山の中に佇む宿で静かに自分だけの時間が過ごせる
日本の滝百選や平成の名水百選、森林浴の森百選にも選ばれている室生赤目青山国定公園の「赤目四十八滝」。その麓に建つ「対泉閣」はな雰囲気にあふれる宿だ。周辺では大小様々な滝が約4㎞にわたって続く渓谷で、四季折々の自然美を愉しめるとして、観光地としても人気が高い。
また赤目四十八滝は忍者修行の地として知られ、伊賀流忍者はここから活躍していったといわれている歴史ある場所。雪景美しい滝までは、往復で3時間から4時間ほどなので、行きか帰りで訪れてみてもいいだろう。
季節により異なる木々の色が鮮やかで、足元に目をやると岩肌に苔が広がり、幻想的な空間を演出している。また宿の近くには伊賀流忍者・百地三太夫の屋敷もあるので、立ち寄るのもいい。
明治の初期に創業したという対泉閣は、館内に様々な見所がある。「忍びの池 佐助」と呼ばれる庭園には忍者修行の池があるほか、露天風呂への途中に吊り橋が設けられている。
伊賀忍者の面影が感じられるちょっとした遊び心が面白い。また館内の随所に忍者に関する資料が展示されており、タイムスリップしたかのような空気に包まれる。
そして同館の温泉は、地底1000mより噴出したアルカリ単純温泉。日本療養温泉規定にも認められた良質な湯は、美肌効果の高い泉質といわれている。地元産スギ材を使い和の香りが広がる大浴場や、大自然に囲まれた静寂の中で湯浴みが愉しめる露天風呂など、泉質だけでなく浴場ごとの魅力にも目を向けたい。
夕食は2018年4月にリニューアルオープンした「滝のべ〜TAKI‒NOBE〜」で。供される料理は松阪牛と並ぶ三重県のブランド牛「伊賀牛の小鍋」をメインに地元の旬を生かした月替りの会席料理が並ぶ。
生産数が少なく伊賀と名張以外にほとんど出回らないことから、幻の牛といわれている牛肉を味わえる。赤身に薄いサシが入っているのが特徴だが、脂っこくなく口に入れると肉の甘みがじわりと広がる。
朝食は伊賀米コシヒカリを中心とした伊賀の郷土感あふれるメニュー。レトロなタイルの釜戸には伊賀の漬物や新鮮野菜のサラダ、そして伊賀米コシヒカリのおかわりなどを用意。また長谷製陶が作った伊賀焼の土鍋やエッグベーカーを使用し、より伊賀の魅力を感じられる。
伊賀の忍者の面影を残す宿で、上質な温泉や絶品の食事、風光明媚な観光など充実の冬旅を満喫したい。