かつてない一杯を探求する
カクテルのパイオニア魂
平成15年(2003)にオープンし、国内外のカクテルの大会で優勝した経歴を持つオーナーバーテンダーの石垣忍氏は、バーテンダースクールを経て20歳の頃にすき焼き店「松木家」のバーで働き始めた。
「当時は学校を出ただけのまったくの素人です。上司や先輩など教えてくれる人もいませんでした」
終業後は終電に飛び乗り、銀座でバーの看板を見つければ入り、立ち居振る舞いやカクテルとの向き合い方を独自に学んでいった。その時の経験が、現在の氏の独創的なカクテルに現れているのだろう。
「常に考え、新しい創作カクテルを提供したい。毎月のレコメンドカクテルを考案するのもそのためです」
マティーニでいえば、ルバーブや自家製ラベンダー・ジンを使ったものなど、決して奇をてらうのではなく、あくまで素材の持ち味を生かしているのが特徴。ミクソロジーとはまた違う、まるで精進料理のような印象の一杯をゆっくりと愉しみたい。
写真/池本 史彦