バーでお酒を注文するとき、ぜひ知っておきたいのが「スタンダードカクテル」だ。
カクテルには無数ともいえる種類があるが、その中でも基本ともいえるものを押さえおけば、初めての店でもスムーズに注文することができるだろう。
この記事では、代表的なカクテルの種類、味、作り方、由来などを紹介する。
定番カクテル・スタンダードカクテルとは

スタンダードカクテルをそのまま訳すと、標準的なカクテル、定番とされるカクテル、などとなるだろう。
実際、世界中どこのバーに行っても当たり前のように注文できるものがスタンダードカクテルだ。
長い歴史の中で多くの人の支持を受け、特徴的な事件や世相と結び付いて人々の記憶に残ったものが、いつしかスタンダードカクテルとして親しまれているのである。
バーテンダーに委ねるのではなく、自分の意思でオーダーするために知っておいて損はない定番カクテルといえるだろう。
基本は酒・甘み・酸味の絶妙なバランスで作られる
カクテルは、ベースとなるお酒に別の種類のお酒やジュースなど複数の素材を組み合わせたレシピと、それをミックスさせる技術によって成り立っている。
その味わいのベースとなるのは「酒・甘味・酸味」の3つの要素だ。実際、スタンダードカクテルは、その3つの要素をしっかりと踏襲したレシピになっている。
ベースとなるアルコール度数の高いお酒に、レモンやライムをはじめとしたジュースなどとミックスされることが多い。
シンプルな要素ゆえに絶妙なバランス加減が求められる。素材を一体化させる技術をもったバーテンダーがいてこそ、カクテルのレシピは活かされるといえるだろう。
認知度が高い以外に明確な決まりはない
結論からいうと、スタンダードカクテルに明確な決まりはない。しかし、漠然とした決まりをいうのであれば、一般的に認知されているカクテルを指す場合が多い。
そのため、バーテンダーが作った新作カクテルがいきなりスタンダードカクテルになることはない。
発表された新作カクテルが多くの方に日常的に飲まれ、世間で認知される存在になってから初めてスタンダードカクテルになるというわけだ。
定番カクテル27種 ・ベース別レシピ一覧

国境を超えて愛されるスタンダードカクテルについて、ベースとなる酒の種類ごとに紹介しよう。どれを選んでも失敗することのない傑作ばかりで、作り方も知ることでより深く味わえるはずだ。
本記事で紹介するスタンダードカクテルは以下の通りだ。
ベース | カクテル |
ジン | ・ジントニック ・ホワイトレディ ・ジンフィズ ・ギムレット ・ギムレットハイボール ・マティーニ |
ラム | ・モヒート ・ダイキリ |
ウォッカ | ・モスコミュール ・バラライカ ・ソルティドッグ |
テキーラ | ・マタドール ・マルガリータ |
ブランデー | ・アレキサンダー ・サイドカー ・ジャックローズ |
ウイスキー | ・キングスバレイ ・オールドファッションド ・マンハッタン |
ワイン | ・キールロワイヤル ・バンブー ・シャンパンカクテル |
リキュール | ・チャーリーチャップリン ・バレンシア ・グラスホッパー |
ビール | ・レッドアイ |
以下の項目では、世界的に認知度の高い有名なスタンダードカクテルをベースごとに詳しく紹介していこう。
【Gin】ジンベース
世界4大スピリッツのひとつであるジン。
大麦やライ麦、ジャガイモ、トウモロコシなどの穀物を原料とした蒸留酒で、セイヨウネズの果実を乾燥させたジュニパーベリーなどのボタニカル(草根木皮)を香味成分に加えて再蒸溜して作られる。
無色透明で、ボタニカルの香りとクリアな味わいが特徴で、カクテルベースとしてポピュラーで、多くの種類のカクテルがある。
世界中で愛される一杯「ジントニック」

<ジントニックのレシピ(材料)>
・ドライジン…30〜45ml
・トニックウォーター…適量
・ライム 1/6カット…1個
カクテルの中でも定番中の定番であり、その店の実力を如実に表すともいわれるものがジントニックだ。
客の方も、最初に注文するカクテルとして選ぶ人が多く、スッキリしたライムの酸味とトニックウォーターの爽やかさが万人に愛されるカクテルといえよう。
貴婦人のような美しさ「ホワイトレディ」

<ホワイトレディのレシピ(材料)>
・ドライジン…2/4
・ホワイトキュラソー…1/4
・レモンジュース…1/4
19世紀の初頭にロンドンで考案されたカクテルで、白い貴婦人という名前にふさわしく、ドライジンにレモンジュース、ホワイトキュラソーをシェイクして作られる、爽やかな香りで洗練された味をもつ。ジン・サイドカーの別名をもつ。
フィズの代表的カクテル「ジンフィズ」

<ジンフィズのレシピ(材料)>
・ドライジン…45ml
・レモンジュース…15ml
・シュガーシロップ…2tsp
・ソーダ…適量
フィズは、ソーダの炭酸がはじけるときの「シュッ」という音がもとになっているといわれている。
そんな炭酸系のカクテルの中でも代表的なのがジンフィズだ。
その爽快感は暑い夏にぴったりで、卵の黄身を加えればゴールデンフィズに、白身を加えればシルバーフィズになるなど、バリエーションも豊富だ。
英国生まれの“名作”「ギムレット」

<ギムレットのレシピ(材料)>
・ドライジン…3/4
・ライムジュース…1/4
・シュガーシロップ…1tsp
イギリス海軍で軍医を務めていたギムレット卿が、ジンを飲み過ぎる将校たちの健康を案じて、そこにライムジュースを加えたことに由来する。
レイモンド・チャンドラの小説『ロング・グッドバイ(長いお別れ)』に出てくる「ギムレットには早すぎる」というセリフがあまりに有名だ。
ギムレットを爽やかに「ギムレットハイボール」

<ギムレットハイボールのレシピ(材料)>
・ドライジン…45ml
・ライムジュース…15ml
・シュガーシロップ…1tsp
・ソーダ…適量
ギムレットはアルコール度数が高いが、それをソーダで割ることで度数を半分以下に落としたものが、ギムレットハイボールだ。
飲み口の鋭いギムレットを、より爽やかに楽しむことができる。強いお酒が苦手な人は、まずこちらの方から試してみてもいいだろう。
カクテルの王様「マティーニ」

<マティーニのレシピ(材料)>
・ドライジン…3/4
・ドライベルモット…1/4
・オリーブ…1個
・ピール用レモン
その名も「カクテルの王様」と讃えられているのがマティーニだ。
世界中のバーテンダーが何らかの拘りを持ち、飲み手の方も強い思い入れを持っている人が多いことでも知られている。
レシピはシンプルだが、それだけにバーテンダーの実力が問われ、独自のアレンジが施されることも多い。
【Rum】ラムベース
ラムも世界4大スピリッツのひとつ。
原料はサトウキビで、芳醇な香りと甘い風味が特徴だ。色によって「ホワイトラム」「ゴールドラム」「ダークラム」、風味によって「ライトラム」「ミディアムラム」「ヘビーラム」というように分類される。
カクテルベースとしても使いやすく、口当たりの良い柔らかい飲み口で楽しめる。
ミントの清涼感がクセになる「モヒート」

<モヒートのレシピ(材料)>
・ホワイトラム…45ml
・ライム…1/2個
・シュガーシロップ…1tsp
・ミントの葉…6~7枚
・ソーダ…適量
ブードゥー教で「魔法、魔術、あるいは麻薬の虜となる」という意味の「MOJO」を語源とし、キューバが発祥の地といわれている。
ベースとなっているラムの甘いほのかな風味とフレッシュミントの爽やかさが混ざり、多くの人を惹きつけるおいしさだ。
鉱夫たちが愛した味「ダイキリ」

<ダイキリのレシピ(材料)>
・ホワイトラム…3/4
・ライムジュース…1/4
・シュガーシロップ…1tsp
ラムの定番カクテル。キューバにあるダイキリという鉱山で働くアメリカ人の鉱夫が、暑さをしのぐために作ったといわれる。
ラムにライムと砂糖、氷を入れただけの極めてシンプルなレシピ。それゆえバーテンダーによって様々なバリエーションがあり、酸味と甘さのバランスにその人の個性が表れる。
【Vodka】ウォッカベース
世界4大スピリッツのひとつ、ウォッカ。主原料は大麦・ライ麦・ジャガイモ・トウモロコシなど。
主原料の穀類を糖化・発酵させ蒸留した後に、白樺などの活性炭で濾過する。クセがなく、まろやかな味わいが特徴。
「モスコミュール」や「ソルティドッグ」など、王道カクテルのベースとしても有名だ。
夏に飲みたくなる爽快感「モスコミュール」

<モスコミュールのレシピ(材料)>
・ウォッカ…45ml
・ライムジュース…15ml
・ジンジャービアー…適量
・ライム 1/6カット…1個
アルコール度数が高く刺激的なカクテル。
その名前は「モスクワのラバ」という意味で、後ろ足で蹴る癖のあるラバ(ロバと馬の交雑種)にキックされたような衝撃があることが由来している。
銅製のマグカップを使うのが正式な作法とされている。清涼感のある飲み口が夏によく合う。
クリアな飲み口に病みつき「バラライカ」

<バラライカのレシピ(材料)>
・ウォッカ…2/4
・ホワイトキュラソー…1/4
・レモンジュース…1/4
ブランデーベースのカクテル「サイドカー」の、ベースにウォッカを使ったものがバラライカ。
バラライカはロシアの楽器で、ウォッカ=ロシアというイメージからその名が付けられた。
レモンジュースとホワイトキュラソーを使い、柔らかくて可憐な白色、飲み口は酸味と甘みが香りすっきりとしている。
スノースタイルでおなじみ「ソルティドッグ」

<ソルティドッグのレシピ(材料)>
・ウォッカ…45ml
・グレープフルーツジュース…適量
・塩・レモン…適量
グラスの縁にレモンと塩が施され、それがウォッカとグレープフルーツジュースの持つ爽やかな味わいに程よく混ざり、クセになる味わいになる。
シンプルだが不動の人気を誇るカクテル。
【Tequila】テキーラベース
ジン・ラム・ウォッカと並ぶ、世界4大スピリッツのひとつであるテキーラ。
アガベの一種である竜舌蘭(りゅうぜつらん)が主原料。原材料の配合や熟成期間で味が変化し、フレッシュなものからまろやかに熟成したものまで、味わいはさまざま。
「マタドール」や「マルガリータ」がテキーラベースの代表カクテルだ。
情熱的な闘牛士を思わせる「マタドール」

<マタドールのレシピ(材料)>
・テキーラ…2/6
・パイナップルジュース…3/6
・ライムジュース…1/6
闘牛の最後に牛にとどめを刺す闘牛士「マタドール」の称号を持つカクテル。
発祥はスペインの統治時代が長く続いたメキシコで、スペインと同じく闘牛が愛されていたことが背景にある。
その味は、パイナップルジュースとライムジュースのフルーティさが特徴的で、口当たりのよい、メキシコの陽気な雰囲気が味わえる仕上がり。
上品なメキシカンスタイル「マルガリータ」

<マルガリータのレシピ(材料)>
・テキーラ…2/4
・ホワイトキュラソー…1/4
・ライムジュース…1/4
・塩・レモン…適量
テキーラベース・スタンダードの代表格。亡くなったかつての恋人を偲んでロサンゼルスのバーテンダーが作ったといわれている。
もとは、レモンやライムをかじり、そこにテキーラを流し込んで、最後に塩を舐めるというワイルドなメキシカンスタイルだったものを、グラスの中で上品にまとめたもの。
爽やかな味わいが楽しめる。
【Brandy】ブランデーベース
高級酒というイメージのあるブランデー。白ブドウなどの果実が主原料で、発酵・蒸留・熟成して作られる。アルコール度数は40度程度のものが多い。ストレートで飲む以外にも、カクテルにしてさまざまな飲み方を楽しむのもおすすめだ。
甘美な芳香に酔いが回る「アレキサンダー」

<アレキサンダーのレシピ(材料)>
・ブランデー…2/4
・クレームドカカオ…1/4
・フレッシュクリーム…1/4
その由来は、英国の国王エドワード7世が、王妃アレキサンドラに捧げたカクテルで、口当たりが良く、女性からの人気も高い。
ブランデーの芳醇な香りが、クレームドカカオやフレッシュクリームとうまく調和し、質の高いショコラを思わせる味となっている。
ザ・シェイクスタイル「サイドカー」

<サイドカーのレシピ(材料)>
・ブランデー…2/4
・ホワイトキュラソー…1/4
・レモンジュース…1/4
考案者がバイクのサイドカー乗っていたことからその名が付けられた、シェイクスタイルを代表するカクテル。
ホワイトレディの別名がジン・サイドカーだったように、ベースを他の酒に変えるアレンジが可能で、他にはウォッカベースのバラライカも有名だ。
ちょっとした加減で味わいが変わるので、作り手の個性が出やすい。
優雅な赤いバラ「ジャックローズ」

<ジャックローズのレシピ(材料)>
・アップルブランデー…2/4
・ライムジュース…1/4
・グレナデンシロップ…1/4
フランスのノルマンディー地方のりんごを使ったアップルブランデーをベースに、ザクロを原料とするグレナデンシロップを合わせることで、甘みの中に酸味がほどよく調和する華やかな香りが特徴的なカクテルだ。
まるで赤いバラの花びらのような美しい色合いからその名が付いたといわれる、気品漂う一品。
【Wisky】ウイスキーベース
ウイスキーは大麦やトウモロコシなどの穀類を原料とした蒸留酒。木製の樽で貯蔵熟成させ、まろやかで深い味わいが特徴だ。
「スコッチウイスキー」「アイリッシュウイスキー」「アメリカンウイスキー」「カナディアンウイスキー」「ジャパニーズウイスキー」は世界5大ウイスキーといわれ、産地によって特徴が異なる。
その歴史は長く、カクテルでも広く親しまれている。
1986年優勝作品「キングスバレイ」

<キングスバレイのレシピ(材料)>
・スコッチウイスキー…4/6
・ホワイトキュラソー…1/6
・ライムジュース…1/6
・ブルーキュラソー…1tsp
第1回スコッチ・ウイスキー・カクテルコンテスト(1986年)の優勝作。
スコッチの産地であるスコットランドの山深い渓谷をイメージした、美しいグリーンが見た目にも鮮やかなカクテル。作者は日本人。
「谷の王者」と名付けられ、今や世界的に愛される定番カクテルとなっている。
自分で味を調節できる「オールドファッションド」

<オールドファッションドのレシピ(材料)>
・ウイスキー…45ml
・角砂糖…1個
・アロマチックビターズ…2dashes
・レモン・オレンジ・ライム …各1枚
昔からあるカクテルを思わせることからその名がついた。
また、ロックグラス(オールド・ファッションド・グラス)の名前の由来になったことでも知られている。
甘さと苦味が同居しているが、自分で砂糖やフルーツを加えることで、好みに合わせて味を作っていくことができる。
優雅に君臨する女王「マンハッタン」

<マンハッタンのレシピ(材料)>
・ウイスキー…3/4
・スイートベルモット…1/4
・アロマチックビターズ…1dash
・レッドチェリー…1個
・ピール用レモン
19世紀の半ばには、すでに世界中で愛されていたスタンダードカクテル。
ニューヨークの夕日をイメージしたともいわれる、気品と透明感を併せ持つ赤が特徴で、「カクテルの王様」であるマティーニに対し、「カクテルの女王」と呼ばれる。
甘みとほろ苦さが混ざり合う繊細な一杯。
【Wine】ワインベース
醸造酒であるワイン。
赤ワインと白ワインがあり、黒ブドウを主原料としたものが赤ワイン、白ブドウを主原料としたものが白ワインとされる。
製造方法も異なり、赤ワインは実・果皮・種すべてを一緒に仕込むのに対し、白ワインは果汁のみを使用。
熟成させることで色合いや口当たり、香りを変化させて楽しむ。そのままの味を味わう以外にもカクテルベースとしても楽しめる。
高貴なシャンパン「キールロワイヤル」

<キールロワイヤルのレシピ(材料)>
・シャンパン…9/10
・クレームドカシス…1/10
白ワインをベースにした「キール」をアレンジしたカクテル。
白ワインの代わりに、スパークリングワインやシャンパンを用い、さらにクレームドカシスを加えることで、贅沢な一杯に仕上げている。
細かくはじける炭酸の泡が華やかさを演出し、ロワイヤル(高貴な、王家風の)キールと名付けられた。
横浜生まれのアペリティフ「バンブー」

<バンブーのレシピ(材料)>
・ドライシェリー…2/3
・ドライベルモット…1/3
創業時の横浜グランドホテル(関東大震災で消失し、現在はホテルニューグランド)のチーフバーテンダー、ルイス・エビンガーが「竹(バンブー)」をイメージして考案したカクテル。
横浜に訪れた外国人によって、世界に広がっていった。ドライベルモットとドライシェリーという、2つのドライを使っていることが特徴。
ロマンチックな乾杯を「シャンパンカクテル」

<シャンパンカクテルのレシピ(材料)>
・シャンパン…適量
・ブランデー…1tsp
・アロマチックビターズ…1dash
・角砂糖…1個
・ピール用レモン
グラスの底に角砂糖を沈めることで、そこから気泡が溢れて華やかさを演出するとともに、時間とともに味の変化が楽しむことができる。
映画「カサブランカ」で、主人公がヒロインを見つめながら「君の瞳に乾杯」と言ったとき、ふたりが手にしていたのが、このカクテルだ。
お祝いの場でもよく供されることがある。
【Liqueur】リキュールベース
カクテルにして飲むことの多いリキュール。
リキュールとは、果実などの原材料を使って蒸留酒に香りを付け、甘味を加えたもので、酒の分類上では「混成酒」に分類される。
「果実系」「種子系」「薬草・香草系」など、香味成分によって分けられ、その種類によって味わいはさまざまだ。豊富にあるカクテルの中から、リキュールベースの定番カクテルを3つ紹介しよう。
喜劇王の名をいただく「チャーリーチャップリン」

<チャーリーチャップリンのレシピ(材料)>
・スロージン…20ml
・アプリコットブランデー…20ml
・レモンジュース…20ml
スピリッツに漬け込んだ西洋スモモの酸味と、アプリコットブランデーの甘み、という、ふたつのリキュールが爽やかに混じり合い、そこにレモンジュースを合わせてシェイクすることでフルーティな爽快さを持つ。
なお喜劇王として有名なチャップリンの名前を冠するが、その由来は不明とされる。
太陽の恵みをたっぷりと味わう「バレンシア」

<バレンシアのレシピ(材料)>
・アプリコットブランデー…2/3
・オレンジジュース…1/3
バレンシアの名前の由来には諸説あるが、オレンジの産地として有名なスペインの都市バレンシアで採れたオレンジを使ったことで、その名が付いたといわれている。
オレンジジュースにアプリコットブランデーをミックスすることで、杏とオレンジの甘みと酸味とがグラスに溢れる。フルーティな味わいで、女性でも飲みやすい。
デザート気分で味わう一杯「グラスホッパー」

<グラスホッパーのレシピ(材料)>
・クレームドカカオ(白)…1/3
・グリーンペパーミント…1/3
・フレッシュクリーム…1/3
クレームドカカオとペパーミントが溶け合い、豊かな香りを醸し出すカクテル。
さらにフレッシュクリームを加えることで、ホワイトチョコのような甘味も生まれ、まるでデザートのように楽しめる。
その見た目が鮮やかなグリーンであることから、バッタを意味するグラスホッパーの名が付いた。
【Beer】ビールベース
冷たく冷やしてそのままグイッと飲むことが多いビールだが、カクテルにしても美味しい。ビアカクテルの定番といえば「レッドアイ」。作り方もシンプルで、ぜひ試してほしい1杯だ。
低アルコールで栄養豊富「レッドアイ」

<レッドアイのレシピ(材料)>
・ビール…1/2
・トマトジュース…1/2
「赤い目」の由来は、二日酔いして目が赤く充血している様子から。
ビールと同量に真っ赤なトマトジュースを合わせることで、アルコール度数が下がり、栄養面も向上するという、その名前に反して二日酔いを遠ざけるともいえるカクテル。
締めの一杯としてもおすすめ。
覚えておきたいカクテル言葉

カクテルには、それぞれにカクテル言葉と誕生日がある。スタンダードカクテルの中から、いくつかピックアップして紹介していこう。
- カシスソーダ…あなたは魅力的
- ジンライム…色褪せぬ恋
- カカオフィズ…恋する胸の痛み
- アクダクト…時の流れに身を任せて
- ギムレット…遠い人を想う
このように、カクテルにはそれぞれのカクテル言葉がある。
以下の記事では、恋愛・別れ・夜の誘いなど、シチュエーション別にまとめてあるので、カクテルでロマンチックな一時を…と考えている人はぜひ参考にしてほしい。
覚えておきたいバーでの入店ガイド

自宅でカクテルを愉しむのもいいが、バーでおしゃれにお酒を嗜みたい…と思う人もいるだろう。
しかし、バーには「敷居が高い」というイメージや、独特なマナー・ルールから一歩踏み出せない人が多いのも事実である。
初めてバーへ足を踏み入れる方は、以下の点に注意してほしい。
- 大勢ではなく限られた人数で来店する
- お財布の中身は普段よりも余裕を持つ
- 着席時はバーテンダーの案内に従う
- 適度なペースでお酒を嗜む
- 支払い時の決済方法は基本的に現金
以下の記事では、バーでの基礎知識や入店から会計までのマナーを詳しく解説。訪れる前に知っておくと役に立つ内容ばかりなので、ぜひ合わせて読んでほしい。
また、東京都内には通をも唸らせるバーが多くある。以下の記事で行きたい東京のバーを紹介しているので、ぜひ参考にしてほしい。
知ってると通?おすすめマイナーカクテル5選
今や名前が知られているだけでも、世界には約3,000種類以上のカクテルがあるといわれている。また、日々新作カクテルも増え続ける一方だ。
ここからは、スタンダードカクテルに比べれば名前が知られていないが、絶品のおすすめのマイナーカクテルを紹介していこう。
NYの美しい夕景を再現した「ニューヨーク」

<ニューヨークのレシピ(材料)>
・カナディアンクラブ…3/4
・ライムジュース…1/4
・フレナデンシロップ…1tsp
ライまたはウイスキーボトルを使用するニューヨークは、19世紀末から20世紀初頭に誕生したといわれているマイナーカクテルだ。
オレンジピールを絞りかけることで、ニューヨークの美しい夕景を思わせるような鮮やかな色彩となる。
味わいはスッキリしていて都会的。中口でアルコール度数は25度程度であるため、しっかりとした風味を堪能できるだろう。
口の中で完成する「ニコラシカ」
<ニコラシカのレシピ(材料)>
・ブランデー…30ml
・スライスレモン…1切れ
・砂糖…レモンの上に盛る
ドイツのハンブルクで生まれたニコラシカは、数あるカクテルの中でも特に異才を放つことで知られている。
ニコラシカは他のカクテルとは違い、ブランデーをジュースやソーダで割らない。さらに、提供された時点ではまだ未完成の状態なのだ。
グラス上の砂糖が乗ったレモンを半分に折り、口の中に入れる。そのままブランデーを口の中に流し込むことでニコラシカは完成する。
可愛らしい見た目とは裏腹に、多くのブランデーはアルコール度数が高いため、お酒が弱い人は注意する必要があるマイナーカクテルだ。
紳士淑女におすすめの「ジェントルマンズショコラ」
<ジェントルマンズショコラのレシピ(材料)>
・ウイスキー…20ml
・チョコレートリキュール…15ml
・コーヒーリキュール…15ml
・生クリーム…適量
・チョコレート…適量
ウイスキーにチョコ、コーヒー、生クリームを加えるジェントルマンズショコラは、直訳すると『紳士のチョコレート』となるカクテルだ。
2008年のSuntoy The Cocktail Awardでフリー作品部門の最優秀賞を受賞。甘いカクテルではあるが、女性だけでも男性にもおすすめしたい。
パイナップルが生い茂る島「イスラ・デ・ピノス」
<イスラ・デ・ピノスのレシピ(材料)>
・ホワイトラム…45ml
・グレープフルーツジュース…45ml
・砂糖…1tsp
・グレナデンシロップ…1tsp
1970年代のトロピカルカクテルブームで生まれたイスラ・デ・ピノスは、ラムとグレープフルーツのさっぱりとした味わいが特徴的なカクテルだ。
カクテル名は、スペイン語で「パイナップルの生い茂る島」という意味。ほのかな苦味を感じながら甘さもあるため、複雑な味わいを感じることができる。
特に現代人に好まれる味だと思われる要因は、甘味が強く感じられる点。トロピカルカクテルは総じてアルコールが強いが、お酒が苦手な方でも飲めるだろう。
締めの一杯は「XYZ」

<XYZのレシピ(材料)>
・ホワイトラム…30ml
・ホワイトキュラソ―…15ml
・レモンジュース…15ml
小説や映画などで度々登場するXYZは、「これ以上はない」「これ以上のカクテルは作れない」という意味が語源であるといわれている。
名前を見てもわかる通り、XYZはアルファベットの最後の3文字だ。語源を用いて、小説や映画では「もう終わる。助けてくれ」という比喩表現としても使われている。
ラム酒をベースにキュラソーとレモンジュースを加えた味わいは、柑橘系の酸味と甘味のバランスがよく、苦味がアクセントになっている。
極めて飲み口がよいため、カクテル初心者やお酒が弱い方でも楽しめるだろう。
まとめ
スタンダードカクテルを27種類紹介してきたが、参考になっただろうか。
数え上げればキリがない程、全世界には無数のカクテルがある。スタンダードカクテルと呼ばれる程の人気を得るためには、膨大な時間が必要だ。
この記事で紹介したスタンダードカクテルは、多くのバーで気軽に飲むことができ、レシピ通りに作れば自宅でも嗜むことができる。
お酒が好きな方は、ぜひ自分に合ったカクテルを探してみてほしい。