都会の喧騒を忘れさせる
非日常の特別な空間
東京から車を2時間ほど走らせた伊豆修善寺温泉の町なかに建つ「新井旅館」。明治5年(1872)の創業で、平成10年に建物の歴史的価値が認められ、客室や大浴場など15棟もの建物が登録有形文化財に指定された。
画家の横山大観や、文人の芥川龍之介、俳人の高浜虚子など、長い歴史のなかで新井旅館を訪れた文人墨客も数多くいる。特に画家の安田靫彦との縁が深く、新井旅館には70点ほどの作品が残されているという。
館内には四季折々の庭園や池の錦鯉を眺めながら休憩できるテラスなど、伝統美を満喫できる非日常的な空間でくつろげる。
また全浴場で源泉かけ流しの湯が愉しめる。庭園のなかにある「木洩れ日の湯」や、池のなかを泳ぐ鯉を湯船から目にできる「あやめ風呂」など趣向を凝らした浴場を設置。
さらに昭和9年(1934)に建設された「天平大浴堂」は、建築物としての価値も高い。ほかにも芥川龍之介ゆかりの貸切風呂はひとりでも利用でき、心ゆくまで湯を堪能できる。
冬にとれた海の幸と山の幸を丹念に調理した会席料理を味わいながら、長い歴史に思いを馳せたい。