オフィス街として有名な赤坂。赤坂のオフィスにお勤めの方や、地方から出張で訪れる方も多いことだろう。「仕事が終わり、たまには雰囲気のあるバーでゆっくり過ごしたい」。今回はそんな方に向け、赤坂にある本格的なバーを6つ紹介していく。バーの特徴や雰囲気などをたっぷりご紹介しているので、バー選びに役立ててほしい。

Bar Kokage(バー コカゲ)|昭和の作家・開高健が愛したバー

「Bar Kokage(バー コカゲ)」は、作家・開高健が愛したバーとして知られる端正なオーセンティックバーで、店内に置かれたピアノの上には開高氏の本や書籍などが並びんでいる。カウンターにはかすみ草が飾られているなど、クラシックな佇まいのなかに洒脱な雰囲気を漂わせている。

昭和52年(1977年)に木家下正敏氏がオープンし、現在は児玉亮治氏と高橋恵未(めぐみ)氏によって引き継がれている。名店ゆえに愛する客が多く、児玉氏が引き継いだ平成24年(2012年)当初は「あれが違う、これも違う」と指摘され、大変だったのだとか。

しかし「店の灯は誰かが息を吹き込まないと消えてしまう。バーテンダーとして、それだけは嫌だった」という思いから、カウンターに立つことを決めたそうだ。

また、今は女性の高橋氏が店長として店を任されており、店には仕事終わりの女性が訪れるようになるなど、名店の趣を残しつつも時代に合わせ変化を遂げてきている。

一方で変わらない伝統もある。それがお店のオリジナルで、開高氏が「歯茎で味わうマティーニ」と評した1杯2,000円のカクテル「開高マティーニ」だ。ベースとなるジンのみならず、グラスやミキシンググラスまでも、マイナス20℃を上回るフードストッカーで冷やしたものを使用した、氷よりも冷たいドライマティーニとなっている。

「Bar Kokage(バー コカゲ)」は赤坂見附駅から徒歩約3分、青山通りから脇道に入ってすぐにあるビルの地下1階に店を構えている。赤坂にこの店ありと謳われる本格的なバー、ぜひ一度訪れてみてほしい。 

バー・グリニッチ|赤坂の隠れ家的な老舗バー

スコッチ風の内外装から、天文台で知られる「グリニッチ」と名付けられたオーセンティックバー。それが昭和34年(1959年)に石橋乙宏(おとひろ)氏がオープンした「バー・グリニッチ」だ。

当時は四谷の杉大門通りに店を構えたが、昭和51年(1976年)に赤坂へと店を移し、東京で60年続く老舗のバーとなっている。

上品でクラシカルな店内は社交場としても機能しており、夜な夜な文化人が集っては、談義を交わしていたのだとか。その証拠に店内に置いてあった雑記帳には、デザイナーの亀倉雄策氏、漫画家の伊達圭次氏、小島功氏など錚々たる面々による落書きも残っている。

そんな社交場を取り仕切る店主の石橋氏は、「自分では到底及ばないお客様たちに接する店は、私にとって修練の場です」と語る。そんな「バー・グリニッチ」のおすすめカクテルは、「名もなき一杯」という芋焼酎・ウォッカ・ジン・ベルモットを混ぜた強力な1杯。1,200円のこちらのカクテルを、ショットグラスでちびちびやるのがツウの飲み方だ。

「バー・グリニッチ」は赤坂見附駅から徒歩約3分、赤坂駅・永田町駅から徒歩約7分とアクセスしやすく、ふらっと立ち寄りやすいのが嬉しい。優雅なクラシック音楽が流れる店内で、文化人たちの足取りをたどってみてはいかがだろうか。

BAR DECE(バー ディース)|一人でもくつろげる「赤坂」に相応しいオシャレなBar

平成9年(1997年)にオープンし、開店20年を迎えた「BAR DECE(バー ディース)」。遊び心があふれる、オシャレな店内が印象的なバーだ。

オーナーバーテンダーの増田輝仁氏は、「リゾート地にあるようなバーを目指して家具や小物を集めました。お客様がリラックスできるような空間にしたかったのです」と語る。店名のDECE(ディース)は、英単語のDECENT(ちゃんとしている、礼儀正しい)のスラングで、「基本は押さえながらも、遊び心があるバーにしたい」という思いが込められている。

店内には大きな窓ガラスを設置したり、椅子でソファー席とカウンター席を仕切ったりするなど、圧迫感のない開放的な空間を作る工夫がなされているため、ちょっとした非日常感を味わいたい方にぴったりだ。

お店自慢のカクテルは、「ジャックローズ」1杯1,400円。華やかな赤坂の街をイメージした上品な紅色のカクテルが、一人で楽しむ隠れ家でのひとときをしっとりと彩る。

「BAR DECE(バー ディース)」は赤坂見附駅から徒歩約1分。年中無休で営業しているので、地方の方でも東京にお越しの際は、ぜひ足を運んでみてぜひしい。

キングス・アームス(The King’s Arms)|料理も人気の歴史ある老舗バー

英国人により、日本に暮らす外国人のために作られたという歴史を持つ「キングス・アームス(The King’s Arms)」は、昭和29年(1954年)にオープンした。陶芸家兼デザイナーとして有名なバーナード・リーチによって設計されたバーは、店内・店外からどことなく外国の雰囲気を漂わせる。

店内にある錠が下がったボトル棚は、開店当時、客が持ち込んだお酒を預かる棚だったのだそう。このことから「キングス・アームス(The King’s Arms)」は、ボトルキープ発祥の店としても有名である。

現在店を一人で守るのは、支配人の松本行雄氏。松本氏が作り出すカレーやクラブハウスサンドなどの料理は、酒と並んでこの店で人気のあるメニューの1つとなっている。

また、おすすめのドリンクであるハウスウイスキー「デュワーズ」には自家製のポテトフライが添えられて800円。このスタイルは、創業当時から変わらない。料理も酒も楽しみたい、そんなときには異国情緒あふれるお店でディナーを楽しんでみてはいかがだろうか。

「キングス・アームス(The King’s Arms)」は、溜池山王駅から徒歩約3分、バーにしては珍しく11:30~15:00のお昼も営業している。夜はガス灯をモチーフにした看板が路地を照らしているので、それを目印に。

OLD TIME 赤坂(オールドタイム)|1日の終わり癒やす安らぎの空間

「OLD TIME 赤坂(オールドタイム)」は、平成3年(1991年)にオーナーバーテンダーの横瀬昭夫氏がオープンした。横瀬氏は卒業後一度就職したが、どうしてもバーテンダーの仕事がしたいと思い、バーテンダースクールに通い始め、ついに自店を開くに至ったのだそう。

店内には5mの長さを誇る桜木の一枚板を使ったカウンター、優雅な曲線を描くバックバー、アンティークのステンドグラスなど、随所にこだわりが見られ、シックな雰囲気が漂っている。

人気のカクテルは1杯1,600円の「モヒート」。定番のカクテルだが、ミントの潰し加減がポイントなのだそうだ。ほかにも季節ごとに旬のフルーツを使ったカクテルも人気がある。

「OLD TIME 赤坂(オールドタイム)」は、赤坂駅より徒歩約3分、赤坂見附駅からは徒歩約5分、赤坂Bizタワーの近くにある。オープンして以来、横瀬氏と奥様2人によって守られている店内は、移り変わりの激しい赤坂の街において、変わることのない、ほっと一息つける安らぎの場所だ。仕事に疲れた日はぜひお店に赴いて、ゆっくりと英気を養ってみてはいかがだろうか。

Bar Tiare(バー ティアレ)|至高のカクテルが堪能できるオーセンティックバー

国内外のカクテル大会で多数の実績を持つ水澤泰彦氏が、平成21年(2009年)に満を持してオープンした「Bar Tiare(バー ティアレ)」。店内のインテリアは赤・金・白・茶で統一されており、もともと物作りが好きだったという水澤氏のセンスが光る。

店内でとくに目を引くのは、店名のティアレ(8枚の花びらを持つ、タヒチの国花)が描かれた黄金色の天秤だろう。特注の天秤にはフルーツが飾られており、お店の雰囲気をグッと高めている。

「お酒で覚えてもらえる店にしたい」。そんな気持ちと覚悟が込められたお店では、多くの客が水澤氏の作るカクテルを求める。とくに人気なのは、水澤氏オリジナルの「いちごのカクテル」1杯1,400円。自家製のいちごのおせんべいをトッピングしたカクテルは、ここでしか飲めない特別な1品となっている。

「Bar Tiare(バー ティアレ)」は赤坂見附駅より徒歩約3分、赤坂鳳月堂本店ビルの5階に位置する。水澤氏によるオリジナルカクテルを目当てに、ぜひ足を運んでみてほしい。

今回は赤坂にある名店バーを6店ご紹介した。文化人も愛したお店、英国風のインテリアが特徴的なお店、オリジナルカクテルがおすすめのお店など、一口にバーといえども、お店ごとにそれぞれ味わいがある。ぜひ時間を見つけて、自分好みのバーを探し歩いてみてはいかがだろうか。この記事がその手がかりになれば幸いである。

文/奥 紀栄・編集部 写真/遠藤 純