15208【今さら聞けない業界用語】 自動運転や電気自動車などクルマの最新トレンドが分かる「CASE」や「MaaS」とは?

【今さら聞けない業界用語】 自動運転や電気自動車などクルマの最新トレンドが分かる「CASE」や「MaaS」とは?

男の隠れ家編集部
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「100年に一度の変革期」と言われている自動車業界。ここ数年、自動運転やEV(電気自動車)など様々なテクノロジーやサービスが生まれ、それに呼応するように次々と聞き慣れない新たな言葉が出現している。ここでは、それらの中でも、近年の自動車業界の動向を最も象徴するキーワード「CASE」と「MaaS」について紹介する。
目次

次世代の技術やサービスを総称する「CASE」(ケース)

CASE(ケース)とは、元々は2016年のパリ・オートショーで、メルセデス・ベンツなどを傘下に収めるダイムラーAGのCEO、ディエター・チェッチェ氏が発表した経営戦略の中で用いた言葉だ。

C=Connected(コネクテッド)
A=Autonomous(自動運転)
S=Shared&Service(シェアリング)
E=Electric(電動化)

という4つの言葉から、それぞれの頭文字をとった造語である。

C=Connected(コネクテッド)

「コネクテッド」は、クルマにICT端末としての機能を持たせることで、車両の状態や位置、周囲の道路状況など様々な情報をセンサーによって取得し、ネットワークを通じて集積や分析することで、多種多様の価値を生み出すことを意味する。

分かりやすい例が、車内のエンタテイメント関連だ。タブレットやスマートフォンの端末を使いYouTubeの動画や音楽を楽しんだり、目的地付近でユーザーの好みに合ったレストランなどをお薦めしてくれるといったことが可能になる。

また、災害時に通行可能な道路へのルートを知らせるなど、インターネットを駆使した様々なサービスが期待できる。次世代通信規格5Gの普及により、機能はさらに拡大していくといわれている。

A=Autonomous(自動運転)

「自動運転」は、文字通り、ドライバーの代わりにクルマが自律走行するという意味だ。現在、日本でも日産スカイラインやBMWの8シリーズなど一部モデルに、高速道路のハンズ・オフ(手放し運転)機能が搭載されている。

だが、現状の機能ではドライバーは、不測の事態に備えて常に前方や周囲を確認しつつ、いつでも手動運転に切り替える必要があり、また走行エリアも高速道路に限られている(BMWは高速道路の渋滞時のみ作動)。

自動運転には、実現の度合いによって、レベル0〜5までがあるが、前述の日産やBMWの機能はレベル2。一般道も含め、ドライバーが全ての運転操作をクルマに任せる「完全自動運転」はレベル4〜5で、現在はまだ法規制や技術的な問題などにより、実用化された市販車は存在しない。

S=Shared&Service(シェアリング)

「シェアリング」とは、クルマを「共有する」ということ。ライドシェアとも言われる。最近増えてきたカーシェア・サービスが代表例。従来クルマは、個々のユーザーがそれぞれ所有するものだったが、渋滞が激しく、駐車場代や維持費が高い都市部などでは、共有することで総量を減らしたり、「持たない」ことによる低コスト化といったメリットがある。

また、タクシーのスマートフォン配車アプリなども、タクシーを利用したい乗客と付近にいるドライバーをマッチングさせるという意味で、シェアリング関連の新たなサービスだ。

E=Electric(電動化)

クルマの「電動化」とは、いわゆるEV(電気自動車)を示す。地球温暖化に対する対策として、ガソリン車やディーゼル車を規制する動きは、欧米など世界的に広がっており、特に自動車販売台数が世界一の中国が近年急速に電動化へ舵を切ったことから、世界の自動車メーカーはこぞってEVの開発競争を繰り広げている。また、EVや自動運転の開発は、Googleやテスラなど、従来からある自動車メーカーではないIT系などの企業も数多く新規参入しており、まさに「戦国時代」の様相を呈している。

全ての交通機関の新サービス「MaaS」(マース)

MaaS(マース)とは、「Mobility as a Service(モビリティ・アズ・サービス)」の略。直訳すれば「サービスとしてのモビリティ」となり、様々な移動手段をサービス化することを示す。

よって、対象となるのは一般の乗用車だけでなく、バスや電車などの公共交通機関も含まれ、それらをひとつのサービスとしてとらえて、シームレスに繋げていこうという動きだ。

定義には、まだ諸説あるが、分かりやすい例としては、スマートフォンなどの通信端末を活用し、自宅から目的地までのバスやタクシー、鉄道などの一連の交通機関の使用について、座席予約や運行状況の確認などを行うことを可能とするサービスなどが考えられている。また、バスの場合は、運転手不足などの課題解決のために、自動運転とMaaSを連動させた動きもある。

日本では、トヨタ自動車とソフトバンクが設立した「MONET Technologies(モネ・テクノロジーズ)」が、積極的にMaaSの事業化を推進中。地方自治体などと連携しつつ、通信を活用したオンデマンドなどの新サービスに関する実証実験を行っている。また、将来的に、トヨタが開発した自動運転EV(電気自動車)「e-Palette(イーパレット)」などを、MaaS分野で活用することも目指している。

ちなみに、モネ・テクノロジーズには、ホンダ・日野自動車・いすゞ・スズキ・SUBARU・ダイハツ・マツダといった他の自動車メーカーも参画。一方、ルノー・日産連合は、Google系でAlphabet(アルファベット)傘下のWaymo(ウェイモ)と手を組んでいる。つまり、国内自動車メーカーは、MaaSや自動運転分野において、事実上二分化されていることになる。

こういった動向は、新しい分野の技術や車両の研究開発には莫大な費用がかかるためだ。そのため、各社がそれぞれ単独で研究開発するよりも、数社が共同で進めることで、1社あたりの開発コストを低く抑えるといった狙いがある。複数の企業が「アライアンス(同盟)を組む」という流れも、近年における自動車業界のトレンドだ。

文:平塚直樹/写真:ダイムラーAG、トヨタ自動車、日産自動車、ビー・エム・ダブリュー、平塚直樹)

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