109251クラシックホテルの正統派バー「シーガーディアンⅡ」(横浜)|港町酒場で逢いましょう

クラシックホテルの正統派バー「シーガーディアンⅡ」(横浜)|港町酒場で逢いましょう

男の隠れ家編集部
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■名門クラシックホテルで横浜の歴史を味わう

横浜にあるクラシックホテルのロビーを抜け、バーへ。ジャケットを羽織り、首元には蝶ネクタイ、袖にカフスボタンが輝く想像通りのバーテンダーが立っている。

日本でバーの歴史を語るうえで、欠かせない一杯をこの場所「ホテルニューグランド」の「シーガーディアンⅡ」でいただく。

港町横浜の名を冠した、美しいオレンジ色のカクテル「ヨコハマ」。

酒の話や、歴史あるバーならではの横浜の話など、バーカウンターでの太田さんとの会話も弾む。

キリッと引き締まったジンとウォッカのハーモニーに、香り華やかなオレンジと甘酸っぱいグレナデンが調和したフルーティな味わい。甘く飲みやすいので、つい飲みすぎてしまうが、アルコールもなかなかに強い。

ほどよく酔いも回ってきて、バーテンダー太田圭介さんとの会話が弾む。

「“ヨコハマ”は横浜を代表する伝統のスタンダードカクテルですが、誰が作ったかははっきりしていません。ただ、この綺麗なオレンジ色は横浜の夕焼けをイメージしたのではないかと思います。横浜港は東にあり、ちょうど山の手に夕日が沈みます。客船のバーから夕焼けに染まる横浜の姿を見た、バーテンダーとお客さんの会話から生まれたのだと思いますね」

テーブル席も用意。低めの天井と高級感のある家具が、シックで落ち着いた大人の空間を演出する。
昭和初期から続くホテルの歴史が感じられ、グラス一つひとつにも物語がありそうだ。 

なんてロマンチックなのだろう。あまりにも有名なカクテルだけあって、どこでも飲むことはできるが、シーガーディアンⅡで飲むとまた格別だ。ほかにも横浜、とりわけこのホテルバーを代表するカクテルはいくつもある。

かつてこの地にあった横浜グランドホテルでは総支配人兼バーテンダーとして招かれていたイギリス人のルイス・エッピンガーによりバーテンダーの基礎がもたらされた。

日本で生まれたカクテル「バンブー」や、「ミリオン・ダラー」もルイス・エッピンガー作である。そしてその伝統を引き継ぎ、当時、主流だった客船のバーを参考に現在のホテルニューグランドのスタイルが確立。シェイカーの持ち方にもその名残りがある。

バーテンダーの太田さんのシェイカーさばき。この道30年以上。

「現在であれば、シェイカーの口を自分の方に向けて使うのが普通ですが、当時の密閉が完璧ではないシェイカーを使うとお客さまにお酒がかかってしまいます。それを防止するために、狭い船内のバーではお客さまの方に口を向けていたんです。シーガーディアンⅡでは、その技術を受け継ぎ、現在でもシェイカーの向きが逆なんです」と太田さん。

また、いち早くバー文化を確立させていたシーガーディアンから、ほかのホテルバーへこの技術が継承されていた。

太田さんが考案した今年の冬限定カクテルを作る手際に、感嘆する。

「ホテルニューオオタニができた頃には、バーの技術を教えるためオープニングスタッフとして私が立っていました。なので、ニューオオタニのバーでもシェイカーの持ち方が逆なんです。ほかにもウチから独立した人なんかが店をやっていたりすると、この方法を目にすることがあるかもしれません」

技術やカクテルのレシピはこのように横浜から紡がれていった。

「バーやカクテルについて調べると最後には必ずホテルニューグランドに行き着くんです」と太田さん。

コースターにはホテルニューグランドの象徴、フェニックスが。

昭和2年(1927)開業のホテルニューグランドは今でも横浜のバー文化を牽引する存在だ。そしてホテルのある山下町には多くのバーが軒を連ねる。

そもそもなぜ、横浜にバーは多いのだろうか。その理由を求め、幕末まで遡る。

横浜を代表する伝統のカクテル「ヨコハマ」

2213円

赤く染まる横浜の夕焼けをイメージしたといわれ、サボイのカクテルブックにも紹介されている世界的なカクテル。

ジン、ウォッカ、アブサンと3種類の酒を使用しており、度数は高いが、柑橘系の甘酸っぱさがあり、とても飲みやすい。

■日本人とウイスキーの邂逅

メトロポリタン美術館所蔵

嘉永7年(1854)3月31日、日米和親条約が調印された。日本の役人たちは、外交交渉の席でペリーが振る舞ったウイスキーを愉しんだ。

ペリーの随行員の記録には、日本の役人がウイスキーをとくに気に入っていたことが記されている。

■黒船来航に始まる横浜の近代化とバー文化

嘉永6年(1853)、長年鎖国状態にあった日本の海に代将マシュー・ペリー率いるアメリカ合衆国海軍東インド艦隊が来航した。横浜には再来航時の嘉永7年(1854)に上陸。日米和親条約が締結され、200年あまり続いた鎖国が終わった。

昭和2年(1927)開業時、まだ本館のみだった頃のホテルニューグランド。(写真提供◎ホテルニューグランド)

さらにその4年後、日本はアメリカをはじめとした5カ国と、同時期に修好通商条約を交わした。結果、各国から多くの商人が来日し、横浜にあらゆる文化が流れこんできた。

この頃にできた外国人居留地が現在の横浜中華街を含む山下界隈である。

そして、万延元年(1860)2月、横浜外国人居留地内に「ヨコハマ・ホテル」が開業。このホテルこそ、日本で最初のホテルだ。

タワー館がオープンする前、本館の海側にあった「シーガーディアン」。平成4年(1992)に移転、現在の「シーガーディアンⅡ」となった。(写真提供◎ホテルニューグランド)

ホテル内にはバーが併設されており、日本で最初のバーもまたこの場所だった。山下界隈はバー発祥の地となったのだ。

■ホテル、そしてバー発祥の地

万延元年(1860)2月に開業した西洋式ホテル「ヨコハマ・ホテル」。併設されたバーとともに日本初であった。現在、跡地には洋菓子店が建ち、モニュメントがある。

神奈川県横浜市中区山下町70-15-411

■おすすめの一杯

⚫︎2026 イルミネーションカクテル

3162円

美しいブルーが目を引くジン・ボンベイサファイヤをベースに、シャンパンやパッションフルーツ、ライムなどで、調和の取れた爽やかな味わいが魅力。イルミネーションの輝きを表現するアラザンがグラスの中で踊る魅惑の一杯だ。2月28日までの販売。

シーガーディアンⅡ

「ホテルニューグランド」内にある英国調のバー。

暗すぎず、明るすぎない照明や、クラシカルなインテリアが並ぶシックな雰囲気の店内はまさに、極上の大人の世界。作家・大佛次郎、俳優・石原裕次郎ほか、数多くの人々に愛されてきた。

神奈川県横浜市中区山下町10
ホテルニューグランド本館 1F
TEL/045-681-1841
営業時間/17:00~23:00
定休日/無休
アクセス/横浜高速鉄道「元町・中華街駅」より徒歩約3分

撮影/森本真哉

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