“スイス製”ではなく”日本製”を世界に打ち出したグランドセイコーの歴史

1964年のGSセルフデーターモデル。カレンダー機能と水深50mまでの防水機能を付けた(引用:公式サイト)

日本を代表する時計メーカー、セイコーの歴史は明治時代創業の服部時計店にはじまる。

それから、セイコーは国産初の腕時計をはじめ、今日の国産腕時計史に残る多くの傑作を世に送り出し、日本を代表する時計メーカーへと成長していった。1950年代後半になると、海外勢にも見劣りしない、高品質な腕時計が商品化されるようになり、昭和35年(1960年)には、ついに国産最高級を標榜するグランドセイコーが誕生する

それまで高級腕時計といえば、一般にはスイス製を指すものだった。さらに1950年代後半からは、精度を競う「天文台コンクール」が開かれるなど、スイスでは時計の高精度化も進んでいた。セイコーでも昭和33年(1958)にロードマーベルを、翌年にクラウンを発売するなど上位モデルの開発に取り組んでいた。そして、「世界に挑戦する国産最高級の腕時計」として満を持して発表されたのがグランドセイコーなのだ。

このようにして1960年に誕生したグランドセイコーは、発売当時の価格がエリート公務員の初任給の倍以上という、国産腕時計としては桁違いの高級品であった。グランドセイコーに求められていたのは、ただ単に国内最高級であるというだけでなく、世界を驚かせるに足る国産の機械式腕時計となることだったのだ。そして、1960年代後半には天文台コンクールで並み居るスイスの高級腕時計メーカーを退けて上位を独占し、その目的を達するのである。

グランドセイコーの魅力

それでは、国産高級腕時計としてのグランドセイコーの魅力はどこにあるのだろう。性能やデザインの面から、次の3つに大別できる。実用性と審美性の両方に優れているからこそ、グランドセイコーはアンティーク市場でも人気が高く、オーバーホールしながら長く使い続ける愛好家も多い。

セイコースタイル

1967年に発売され、セイコースタイルを確立したといわれる「44GS」モデル
(引用:公式サイト

グランドセイコーは、「セイコースタイル」と呼ばれる独自のデザイン理念を掲げている。1967年発売のモデル「44GS」において確立されたといわれ、「平面を主体とする」「ケース・ダイヤル・針のすべてにわたり平面部の面積を極力大きくする」「各面はできるだけ歪みを抑えた鏡面を原則とする」の3つを基本理念とする。

これらのコンセプトに基づいて細部におよぶ9つのデザインコードを規定し、洗練されたブランドイメージを創り出しているのだ。実用的でありながら高級感があり、さらには陰影を巧みに取り込むなど、国産ならではの意匠が多くのファンを惹き付けている。

3種のムーブメントの特徴

ムーブメント(動力源)に対するこだわりが強いのも、グランドセイコーの大きな特徴だ。

 グランドセイコーのラインアップは、ゼンマイの力で駆動する伝統的な機械式時計にくわえ、水晶振動子を用いたクオーツ式、さらにこの両者を組み合わせた「第三の駆動機構」とも呼ばれる独自の「スプリングドライブ」式の3種類のムーブメントで構成される。

アナログの機械式に対しクォーツ式の方が正確ではあるが、高級腕時計の愛好家にはぜんまいのレトロ感に愛着を持つ人も多い。そして、その両者の利点を併せ持つのがスプリングドライブ式であり、このムーブメントは世界でセイコーだけが持つ駆動方式だ。ぜんまいを動力源としながらも、時間精度のズレは月差±15秒という高精度を実現している。

マニュファクチュール

 腕時計をムーブメント部品から、自社で一貫して製造しているブランドのことをマニュファクチュールと呼ぶ。

 昨今、マニュファクチュールを名乗るブランドは少なくないが、外装部品を含むほとんどを自社又はグループ企業で調達できるブランドは、世界でもほとんどない。

グランドセイコーはムーブメントの設計から開発、製造、組立、調整、検査、出荷までを自社ですべて担う真の「マニュファクチュール」で、最先端の技術と最高レベルの匠の技を融合して作られている腕時計なのだ。

 パーツ一つひとつを素材そのものから研究・開発できる環境が、「正確さ」「美しさ」「見やすさ」そして「長く愛用できること」「使いやすいこと」をすべてかなえる時計づくりを可能にしている。

最高の精度を追求したグランドセイコー新モデル5選

ここからは、グランドセイコーの新モデル5点を個別に紹介しよう。

セイコースタイルがより進化したSBGH277

商品名:SBGH277

磨きあげた歪みのない平面を主体とする独自のデザイン
(引用:公式サイト

セイコースタイルの太祖である「44GS」のデザイン理念を受け継ぎ、さらに現代的に磨き上げた逸品。 歪みのない平面を主体とする独自のデザインは、放射状に施された美しいダイヤルパターンと響き合い、日本人が古来より持つ美意識である光と陰が織り成す無数の表情を生みだす。

ムーブメントにはハイビートのキャリバー9S85を採用し、毎秒10振動という高速振動を実現。これにより、姿勢の変化など外的要因による精度差のばらつきを抑制し、性能面でも抜群の安定感を生み出している。

華やかな銀座をイメージした限定モデルSBGA425

商品名:SBGA425

華やかな夜の銀座の街並みを表現した上品で飽きのこないデザイン
(引用:公式サイト

ダークテイストの文字盤に、ピンクゴールドの針やインデックスが鈍色に輝くダイヤルパターンが印象的な限定モデル。社交街銀座の夜に合わせてデザインされた、大人の品格を際立たせる特別仕様だ。

ムーブメントにはスプリングドライブが搭載。裏蓋には銀座周辺店舗での限定販売であることを示す「GINZA Limited Edition」の文字が刻まれている。

新キャリバー「9RA5」搭載。長持続・堅牢性を実現したSLGA003

商品名:SLGA003

鮮やかなコントラストが美しい
(引用:公式サイト

グランドセイコー誕生60周年にあたり、2020年に発売予定の記念モデルで、数量もわずか60個の稀少限定品となっている。高精度と薄さ、そして頑丈さを追及した、ブランド技術の結晶ともいえる1本だ。

巻き上げ機構をムーブメントの中心からずらすことでより薄くするとともに、 歯車の輪列位置を調整することとそれを支えるブリッジにより、堅牢性も確保。ムーブメントのキャリバー9RA5はさらに、平均月差±10秒の精度と最大約120時間という持続性の両立に成功している。防水性にも優れていてダイバーにもおすすめだ。

 色あせない輝きを放つ初代グランドセイコーの復刻モデルSBGW257

商品名:SBGW257


 クラシカルな意匠と現代の技術が融合した復刻モデル
(引用:公式サイト

1960年の初代モデルのデザインを踏襲しつつ、現代の技術と感性で復刻したのがSBGW257だ。ムーブメントには、手巻きのキャリバー 9S64を採用。安定した精度を保ちつつ、 約72時間の駆動時間を誇る。

サファイアガラスを使用し、ケースサイズもやや大きくするなど、デザインの基本理念はそのままに視認性も向上。18金ゴールド製のインデックスも、優雅で落ち着いた大人の雰囲気を醸し出している。

個性が光るゴジラ65周年記念限定モデルSBGA405

商品名: SBGA405

ゴジラが放つ放射熱線をイメージした深紅の文字盤
(引用:公式サイト

1954年に誕生したゴジラの生誕65周年を記念して作られた限定モデル。ゴジラの口から放たれる深紅の放射熱線をイメージした放射パターンが施された文字盤と、ゴジラのゴツゴツとした肌の質感を表現するため赤色にコーティングされたバンドが、ゴジラの何ともいえない力強さと不気味さを漂わせている。

裏蓋には、限定モデルにふさわしく、1954年に公開された第一作の名シーンである銀座の街を破壊するゴジラと和光本館の時計塔が描かれている。