北条氏照が縄張りを拡張した多摩川の段丘上の城を歩く
多摩川と平行して東西にゆったりと連なる加住(かすみ)丘陵。丘陵の北側は多摩川によって削られた高さ約70mの崖になっており、滝山城はこの自然地形を巧みに生かして造られた平山城だ。
大永元年(1521)に武蔵国守護代の大石定重が築き、後に養子関係を結んだ北条氏照が城域を拡張。しかし永禄12年(1569)に武田信玄の軍勢に猛攻を受け、辛うじて死守するも、この経験から氏照は、深沢山により強固な八王子城を築き移転する。
滝山城はそのまま廃城となり、歩く道筋に見られる空堀や曲輪、土塁などの遺構は当時のもの。城跡一帯は都立滝山自然公園として整備されている。
登城口はいくつかあるが、大手口にあたる南側からが一般的で、本丸の道と呼ばれる道を登って行くと20分ほどで中の丸に到着。広場になっている北側からは多摩川の展望が気持ちよく開けている。
また、中の丸と本丸の間には復元された木製の引橋が架かり、橋の下は深い空堀だ。橋は緊急の際に落として敵の侵入を防ぐ役割もしたという。
【こんな所も見どころ!】
武蔵国守護代・大石定重が、滝山城に居城を移す前に築城した城へ
滝山城の前身とされる高月城。長禄年間(1457〜59)、武蔵国守護代の大石顕重が築いた城で、代々大石氏が居城した。加住丘陵の西北端の台地上に位置し、この城も自然地形を利用。現在は鬱蒼とした森に空堀や土塁が一部残っているのみ。
滝山城(たきやまじょう)
築城年:大永元年(1521)
主な城主:北条氏照
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