36937注目が集まる「ナチュラルワイン」「自然派ワイン」ってなに?【ワインを学ぶvol.4】

注目が集まる「ナチュラルワイン」「自然派ワイン」ってなに?【ワインを学ぶvol.4】

男の隠れ家編集部
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近年注目を浴びているナチュラルワインについて解説していく。ナチュラルワイン、ヴァン・ナチュール、自然派ワインを造る「自然の力に委ねた製法」とは?
目次

近年、酒屋さんやレストランでもよく見かけるようになったナチュラルワイン。ときには「自然派ワイン」「ヴァン・ナチュール」と呼んだり、はたまた「ビオワイン」、「オーガニックワイン」というジャンルもあり、正直違いがよく分からないという方は多いのではないだろうか。

安定した品質のナチュラルワインをリリースできるようになってからまだ歴史は浅い。それでもナチュラルワインは今後より一層注目されるワインだ。

今回はナチュラルワインについての基本的な知識を紹介していく。

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ナチュラルワインの定義は?

ナチュラルワイン(Natural Wine)は英語表記で、フランス語だとヴァン・ナチュール(Vin Nature)、日本語だと自然派ワインと呼ばれている。これらはただ単に言語の違いで、同じワインを指している。

では、ナチュラルワインやヴァン・ナチュール、自然派ワイン(以下ナチュラルワインとする)と呼ばれるための基準や条件はなんだろうか。

端的に言うと、ナチュラルワインの明確な定義はない。だからこそ、今までのワイン造りの既成概念を越えた、自然の力に委ねた製法を思い思いに実践できるのが一番の良さでもある。

そんななかでも、法律で定められているわけではないが、一般的に生産者間での共通認識とされている守りごとはある。

ナチュラルワインの分類

ビオワイン、オーガニックワイン

化学肥料や農薬を使用せずに栽培したぶどうを使っているが、添加物といった人的コントロールを加えて醸造しているワインを指す。
これらは日本とEUにおいても認証基準が異なっている故、ワインショップやお店によって解釈が異なり、ナチュラルワインとして販売するかしないか分かれているのが現状だ。

ナチュラルワイン、ヴァン・ナチュール、自然派ワイン

自然への敬意を払って、自然との共生をもとに化学肥料や農薬を使用せずに栽培していることが条件になる。
培養酵母でなく、野生酵母で発酵させていること。そして、なるべく人の手を加えていない手法で自然の力を最大限に引き出す形で造られたワインを指す。

安定した品質をリリースするのは容易ではないが、その分ナチュラルワインは、ぶどうの品種や生産地よりも、造り手の理念が強く出る。
また、ナチュラルワインを名乗るには、「栽培方法」と「醸造方法」において自然であるかがポイントになってくる。以下で説明していこう。

ナチュラルワインの条件とは?

前述したように、ナチュラルワインに明確な定義はないが、ナチュラルワインと呼ばれるワインは、大きく分けて「栽培方法」「醸造方法」の2点がいずれも自然に由来しているかが大事になってくる。

ナチュラルワインの栽培方法

ナチュラルワインを作るには、自然栽培のぶどうを使う必要がある。自然栽培にも農薬や化学肥料を使わない「ビオロジック農法」や月の運行をベースにした暦に沿って栽培をする「ビオディナミ農法」、土地や環境に配慮しつつ、農薬や化学肥料を少量用いる「リュット・レゾネ」などがある。

また、ビオロジックの中にも人の干渉を最小限に抑えた「自然農法」や水やりを意図的にコントロールして乾燥状態を保つ「ドライファーミング」、農地を耕さず、ありのままを保つ「不耕起栽培」といったなど、さまざまなアプローチがある。

ナチュラルワインの醸造方法

ナチュラルワインの醸造において最も大事なのは、「野生酵母」と「亜硫酸」だ。ナチュラルワインは、「培養酵母」を添加するのではなく、醸造所や畑、ぶどうの果皮についている自然の酵母を使う。これにより、土地の個性がより大きくワインに反映される。

また、酸化防止剤として使われている亜硫酸を使わない、または最小限に使用量を抑えることも一つの共通認識だ。本来亜硫酸は、発酵をコントロールしたり、バクテリアによる汚染を抑えるために使われる。そのため、亜硫酸を使わない醸造は非常にリスクが高く、繊細であると言える。

いずれにせよ、どのやり方も自然や地球環境を考慮した手法でぶどうを育てていることがポイントになる。

ナチュラルワインの今後

ナチュラルワインは、生産地や使っているぶどうが同じでも、造り手によって味わいが大きく変わるのが最大の魅力だ。

計算された設計通りの味に仕上がるとは限らないところも含めて、普段から飲み慣れているワイン上級者にも驚きや感動を与えてくれる、そんな魅力がナチュラルワインにはある。

また、「サスティナブル」や「自然との共生」が世界共通のキーワードになっている昨今、消費者の意識も変わってきている。

ワインの消費量は世界的に減少傾向にあるが、工業的な大量生産のフェーズから抜け出して、地球環境にも人にも優しい、造り手の思いがこもったナチュラルワインに注目が集まるのは極自然な流れなのかもしれない。

とはいえ、ナチュラルワインは、肩肘張らずにカジュアルに楽しめるのがいいところ。堅苦しいことは気にせずに、今夜はナチュラルワインを楽しんでみてはいかがだろうか。

筆者プロフィール:
吉川大智(ヨシカワダイチ)
世界40ヶ国200都市の酒場とワイナリーを訪問したJ.S.A認定ソムリエ。ワインバーのマネージャーを経て、現在多数のメディアにてコラムやエッセイを執筆するライターとして活動中。
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