ラム酒はカクテルや料理の風味づけにもよく使われる、度数の高い酒だ。カリブ発祥ということから「海賊」や「海の男」といった荒々しい印象が持たれがちだが、そんなイメージとは裏腹に、ラム酒はサトウキビから造られる、甘い風味が特徴的な酒である。ラム酒には様々な製法があり、味わいも異なる。自分好みのラム酒を見つけてみよう。

ラム酒とは?世界4大スピリッツを知る

ラム酒の原料

ラム酒は、サトウキビの廃糖蜜あるいはしぼり汁を原料とする蒸留酒である。西インド諸島が原産地だと言われており、製造方法により色や味わいが異なるものの、甘い風味と柔らかい口当たりが特徴的だ。

アルコール飲料としてはもちろん、ケーキやタルトといったお菓子の風味づけ、レーズンを漬け込んだ「ラムレーズン」など、幅広く用いられている。また、カクテルのベースとなることも多く、特に熟成期間が短いホワイト・ラムは、クセが少なく、初心者でも飲みやすい。

世界4大スピリッツとは

ラム酒は、ウォッカ、ジン、テキーラと共に世界4大スピリッツのひとつに数えられる。スピリッツとは蒸留酒のこと。主にカクテルのベースとして親しまれているが、ロックやストレートでも楽しむことができるものである。以下、それぞれの特徴を簡単に解説する。

ウォッカ

ロシア発祥の蒸留酒で、主原料は大麦・ライ麦・ジャガイモ・トウモロコシなどだが、原産国によってはブドウやミルクから抽出した乳糖を使ったものも存在する。アルコール度数は40度が主流。すっきりとしたクリアで辛口な味わいが特徴で、ショットで楽しむストレートが定番の飲み方。

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ジン

原料は、とうもろこしや大麦、ライ麦。セイヨウネズの果実を乾燥させたジュニパーベリーなど、ボタニカルで香りづけされる。華やかな風味とクリアな味わいが特徴。近年では、個性的な味わいの「クラフトジン」が注目されている。

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テキーラ

原産地はメキシコ。アガベの一種である竜舌蘭(りゅうぜつらん)が主原料である。一般的なアルコール度数は40度以上と、お酒の中ではかなりアルコールが強い部類。度数が高い分カロリーも高めだが、糖質はほぼゼロ。糖質制限中でも楽しめるお酒のひとつだ。

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ラム酒の歴史

ラムの発祥について詳細は不明だが、遅くとも17世紀には飲用されていたと考えられている。発祥地はカリブ海のどこかの島だ。しかし、意外にもラム酒の原料であるサトウキビはカリブ海の島には自生しておらず、1492年、コロンブスによる新大陸発見以降ヨーロッパ人によって持ち込まれたものである。カリブ諸島はサトウキビに適した気候であったため、一大生産地となった。

ラム酒といえば「海賊」の印象が強いが、事実、海賊に愛飲されていたという記録が残されている。だが、海賊だけに飲まれていたわけではなく、15世紀から17世紀の現地の人々にとって身近な飲み物であった。

また、嗜好品として以外の用途でも、たとえば過酷な環境で生きる船員たちから向精神薬のような働きを期待され、飲まれる場面もあった。保存がきくという利点から航海中の飲み物としても親しまれていたという。こうした背景から、次第にラム酒には海・海の男というイメージが強くなり、現在に続いている。

ラム酒(Rum)の語源

「ラム」という名前の由来については諸説あり、はっきりとはわかっていない。英語のデボンシャー方言にあるrumbullion(ランバリオン:興奮)が元だとする説が有力である。
カリブの島のひとつ、バルバドス島の原住民が蒸留酒を飲んで騒いでいる様子をイギリス人がランバリオンと表現したという話だ。他にもサトウキビの属名Saccharumの語尾から来ているとする説もある。

ラム酒のアルコール度数

糖蜜を発酵・蒸留して造られるラム酒は蒸留酒に分類される。完成直後は70〜80度と非常に高い度数になるが、加水によって40〜50度に調整され出荷されるものが多い。

ラム酒のカロリー・糖質は高いのか

酒のカロリーはアルコール度数に比例する。甘さと芳醇な香りが魅力のラム酒は、度数が高い分、他のアルコールと比べるとカロリーは高め。しかし、ゆっくり嗜むことが多いため、実際に飲むときはビールやワインよりも低カロリーに抑えられることもある。

また、製造の際に蒸留することで糖質が抜けるため、糖質は100gあたりわずか0.1mg。糖質制限などのダイエット中に「酒が飲みたい」と思ったときは、ラム酒を選ぶといいだろう。

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醸造原料による製法の違い

ラム酒の製造にはサトウキビのしぼり汁を使用する。しぼり汁からゴミや不純物を取り除いた「糖蜜」と、砂糖を生成したあとに残った「廃糖蜜」から造る方法の二通りがある。
どちらの場合でも大きな造り方は変わらず、発酵、蒸留の工程で造られる。

インダストリアル製法

廃蜜糖から造る方法で、トラディショナル製法とも呼ばれる。割合にすると市場に流通している97~98%のラム酒はこの製法で造られている。廃蜜糖は保存しておくことができるため、サトウキビの収穫時期に左右されずに製造ができるというメリットがある。また、廃蜜糖は輸出入しやすいという利点がある。そのため原料のサトウキビが育たない地域でも、廃蜜糖を輸入すればラム酒を造ることができる。「インダストリアル」という名が示すように、大量生産に向いた製法である。

アグリコール製法

サトウキビのしぼり汁をそのまま使用する、インダストリアル製法に比べると新しい製法である。この製法の場合は、サトウキビの収穫時期でないと製造できないといった点や、サトウキビは収穫するとすぐに風味が落ち始めてしまうため収穫地の近くでしか造れないという不便さがある。そのためマイナーではあるが、この製法でしか得られない豊かな風味や、深い甘みが魅力となる。

また、原料生産地のすぐそばで造られるぶん、土地による味の個性がはっきりと出やすいという特徴がある。この製法で造られたラム酒は希少性と味わいの奥深さ、多様さから通好みのラム酒といえる。

色と製造方法で異なるラム酒の呼び名

ラム酒は透明のものから暗褐色のものまで、色によって分類されることがある。

ラム酒の色

色による分類は3種類。ひとつ目はホワイト・ラムだ。発酵、蒸留後、ステンレスタンクで熟成を経た原酒を、活性炭でろ過する。ステンレスタンクを使用することと、ろ過により、無色透明な液色となる。ろ過することで雑味とともに香味成分が減少しクセのない味となるため、カクテルベースや料理の風味づけとして使用されることが多い。

ふたつ目はゴールド・ラム。アンバー・ラムとも呼ばれる。黄金色〜薄い褐色をしており、木の大樽やバーボン樽で熟成した原酒を、ろ過せずそのまま瓶詰めしたものである。樽熟成の期間は3年未満。原酒のもつ風味がそのまま残っており、ホワイト・ラムに比べると原料や樽由来の風味が感じられる。カラメル色素が添加されているものもある。

最後は褐色のダーク・ラムだ。原酒をバーボン樽や内側を焦がした樽(チャード・オーク)などで3年以上熟成させる。樽と長い熟成期間により、糖蜜に加えキャラメルやスパイスなど風味の強さが特徴的で、製菓に利用されることもある。

ラム酒の製造方法

原料、発酵・蒸留・熟成方法によりライトラム、ミデイアムラム、ヘビーラムの3つに分けられる。

ライトラムは、廃糖蜜と水を混ぜたものを原料とし、培養酵母で発酵させ、連続式蒸留器で蒸留したものだ。熟成にはホワイトオーク樽や、ステンレスタンクが使用される。こうして出来上がった液体を活性炭でろ過するとホワイト・ラムに、活性炭を使わなければゴールド・ラムとなる。口当たりが軽く、味や香りも控えめに仕上がる。

ミディアムラムは廃糖蜜を自然発酵させたものを原料とする。蒸留には連続式蒸留器・単式蒸留器のどちらを使っているものもある。発酵を終えた段階で、サトウキビの搾りかすを加えたり前回蒸留した液体を加えることがある。またライトラム、ヘビーラムを混ぜて造るという方法もある。
この製法からもわかるように、味わいとしては両方の特徴を備えている。ライトラムほど淡白ではなく、ヘビーラムほど濃厚ではない、ほどよい香りと味わいを楽しめる。バランスがよく、口当たりがソフトだ。

ヘビーラムもミディアムラムと同様に、廃糖蜜を自然発酵させたものが原料となる。蒸留には単式蒸留器が使われ、蒸留前にサトウキビの残滓や、前回蒸留の残りを加えることがある。蒸留後は内側を焦がしたオーク樽やバーボン樽で熟成される。熟成には最低3年以上が必要である。
長期の樽熟成により、多くの香味成分が含まれるため、風味豊かな濃い褐色のラムとなる。より深い色をつけるためにカラメル色素などが使われることもある。

ラム酒のおいしい飲み方を知る

工夫せず飲んでも風味豊かなラム酒だが、せっかくであれば、よりおいしく感じる飲み方を試してみよう。

温度によって変わる味と香り

ラム酒の甘い香りと風味は、その温度によって感じ方が変化する。また、製法や色によっても適した温度は異なる。

たとえば、ホワイト・ラム、ライトラムは、香味成分の含有量が少なく、軽い味わいを目指して造られている。そのため、氷を入れ冷やして飲むのがおすすめだ。ラムは40度以上の度数である場合が多く、氷で味が薄まるのを避けたい場合は、瓶ごと冷凍庫に入れることができる。家庭用の通常のものであれば凍ってしまうことはない。

一般的に温度が上がると香りや味が感じられやすくなる。ラム酒も同様だ。常温、ストレートで飲んだ場合は、冷やして飲むときよりも香りを感じやすくなるだろう。ゴールド・ラム、ミディアムラム、ダーク・ラム、ヘビーラムなどは冷やして飲むよりも常温の方がその特徴をとらえやすい。

寒い時期にはホットで飲むのもいいだろう。温めることで香りや甘みを引き立たせることができる。そのままレンジや鍋で温めてもいいし、お湯で割ったり、紅茶やミルクで割ったりしても飲みやすい。シナモンやナツメグ、バターを加えるのも風味が増すのでおすすめだ。

ブランデーグラスで味わいを豊かに

ラム酒に適したグラスとして、ブランデーグラスがある。ブランデーグラスは、ボウルの部分が広く、飲み口がすぼまっていて、足の短いワイングラスのような形をしている。この広いボウル部分に空気をたくさん含ませることができ、香りがさらに開かれることから、香り豊かなラム酒に適したグラスと考えられている。特に香味成分豊かなダーク・ラム、ヘビーラムを飲む際にはぜひ試してほしい。

ときにはカクテルで楽しむ

ストレートやロックで、じっくり飲むのもよいが、たまにはカクテルで味を変えてみるのもおすすめだ。ラムベースのカクテルといえば、有名なのはモヒート、ダイキリ、マイタイ、ラムコークなどがある。それぞれのカクテルの作り方や味わいを見てみよう。

清涼感がある夏の定番カクテル。モヒート

モヒートは近年夏のカクテルとして人気だ。ホワイト・ラムが使われることが多く、清涼感のある見た目をしている。材料はラム、フレッシュミント、フレッシュライム、砂糖またはシロップ、ソーダ水である。グラスはハイボールなどに使われるような、高さのあるグラスがおすすめだ。ミントを軽く叩き、香りを出し、ライム、砂糖を入れる。そのあと上からクラッシュアイスをかぶせラムを注ぎ、大きく混ぜて最後にソーダ水を入れれば完成だ。

ライムの酸味が爽やかなダイキリ

文豪ヘミングウェイが好んだとされるダイキリは、クリアな色にキリッとしたドライな味わいが特徴的なカクテルだ。キューバのダイキリ鉱山で働く人たちが暑さをしのぐため、現地でたくさん手に入ったラムとライムを混ぜて飲んでいたものが起源とされている。

材料はラム、ライムジュース、砂糖。シェーカーを使い、カクテルグラスに入れるショート・スタイルのカクテルである。ホワイトラムの甘みとライムの酸味が口に広がって、爽やかな味わいがある。材料も少なく、シンプルなカクテルであるがゆえに、配合のわずかな違いやシェークの技量によって味わいが大きく変わるため、作り手の技量と繊細さが感じられる奥深いカクテルだ。
また、クラッシュアイスを入れブレンダーを使えば、シャーベットのようなフローズン・スタイルのダイキリにすることもできる。

リフレッシュにぴったりのボストン・クーラー。

レモンの酸味とジンジャーエールの炭酸ですっきり飲めるボストン・クーラーは小休止や気分を変えたいときにおすすめだ。
材料はラム、レモンジュース、砂糖もしくはシロップ、ジンジャーエール。背の高いグラスに大きめの氷を入れ、順に材料を注げば完成だ。辛口のジンジャーエールを使えばよりさっぱりと仕上がる。ロング・スタイルのカクテルで度数の調整もしやすく、強い酒を飲みたくないときにも安心して飲むことができる。レモンはフレッシュを使うとなおよい。

甘く、薄紅の色が美しいバカルディ

バカルディは淡い赤色が美しい、やや甘めのカクテルである。材料はホワイトラム、ライムジュース、グレナデン・シロップ。グレナデン・シロップはざくろのシロップで、鮮やかな赤色を呈している。シェーカーとカクテルグラスを使用するショート・スタイルのカクテルである。

「バカルディ」はキューバにあるラム・メーカーの名前で、同じ名前の銘柄のラムがある。このカクテルはその銘柄の販促のために考案されたカクテルで、かつてレシピをめぐって裁判が行われたことがある。その際、カクテルの「バカルディ」を作るにはバカルディ社のラムを使わなくてはならないという判決が下された。

コーラとラムで南国を感じるラムコーク

ラムコークは、ラム酒とコーラを混ぜて作るロング・カクテルだ。氷の入った大きめのグラスにそそいで豪快に飲める。コーラとラムの甘さと炭酸が、夏や南国の気分を盛り上げてくれる。
このラムコークに、フレッシュライムを絞って入れると、キューバリブレというカクテルになる。

トロピカルさ溢れるピニャ・コラーダ

ココナッツとパイナップルが使われるピニャ・コラーダはリゾート地で飲んだり、また女性にも好まれる味わいだ。材料はラム、ココナッツミルク、パイナップルジュース。ココナッツミルクが手に入らない場合はココナッツのシロップと牛乳でも代用できる。ボウル部分が大きく、背の低いグラスがおすすめだ。シェークで作られることが多く、ダイキリと同様にフローズン・スタイルにアレンジすることもできる。

ラム酒はストレートからカクテルまで様々なアレンジができる、飲み方が幅広い酒である。風味こそ甘いが、クセがなくとっつきやすい蒸留酒といえるだろう。好みの銘柄が見つかれば、ぜひ色々な飲み方を試してほしい。

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