「バーテンダーが休んだため、新人の私が腹をくくってマティーニをお出しすると、お客様がニヤリと笑ってこう言ったのです。『コイツを隠していたな』」。これが金谷ホテルが経営するレストランバーに引き抜かれるきっかけとなった出来事である。
その店に8年、独立して開店した会員制のバーで7年、そして現在のこの店で6年。ワインのソムリエの資格も取るなど研鑽を続けた山嵜氏は、「バーテンダーはグラスの中に作品を描くアーティスト」と話す。
店名に“月”の言葉を用い、店内に月の満ち欠けや天の川の装飾を施したのは、生きることは月に似ており、ツキにもつながるから。
バーは昔の問屋街の日本橋堀留町のビルの2階に位置する。時間を忘れるかのような癒しの空間で、その日を締めくくる一杯が至福の時間で満たされる。
【Selected cocktail】モンクールマティーニ
キレのある味わいと丸みを追求した至高の一杯。「ジンとウォッカを合わせ、辛口のシェリーを加えてシェイクすることにより、味わいに丸みと軽快さを表現しました」と話す山嵜氏。
※営業日時などについては要確認。
文◎相庭泰志 撮影◎黒田雄一