憧れはあるものの、独特なルールや敷居が高いイメージから一歩を踏み出せない方が多いのがバーだろう。やはり作法がわかっている男性は魅力的に映るものだ。

そこで、「パブや居酒屋なら行けるのに…」と悩む男性に向けて、一段上の嗜みともいえる「バー」を楽しむためのマナーやふるまいをお伝えしよう。

男の作法 バー(BAR)入店前に知っておくこと3つ

事前にバーのマナーやルールを知っておきたい男性は少なくないだろう。作法がわかっている男を演出したい、入店した瞬間からスマートな立ち振る舞いをしたいと考える方に、抑えておきたい3つのポイントを紹介しよう。

1.お洒落もバーの楽しみと考える

洗練された空気が漂うバーには、一体どんな格好で行けばよいのだろうか。バーに挑戦する際にぶつかる最初の壁は、服装だろう。

実はホテルや高級レストランの中にあるバーを除けば、ドレスコードを設けている店は意外と少ない。基本的には、それほど神経質にならなくてもよいだろう。少なくともネクタイ・ジャケットなどスーツで行く必要はない。

ただし、やはりバーという雰囲気を大切する社交場に、あまりにもラフな格好で出向いてしまうと、場違いな雰囲気が出てしまう可能性がある。バーの雰囲気に溶け込み楽しむためには、多少の清潔感や洒落気は嗜みとして取り入れておきたいところだ。

とはいえ、堅苦しく考える必要はない。最近は店内の写真を掲載しているバーも多いので、それを参考にコーディネートをして、時計や靴など、自身のこだわりのアイテムを身につけていれば特に大きな問題はないだろう。

「Tシャツは合わないだろうな……」「襟付きのシャツの方が向いていると思う」といった、ちょっとした気遣いができればよいのだ。あれはダメこれはダメと考えるのではなく、お洒落もバーを訪れる際の楽しみのひとつと考えることが大切だ。

2.大勢ではなく限られたメンバーで特別な時間を楽しむ

バーを楽しむ適正な人数というものがある。バーに来ている人は、一人でお酒を楽しみたい人や、大切な人との時間をゆっくりと過ごそうと考えている人がほとんどだ。また、多くのバーはカウンター席をメインに据えている。4〜5人も並んで、カウンター席を占領するのはスマートではない。

バーは物言わぬ社交の場なので、他のお客に配慮して静かに楽しむのがマナーだ。大騒ぎすることは控えよう。やはり、マナーとして一人もしくは二人での来店が好ましい。

カウンター席なら2人まで、テーブル席やボックス席を利用するのであれば4人までがベターだろう。中には来店人数に制限をもたせているところもあるため、複数人で訪れる際は事前に確認しておくことをおすすめする。

余談だが、業態としてダイニングバーやレストランバーと謳っていない限り、バーで提供される食事は限られたものとなる。燻製やピクルスなどこだわって独自のメニューを揃えているところも数多くあるが、あくまで「おつまみ」として食事を置いているところがほとんどだ。

特別な時間を楽しむバーで、食事をとるようなことのないようにしたい。がっつり食べたいのであれば、どこかで食事を済ませてから来店する方がよいだろう。

3.財布は普段より余裕をもって

バーの敷居を高くしている大きな要因は、価格面にあるのではないだろうか。一般的なバーの価格構成は飲食代、チャージ、サービス料だ。チャージは席料のことで、カウンターとボックスでは異なる場合がある。

サービス料はサービスの対価で、日本ではチップの文化がないために加算されることが多い。だいたい10〜20%が相場といわれている。

そして、一概にいえないのがドリンクの値段である。極端な話をすれば、希少なウィスキーやブランデー、ワインを飲めばグラスで5000円などという場合もある。

カクテルにおいても、スタンダード・カクテルで800〜1500円と店によって価格の幅は広く、立地やベースで使うお酒、材料の質、その店のコンセプトなど様々な要因で値段は変動する。

いまはWebサイトやグルメサイトなどでチャージやサービス料、メニューをあらかじめ見ることができるので、事前に把握しておくと安心できるだろう。

ただし、やはり思わずお酒が進んだ際にも慌てないように、少し余裕をもっておきたい。特に個人の経営するバーでは、現金以外での決済に対応していないところもあるため、普段クレジットカードや電子マネーを使う人は、現金も持ち合わせておくと安心だ。

男の作法 バー(BAR)入店のマナー

基本的なバーの雰囲気がわかったところで、次に知っておきたいのが入店のマナーだ。バーの仕組みと流れを理解し、スムーズに入店しよう。

1.座る席はバーテンダーの案内に従う

さて、入店してバーテンダーに出迎えられたら、大抵はバーテンダーが席を案内してくれるのでそれに従って席にかければよい。

バーテンダーは店内にいるすべての客を気持ちよくもてなすことに注意を払っているし、お客との距離感や空気感をコントロールするのが仕事である。お互いが適度な距離感でお酒を楽しめるように、座る場所も考えられているので、彼らの采配を信頼しよう。

もし店内に客がおらず、「お好きなところへ」といわれたら、一人の世界に入ることもでき、なおかつバーテンダーとの会話もしやすいカウンターの端席がおすすめだ。

そして、バーの雰囲気をくみ取ってよりスマートにふるまうためにも、カウンター上や隣席にカバンや荷物を置くのは避けたい。テーブル下の荷物掛けやクローク、荷物カゴがないかをさりげなく探してみよう。もし見つからない場合は、バーテンダーに「カバンを置く場所はありますか?」と聞けばよいのだ。

2.会話は他のお客様にも配慮する

バーでのふるまいを社交的かつ上品に見せるためには、他の客への配慮がカギとなる。居酒屋で酔いが深まるとついつい大声になってしまうこともあるが、バーではマナー違反である。

前述のようにバーに来ている人というのは、落ち着いた時間を過ごしたいと考える人が多い。雰囲気を大切にして声のボリュームを調整するのが、本物の男性のふるまいだ。

また、内容については他の人が聞いて気分を害するおそれのある下品な話題や、意見がぶつかりやすい政治や宗教の話は慎もう。そして、携帯電話での通話も避けたいところだ。着信音はマナーモードにする、やむを得ない場合は店外に出るなど他のお客に配慮しよう。

加えて、相手が異性であれ同性であれ、見知らぬ他人にむやみに話しかけるのはご法度である。もし客同士で気が合いそうだと判断されたら、バーテンダーがうまく会話をつなげてくれる。話しかける際は直接ではなくバーテンダーを通すことを意識するとよいだろう。

3.お酒の頼み方はバーテンダーに相談もあり

さて、バーでのふるまい方がわかったところで、オーダーについて解説していこう。メニューがあれば、まずは目を通してみるとその店が力を入れているお酒の種類やおよその価格帯がわかる。

メニューは酒類別に、カクテルであればジン、ウオッカ、ラム、テキーラと、ベースとなるお酒ごとに書かれていることがほとんどだ。知っているお酒や好きなスピリッツ、リキュールがあればそこから選ぶもよし、バーテンダーに好きなお酒や味を伝えて教えてもらうのもアリだ。彼らは相談されることに慣れているし、店にあるお酒の状態や自店の売りも熟知している。

好みを伝える際には、飲みたい味をなるべく細かく伝えよう。あまりアルコールに強くなければ「アルコールに強くないので弱めのものだと嬉しい」などと伝えておきたい。また苦手な味も伝えておこう。

もし、カクテルやお酒の知識がなく何もわからない場合、焦ってしまうかもしれない。しかし、慌てることはない。本当のできる男性は何事も学ぼうとするものだ。わからないことは知識を増やすチャンスだと考え、素直に「カクテルについてまったく知識がないので教えてほしい」と伝えよう。情報は多い方がバーテンダーの提案の手立てとなる。

ちなみにバーテンダーが非常に困るのが、「おまかせで」や「自分をイメージしたカクテルを」というオーダーだ。

もちろんこういったオーダーにも対応してくれるが、何が出てきても飲める自信がない以上、やらない方が賢明である。考えすぎず、好きなものを好きだといえること、知ったかぶりをしないことに気をつければ、いずれ飲みたい味に出会えるだろう。

2杯目以降のオーダーについては、多くの場合、適度なタイミングでバーテンダーの方から声をかけてくれる。もし、打診がなければ空いたグラスをカウンターの奥の方へずらしておくと、引き続き飲みたい合図となる。こうした作法ができるだけで、スマートさが滲み出る。

4.適度なペースでお酒を飲む

バーで提供されるお酒は最後まで美味しく飲むために、飲むべきベストな時間を知っておこう。これは温度や時間経過により味が変わってしまうのを避けるためだ。ウィスキーなどは氷の溶け具合による変化を楽しむという面もあるが、氷が溶けて薄まってしまうことにならないようにしよう。

まず、ショートカクテルの場合は10分を目安に飲みきるのがマナーとされている。一般的なカクテルグラスの容量は90ml、3から5口ほどで飲みきるイメージだ。

ショートカクテルは混ざりにくいお酒や材料同士を混ぜるためにシェイクという手法で作られており、放置しておくと混ざりが悪くなり、温度の上昇により顕著に味が崩れてしまうためである。ただし、ショートカクテルはロングカクテルに比べて、氷や炭酸などの割り材が含まれず、度数が高く口当たりが強くなるものが多いので挑戦する際は注意が必要だ。

ロングカクテルやウィスキー・ハイボールなどは氷が溶けきらず、かつ炭酸が抜けないよう20〜30分を目安にするとよい。ちなみに、誤解されていることが多いが「ショートカクテル」と「ロングカクテル」の名称の違いは入れられるグラスの大きさに由来するものではない。この呼び方の違いはまさに、飲みきるまでにかける時間の長短のことである。

もちろん時間をかけすぎるのがよくないからといって、一気飲みは論外である。カジュアルなバーではテキーラなどをショットグラスであおる場面を見かけることもあるが、バーでは避けてほしい。

また、カフェや飲食店のように水を提供するバーはほとんどなく、出されるとすればアルコール度数の高いお酒のチェイサーである。注文するともちろん出してくれるが、水にこだわっているバーでは有料となることもある。また、飲めないからといって水だけで居座ることのないように注意したい。

最近ではノンアルコール・カクテルに力を入れているバーも少なくないので、飲めない場合もバーの雰囲気を楽しむ工夫をしよう。

非日常な時間や、雰囲気に溶け込むための秘訣は、自分をコントロールすることだ。純然たる事実だが、気品を感じさせる人ほど自分をコントロールしている。品のある男性として見てもらうためにも自身の酒量限界量を越えて泥酔したり、寝てしまったり、他の人に絡んだりすることのないようにしたい。入店から退店まですべての客が酒を味わい、ゆったりと過ごすことを大切にしよう。

5.カメラでの撮影はバーテンダーに確認

ある程度以上の高級感を備えた店であれば共通することではあるが、ドリンクや店内などを撮影する際は必ずバーテンダーの許可を得よう。悪意がなくとも撮影は他の客のプライバシーを侵害する可能性や、シャッター音・フラッシュなどで趣を損ねてしまうおそれがある。その時々を楽しめる余裕のある男性としてふるまおう。

6.店頭のボトルやグラスをむやみやたらと触らない

オーセンティックなバーには、グラスや珍しいお酒のボトルなど様々なものが飾られ、手に届くところに置いてあることが多い。それらは凝ったつくりのグラスや、希少なヴィンテージのスピリッツであることが多く、いくら気になったからといって無断で触れることや、フタを開けてみるのはマナー違反である。

破損させてしまったり、貴重な中身をこぼしてしまったりする危険もある。興味を引かれたら、まずはバーテンダーに尋ねてみよう。

また、グラスでの乾杯も避けたい。良質なグラスほど繊細に薄くつくられていることが多いため、グラス同士をカチンと合わせただけでヒビや欠けが入ってしまうおそれがある。言葉とともにグラスは軽く持ち上げる程度にとどめるのがスマートな乾杯といえる。

男の作法 バー(BAR)会計のマナー

ここまで事前の心得や、入店から店内での過ごし方までを紹介してきた。そして存分にバーを楽しんだら、その後も肝心なのである。会計を済ませ、店内を出るまで気を抜かないでおきたいところだ。

1.会計はスマートに済ます

初めて来たバーでは酔いが回りすぎない程度を目安に会計をしよう。人にもよるが、だいたい2、3杯を目処にするのがよいだろう。

お酒を味わうことができ、かつ判断力も気配りも残っている状態で会計するのが紳士的である。とはいえ、アルコールに強くないからと一杯きりで帰ってしまうと、これはこれで「不満があり、もう二度と来ない」といったサインとして伝わってしまうことがある。

というわけで、2、3杯目を飲み終えた段階で会計することをおすすめする。会計は「チェックで」といえば大抵は通じる。

気をつけるとすれば、バーでの会計は居酒屋のように店員が大声で勘定を伝えてくることはなく、すっと金額を書いた紙が差し出される。店内が暗く見えにくいことがあれば、小声でバーテンダーに確認しよう。

前述のように、バーでの支払いはなるべく現金が望ましい。小規模な店では現金以外の決済方法に対応していないところもある。また、内輪の事情といえばそれまでなのだが、小型店ほどクレジットカードの手数料の負担が大きくなりがちなので、現金決済の方が喜ばれる可能性が高い。

こうした背景を知って、あえて現金で会計するとビジネス面での配慮が伝わるし、紳士的に映る。

2.会計後は速やかに去る

慌ただしく立ち去る必要はないが、会計後も居座り、話し続けるのはスマートではない。待っている客がいなくても、次に訪れる誰かのために早々に切り上げよう。退店の際に「おやすみなさい」「ごちそうさま」など伝えられればバーの雰囲気を楽しめたことが伝わる。

再訪までによほど期間が空かなければ、バーテンダーはあなたの顔や飲んだもの、交わした会話を覚えているだろう。そうして徐々に顔見知りになることや、好きなお酒を知ることが最大のバーの楽しみであり、洒落た嗜み方である。

堅苦しいと感じるルールもあるだろう。しかし、バーでのマナーは訪れるすべての客がお酒を味わい、心地よく過ごすためのものばかりである。他人への配慮を忘れなければ、それほど構える必要はないだろう。