男たちが自然体で飲める ジェントルマンズ・バー

終戦からまだ間もない昭和29年(1954)、アメリカ大使館前にオープンした同店のオーナーは英国人だったという。日本に暮らす外国人のために作られ、その後、日本人オーナーに引き継がれたと店の歴史を教えてくれるのは、支配人の松本行雄氏。

設計は陶芸家・デザイナーとして著名なバーナード・リーチが手がけた。錠が下がったボトル棚は開店当時、客が持ち込んだ酒を預かる場所だったと松本氏。ボトルキープ発祥の店、と言われる所以だ。

平成元年(1989)から先代マスターと共に店に立ち、今は亡くなったマスターの遺志を継ぎひとりで店を守る。30年以上通う常連客の好きな酒肴と酒を、注文を待たずに提供する日々だ。

「男同士が静かに飲み、じっくりと話ができる場所であり続けたい」

ガス灯をかたどった店の看板が、今夜もまた、路地を照らす。

文/奥 紀栄 写真/遠藤 純