美術館のような館内で
癒しとくつろぎの時を過ごす
長い歴史を有する磐梯熱海温泉の源泉を引いた、全室離れの宿が「よもぎ埜」だ。電車や車でアクセスしやすい場所にある磐梯熱海温泉の町中に建ち、2018年の12月で創業52年目を迎えた。
近隣には東北のお伊勢様ともいわれる「開成山大神宮」や、久米正雄をはじめとする作家らの資料を収蔵する「こおりやま文学の森記念館」など、観光スポットが多いのも魅力的だ。
館内の通路に目を向けると、風景画や人物画など様々な絵画が目にできる。絵画の数々はロビーから客室まで続いており、ゆっくりと鑑賞しながら移動できるのは愉しい。
客室で荷ほどきをした後は、温泉を愉しみたい。室町時代に開湯したといわれる磐梯熱海温泉は、弱アルカリ性単純泉で、美肌の湯としても知られている。大浴場では大きなガラスが設けられ、正面にそびえる雄大な蓬山を眺めながら湯浴みができる。ほかにも趣きの異なる2種類の露天風呂がある。
積雪も美しい「森と桜の湯」は桜の花に抱かれるように作られており、春の開花時期には花見もできるので、春に来ても湯浴みが愉しめそうだ。
もう一方の「侘び湯」は茶室を思わせる意匠が凝らされているのが特徴。どちらも時間入れ替え制なので、事前に調べてから2種の露天風呂を満喫したい。
夕食は、ひとり旅に嬉しい部屋食でいただける。地元・郡山市の冬の食材にこだわって作られた料理は、丁寧に盛り付けされ目でも愉しめる。さらに温かい料理は温かく、冷たいものは冷たく食べられるよう、ひと品ずつ運ばれてくる。ここには旬の食材をベストな状態で食べてもらいたいという気遣いが込められ、工夫が凝らされた料理は、納得の旨さ。特典で付く地酒と共に味わいたい。
また館内には、料理に用いられる食材の鮮度を維持できるよう生簀を完備。ヒラメやアワビ、ハモといった魚介類が新鮮なうちに味わえるのもこのためだ。さらによもぎ埜では、料理のランクアップの別注も受けてくれる。刺身や肉など自分の要望を伝えてみてもいいだろう。
夕食の後にも楽しみがある。各部屋に備え付けられた風呂だ。客室によって露天風呂やジャグジー、古代檜風呂から選ぶことができる。ほかにも本や雑誌が自由に読める1階のサロンや、遠赤外線等を発する天照石を全面に敷き詰めた岩盤浴など楽しみが尽きない。
気ままに自分だけの時間が愉しめる宿で、のんびりとくつろぎたい。