師のDNAを継承する 堅苦しさのない正統
渋谷の松濤倶楽部を経て南青山に「トップ・ノート」を立ち上げた武蔵昌一氏が、銀座に同店を開いたのは19年前。当時、アルバイトとして店に入り、氏にバーテンダーと、バーの意味を教えられたという甲田岳彦氏が現在、店長を務める。
「全部の席に座ってお客様との距離感と自分の立ち位置を考えろ。提供したものに対して最後まで責任を持て……。色々教えられましたが、やっと最近、言われたことがわかってきた気がします」
店長になり5年。オーナーのDNAを受け継ぎつつ進化を続ける氏は、ラム・コンシェルジュとテキーラ・マエストロの資格を取得。世界各地で人気の酒をいち早く入手し、愉しみ方を伝えている。
「お客様それぞれ、色々な楽しみ方ができる店でありたいと思います」
堅苦しくなく、バランス良く。一人でも大勢でもふらりと寄れて、元気になって去ってゆく場所。師が目指した店は、着実に育っている。
文/奥 紀栄 写真/秋 武生