い丘の上、森の中にひっそりと佇んでいるのが「Niijima Villa 菜宿物語」である。
宿泊できるのは1日1組だけ、2256平米の広大な敷地の中で他の誰にも邪魔されず、自分達だけの自由で豊かな時間を過ごすことができる。
客室はリビング、クイーンサイズのベット、シャワーブース、トイレ、キッチンを装備したJayco社「Jay Flight」だ。キャンピングカーの本場アメリカで非常に高い人気を誇るトレーラーハウスである。
そのトレーラーハウスの傍にはブロックが設られ、引き出されたサイドオーニングの下がもう一つのリビング。この一角だけでも、なんとワクワクし居心地の良いことか。しかし、この宿の魅力はこれだけにとどまらない。
敷地内には整備された芝が広がり蚊帳が張られたガゼボやハンモック、自然の中で入浴できる五右衛門風呂などが備えられている。緑の中でリラックスしたい旅人にとって、うってつけの環境だといえる。
この宿を営むのは内藤政之さん・八重子さんご夫妻だ。妻の八重子さんにとって、新島は生まれ故郷。地元だからこそわかる新島の魅力や特性、気候風土を生かし「農業と海と観光」が体験できる「Niijima Villa 菜宿物語」を作ったのだという。
夫・政之さんの本業は土木建設業。2014年、農業経営基盤強化促進法に基づき「株式会社Niijima Farmers」を設立し、新島村で認定された認定農業者としての顔も持っている。
そんな2人が旅人に提供する宿泊体験は他では味わうことのできない、唯一無二の個性を放っているのだ。
●オーナー夫妻が育てる味わい深い「野菜」と「酒」
ご夫妻が育てる野菜たちを見せていただけるという。「Niijima Villa 菜宿物語」から木々が生い茂る緑のトンネルの中を歩いて行けば、綺麗に手入れされた畑が眼前に現れる。
まず目に入ったのは露地栽培で育てられたナスがたわわに実る姿。ビニールハウスを使用しない露地栽培は、野菜本来が育つべき時期に苗を植えて栽培するため、まさしく「旬の味」を楽しむことができるのが特徴。
新島には冬になると「西ん風(にしんかぜ)」と呼ばれる季節風が吹く。風速15m以上の威力を持つ西ん風が、ミネラルたっぷりの海水を巻き上げ、その滴が新島の大地に降り注ぐ。そんな自然が織りなす新島ならではの肥料が、野菜の味を甘くさせ、強く育てるのだという。
農薬を使用せず手間暇かけて育てた野菜は、きっと力強い大地と海の香りがするに違いない。
そして今、ご夫妻が特に力を入れて栽培しているのが新島の特産「アメリカ芋」だ。アメリカ芋は砂で覆われ稲作に適さない新島で、江戸の昔から島民の命を繋いできた白いサツマイモ。
島民にとって最も身近で大切なアメリカ芋を、無農薬、無化学肥料、無散水で育てているのだ。11月に収穫したご夫妻のアメリカ芋は、地元の酒蔵・宮原酒造でオリジナル焼酎の原料となる。
無ろ過、無調整、無加水の“無”づくしで造られる焼酎の名は「無が六酎(むがむちゅう)」。アメリカ芋の栽培から製造に至るまで、6つの“無”がその由来となっている。
そのこだわりと規模から大量に造ることができないが、まるで焼き芋を食べているかのように濃厚で芳醇な口当たりの「無が六酎」は、例年1月頃に数量限定で東京駅や都内複数の酒屋で手に取ることができるという。
幸運にも街のどこかで出会うことができたなら、迷わず手に取りお迎えしてほしい。きっと自宅に居ながらにして、新島のダイナミックな自然の恵みをグラスの中で感じることができるだろう…。
■新島を散策。絶景ポイントとグルメに出会う
●まるで外国映画のワンシーン。絶景の海岸に立つ
畑見学を終えた後、ご夫妻から島内観光におすすめな絶景スポットを教えていただいた。曰く、島民から「シークレットポイント」と呼ばれる場所だという。
島の南北に約6.5kmも続くロングビーチ「羽伏浦海岸(はぶしうらかいがん)」は、多くのサーファーが訪れる観光客にもお馴染みのスポット。その羽伏浦海岸沿いの道をさらに南下し、林道を進んでいくとシークレットポイントと書かれた道標石が目に留まる。
石に刻まれた矢印の方向に従い、森の小道のなか歩を進めると突如として開けた場所に出た。目の前の切り立った崖の間から覗く青い海。海抜0m地点へ向けて続く階段を慎重に降りていけば、そこに広がるのは平らな砂浜と白い砂岩、そして雄大な太平洋だった。
その景観は筆舌に尽くし難い。写真から伝わる迫力以上の壮観さを、想像していただきたい。景色だけではない、波の音、潮の香り、肌を撫でる風の強さ。
その全てがあって、この絶景が成り立っているのだ。まるでいつか観た外国映画の世界に飛び込んでしまったかのような眺めに出会ってしまった。
●小腹を大いに満たす絶品「島寿司」に感動
立て続けに新島の魅力に出会い、小腹が空いてきた。何より旅の醍醐味はその土地ならではの食にある。ならばと向かったのは、内藤夫妻から教えてもらった「栄寿司」。
半世紀の歴史を誇る栄寿司は、新島の人々に愛される地元の名店。漁業に従事する人が多い島で、魚の味に舌の肥えた島民たちを納得させる腕と妥協のない姿勢、そして秘伝のタレ。
伊豆諸島の伝統的な料理といわれる「島寿司」はここ新島にも存在し、栄寿司もまた秘伝のタレを使用した島寿司を供している。
この日は、メダイ・カンパチ・マダイの島寿司と海鮮丼をいただいた。甘辛いタレが魚と絡み旨味をひき立てる。日毎の仕入れによって提供されるネタが変わるが、店主自ら市場で仕入れる魚は旬の脂がのった良いものばかり。
都内では味わえない郷土の味に舌鼓を打ち、至福の時間を過ごしたのだった。
●島の商店で“ご当地の味”探し、今宵の肴に…。
食後は腹ごなしにと少し散策することにした。内藤夫妻の焼酎「無が六酎(むがむちゅう)」を造る宮原酒造に立ち寄り今夜の酒を購入し、新島の特産品「くさや」を扱う菊孫商店にもお邪魔する。
今夜の夕食は自分たちで調理する。その食材となるものを、いくつかの商店をそぞろ歩きながら調達していく。
「Niijima Villa 菜宿物語」では予約時に魚か肉のBBQセットを申し込むことができ、食材調達が不安な場合はお任せするのが得策だ。魚セットは旬の地元の魚介をメインに、肉セットはサーロインステーキとご夫妻の畑で収穫した季節野菜を味わえる。
今回はダッチオーブンを持ってきたので、地元食材を使ってピザを作ることにした。トレーラーハウスの横には焚き火台が備えられており、自由に使用できる薪や炭で焚き火料理が楽しめる。
せっかく豊かな自然あふれる環境に身を浸しているのだ。ディナーは豪快にアウトドア料理と焚き火、酒を堪能したい。
■自由に料理を楽しみ、グルメと酒に酔う
●時間があるからこそ調理が楽しめる
トレーラーハウスに備え付けのキッチンは広さも十分ある上、3口のガスコンロも付いている。簡単な料理ならここで問題なくできる。食材の下拵えをしながら、外の焚き火台に火を熾し準備は完了。
焚き火台にダッチオーブンをセットして、蓋の上に炭を焚べる。その他の料理を作っていればあっという間に、ご夫妻の野菜をたっぷり使ったピザが焼きあがる。
今回、ダッチオーブンは自分達で持ち込んだが、トレーラーハウスには調理器具や食器が揃っているので基本的には手ぶらで訪れても困ることはない。気になる場合は事前に宿に問い合わせて、好みの道具や食器を持ち込むのもアリだろう。
気がつけば陽も落ちて、準備は全て整った。ここからは完全リラックスモードで、新島の長い夜が始まる…。
●更けゆく夜に、語り合える友がいる幸福
島に到着してから、さまざまな出会いがあった。内藤ご夫妻をはじめ、都会ではほとんど見かける機会のないアメリカ芋や元気な野菜、生い茂る木々の深くて瑞々しい緑、東京とは思えぬ断崖の絶景と広い海、伝統的な郷土料理の島寿司、訪れた商店で出会った人々…。
新島で過ごした1日を回想しながら、体験を共有した友と語らうひと時。焚き火のゆらぎを眺めながら、ぽつりぽつりと話す内容はやがて、互いの家族や仕事、夢ややりたいことにまで広がっていく。
降るように瞬く空一面の星の下、酒を酌み交わす友との時間はかけがえのないもの。ぱちぱちと爆ぜる薪の音、少しだけ冷たくなった夜風を肴に、心地よい疲労感を感じながら充実した1日が幕を下ろすのだった。
●清々しい朝。心からリフレッシュできたことを実感
若干の夜ふかしはご愛嬌だろう。夜遅くにトレーラーハウスのベッドの中で眠りにつき、目が覚めたのは太陽がそれなりに登ってから。
チェックアウトの日はご夫婦の計らいで、帰りの飛行機や船の出発時間まで宿に滞在することができる。なので早起きはできなかったが時間はたっぷりあるので、五右衛門風呂に入ることにした。自分達で薪を焚べて湯を沸かし、露天風呂を贅沢に楽しむ。
風呂上がりには八重子さん特製の朝食をのんびりいただいた。食後の余暇は思い思いの場所で自由に過ごすことにした。ハンモックに揺られながら、読みかけの小説を相棒に風を感じていれば「まだ帰りたくない」という思いが湧き上がる。
1泊2日、弾丸でやってきた親友との男二人旅が間も無く終わる。家族と離れ、気の置けない友人との旅先に新島とこの宿を選んで本当に良かったと、しみじみ実感するのだった。
■魅力は夏だけではない!「冬の新島」もおすすめ
冬の新島には「西ん風」が吹くと前述したが、その風が止み、空が澄んでいる日には東京都とは思えぬほどの、とても美しい星空を眺めることができるのだ。
「風が落ち着く」「空が澄んでいる」という条件が揃うタイミングが限られているからこそ、美しい星空を見上げられた時には「新島に来て良かった!」と感動するに違いない。
また、新島を代表するおすすめスポットの一つ「湯の浜露天風呂」も、冬にこそ訪れてほしい場所。
夏の観光シーズンももちろんおすすめなのだが、冬の肌寒い中、景色を堪能しながら温泉に浸かる幸福は何ものにも代え難い。入浴中に出会う島の人たちと交わす何気ない会話は、この季節だからこその楽しみだ。
楽園のようなこの島でゆったり湯浴みを満喫したら、心も体も芯から温まることができるだろう。
■新島は近い! 思い立ったらすぐに行ける楽園なのだ
東京都の魅力は都心部のみにあらず。
“遠いようで本当は近い”東京都の島しょ地域は、自然豊かで魅力的な場所である。なかでも今回訪れた新島は、調布飛行場から飛行機で約35分、高速船では竹芝桟橋から約2時間30分で訪れることができる身近な旅先といえるだろう。
思いつきで選んだ旅先で、これほどまでに有意義な時間を過ごすことができるとは思いもよらなかった。大袈裟に言えば「自分自身を取り戻す“再生の旅”」ができた。
人生には時々、摂取しなければならない栄養がある。例えば今回のような旅もその一つ。誰にも邪魔されることのない「Niijima Villa 菜宿物語」での時間は、人生の栄養を必ずや与えてくれるだろう。
また、これから「Niijima Villa 菜宿物語」へ訪れたい人へ朗報が一つある。内藤ご夫妻はさらにリラックスした宿泊体験を提供するため、ヒバの木材を使用したサウナを製作中で、この春オープンする予定だという。
これだけ豊かな体験ができる「Niijima Villa 菜宿物語」に、サウナまでできるとなると再訪の意欲がさらに湧くというもの。多くの人がこの宿で、自分達と同じように幸せな時間を過ごしてくれることを願うばかりだ。
【インフォメーション】
公式HP:「Niijima Villa 菜宿物語」
公式HP:新島観光協会
【周辺情報】
「無が六酎(むがむちゅう)」
湯の浜露天温泉
調布飛行場
新島名物・赤イカ釣り
Sponsored by:公益財団法人 東京観光財団
公式HP:Nature Tokyo Experience
▼あわせて読みたい