進化する街で変わらぬ 赤坂・路地裏の止まり木
学生の頃は銀座で飲んでいた、60年代の話だと、語る。
「初めて飲んだカクテルはギムレット。当時は一杯50円とか100円でしたか。卒業後、一度は就職したんですが、やっぱりどうしてもこちらがやりたくて」
オーナーバーテンダー・横瀬昭夫氏が同店を開いたのは平成3年(1991)のこと。当時通っていたバーテンダースクールでは、霞が関「ガスライト」の毛利隆雄氏(当時)をはじめ、トップバーテンダーが講師を務めていた。自身も同店で修業を積み、憧れていた世界へ。以来、四半世紀以上、店に立ち続ける。
「20年以上通ってくださる方もいるので辞められない(笑)。やはり美味しいと言っていただくのが一番嬉しい。それだけですね」
建物もビル名も変わりゆく繁華街の路地に、それでも「変わらない場所」がある幸福を酒と共に味わう。
文/奥 紀栄 写真/遠藤 純