22790〈歴史道を旅しよう〉里山に静かに残る 絹のたどった里山道「絹の道」(東京都・八王子市~神奈川県・横浜市)

〈歴史道を旅しよう〉里山に静かに残る 絹のたどった里山道「絹の道」(東京都・八王子市~神奈川県・横浜市)

男の隠れ家編集部
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幕末から明治にかけて、日本の近代産業に大きな役割を果した“絹の道”。安政6年(1859)に横浜が開港すると生糸が重要な輸出品となり、長野や山梨から八王子に集められた生糸を横浜へと運んだ道がそれである。

“浜街道”と呼ばれて栄えた八王子~横浜のシルクロード

道は当時”浜街道”と呼ばれて栄え、その生糸の仲買を担ったのが八王子の鑓水(やりみず)商人たちだった。ちなみに絹の道の名は昭和20年代末に地域の研究者が付けたものだ。

生糸を運ぶ道しるべとして慶応元年(1865)に立てられた道標。

生糸の輸送が人力や牛馬から鉄道に変わると道は廃れてしまうが、今も鑓水など一部の地区に往時を偲ばせる史跡や道が残っている。

橋にも絹の道の名が。

散策はその名も絹の道入口のバス停からスタート。

京王線南大沢駅から橋本行きのバスに乗り絹の道入口で下車。

生糸商人屋敷跡にある絹の道資料館に立ち寄った後は、田園風景の中を70mほど進み、案内板のある分岐で右に道をとる。景色は一気にうっそうとし、山道が昔のままに続いていく。

正面は絹の道資料館。生糸商人・八木下要右衛門屋敷跡だ。田園風景が実にのどかだ。
柚木街道の南側にある当時の面影を残す小泉家屋敷。内部見学不可。
絹の道資料館への道を歩く。
案内板の立つ分岐。昔の道は右へ。
往時のままの姿を残す山道。

八王子から横浜へ運ばれた古(いにしえ)の生糸の面影を探して

分岐から15分程で標高213mの大塚山山頂に到着。そこには商人たちの信仰を集めた道了堂跡が礎石だけを遺して静けさを漂わせているが、かつては茶店も建つほど賑わったという。

礎石だけを残す道了堂跡。当時はこの付近に3軒の茶店があった。

さらに裏手に回ると視界が開け、八王子の街や奥多摩の山々が一望できる。

道了堂跡がある大塚山山頂からの眺望。八王子市街地を望む。

【こんな所も見どころ!】大塚山の絹の道から足を延ばして室町時代の城に立ち寄る

絹が運ばれた道は大塚山を越えるルートのほかに、御殿峠を通る道もあったとされている。その峠から国道16号を八王子方面へ下ると西側にあるのが片倉城。室町時代の城の跡で空堀や土塁が残っており、現在は城址公園として整備されている。

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