X1/9から始まったFiat一辺倒の人生

サイドのウエストラインに走る派手な赤いストライプやデカールはコンペモデルの証しだ。

「ちょうど当時、X1/9が日本への輸送中に輸送船が浸水して、積まれていたクルマ全てが水没というニュースが放送され、このクルマが日本で有名になったんですよ」

入手したのはそのニュースを聞いた頃だったので、当時のことは今でも印象に残っているのだという。小さなボディーで、イタリア車ながら若者にも手が届く価格だったのだという。現在は、息子さん用も含めて2台のX1/9を所有。さらに日本ではほとんど目にしないSiata508 Balilla Sports(1936年)、Zagato750 GTMM(1953年)などすっかりフィアット好きになってしまったという。

単眼ライトはこの当時の車の定番。今となっては愛らしい。
フロントアンダースカートが装着されたデュアルライトは、ラリーカーでは定番の装備。

そんななか、3年前に購入した128rallyは、サーキットを走っている姿を見て、その格好良さが印象に残ったクルマで、早速調べてみるとX1/9のベースにもなっている車両だということが判明。それなら絶対手に入れたいと決意。なんとかコンペティションモデルを探して見つけたものだ。

ライト周りがこのクルマの特徴。愛敬のあるスタイルながらも内に秘めた狼的な走りとのギャップが良いという。
コンペモデルだけに内装、カーペット類は全て剥がされおり、レカロシートが装着されてコンペティションな雰囲気満点の車内のインテリア。

ラリー仕様ということで元来レース向けのクルマだったので、前オーナーがレースに使用していたことから「サスペンション周りが金属疲労と錆で脱落したり、修理は大変だったんです。今は普通の状態に戻して公道をまともに走れるようになんとかしましたが」。

特徴の丸テールランプの上には、このマシンの証し「rally」のエンブレムが燦然と輝いている。
エンジンは1290cc。ウエーバーキャブを2基装備。ストラットバーなどレース装備も充実。シンプルなエンジンルームだ。

そんな苦労もカロッツェリアのデザインや、エキゾーストサウンドなどこのクルマの全てが気に入っているのでたいしたことはない、という。

整形外科医として忙しい日々を過ごしている伊藤さん、これらのマシンを休みの日に持ち出してのイベントやラリーへの参加が大きな癒しとなっているのだろう。

1930年代のマシンsiata ballelaは、いつかはミッレミリアを走るために用意したマシンだ。
建物の1階をほぼ占領しているガレージは、現在6台のフィアットで埋め尽くされている。少年の頃の夢がここに詰まっているのだ。これから入手したいのは、夢のまた夢だと前置きを言いながらブガッティだという、浮気心を聞いてしまった。「それでもフィアットは手放せないですが」。

フィアット 128ラリー

フィアット 128ラリー

ボディタイプは4ドアセダン、2ドアセダン、3ドアのステーションワゴンだったが、1971年に1290ccにアップされるとクーペとラリーが追加された。