暑い夏、多くの人が涼しさを求めて訪れる人気の観光スポットが「鍾乳洞」だ。涼しさもさることながら、その美しさはまさに“百聞は一見に如かず”で、実際に見てみなければわからないことだろう。そこでこの記事では、日本でもとくに美しいとされる3つの鍾乳洞を紹介する。

自然が生み出した美しき景観「鍾乳洞」

そもそも「鍾乳洞」とは、石灰岩が雨水や地下水によって浸食されてできた洞窟のことを指す。洞窟内には浸食途中にできる鍾乳石があるのが特徴で、これは天井から水が滴り落ちる際に、石灰の成分だけが固まってできる。

一口に鍾乳石といってもいろいろな種類のものがあり、代表的なものとして「つらら石」「石筍(せきじゅん)」「流れ石」などが挙げられる。

この鍾乳石は1cm伸びるのに100年かかるといわれるほど、気の遠くなるような年月をかけて形成されている。だからこそ、鍾乳洞には神秘的な美しさが生まれるのだろう。

鍾乳洞の内部は日光の影響を受けないため、真夏でも肌寒いような気温となっている。夏の時期の避暑としてはぴったりだが、観光の際にはあまり薄手の服装で向かわないよう注意しよう。

なかには、海外のケイビング(洞窟探検)を習って、アクティビティ性の高いコースが用意された鍾乳洞もある。鍾乳洞は美しさが楽しめるとともに、少年心をくすぐる探検にも出られるスポットなのだ。

そんな鍾乳洞だが、日本にはとくに美しいと有名な三大鍾乳洞というものがある。以下ではこの3つの鍾乳洞について詳しく紹介しよう。

秋芳洞・山口県~日本最大級の長さを誇る~

まず紹介するのが、山口県にある「秋芳洞(あきよしどう)」だ。秋芳洞は、日本最大のカルスト台地にできた屈指の大鍾乳洞で、国の特別天然記念物にも指定されている。

全長10.7kmと日本最大級の鍾乳洞であり、そのなかの一部(1km)が観光ルート・冒険ルートとして公開されている。見どころはやはり、「百枚皿」「傘づくし」「黄金柱」の3つだろう。

まず百枚皿とは、流れ出る水が沈積することによってできた皿状の形成物で、まるで棚田のように石がずらりと連なっている。その皿の数はなんと500枚にも上り、大きいものでは直径4mを超えるものもあるのだとか。

そして傘づくしとは、天井から閉じた傘がいくつも吊り下げられているような見た目から名付けられた鍾乳石のこと。現在1mほどの鍾乳石も、いまなお時間をかけて成長している。

最後、秋芳洞のシンボルともいわれる黄金柱は、高さ15m・幅4mの巨大な石灰華柱だ。何本もの鍾乳石が重なり合って岩肌に付着し、今のような姿になったといわれている。

秋芳洞へのアクセス・所要時間

秋芳洞は山口県美祢市秋芳町秋吉にある。アクセス方法は、公共交通機関ならJR「新山口駅」からバスで45分の「秋芳洞」で下車、車なら中国自動車道「美祢東JCT」経由小郡萩道路「秋吉台IC」から車で5分となっている。

入洞料は、大人(高校生以上)1,200円・中学生950円・小学生600円で、営業時間は3~11月の間は8:30~17:30、12~2月の間は閉洞が1時間早まり8:30~16:30だ。また冒険コースに参加するなら、入洞料にプラス300円が必要なので注意しよう。秋芳洞案内所で予約をすれば、1,500円でコースガイドも受けられる。

龍泉洞・岩手県〜世界で有名な巨大地底湖〜

次に紹介するのは、岩手県にある「龍泉洞(りゅうせんどう)」だ。こちらの鍾乳洞は、洞窟内に住むコウモリとともに、国の天然記念物に指定されている。

全長はおよそ5kmといわれているが、いまなお調査が続いており、今後新たに鍾乳洞が見つかる可能性もある。ちなみに現在公開されている観光ルートは700mだ。見どころとしては、「5種類のコウモリ」「百間廊下」「地底湖」が挙げられる。

龍泉洞には、ウサギコウモリをはじめとした5種類のコウモリが生息している。1つの洞窟内に5種類のコウモリが住んでいるのは珍しいのだそう。コウモリが住む穴には、「蝙蝠穴」という看板が下げられている。

次の百間廊下とは、入り口から洞窟の奥へと続く直線的な通路だ。断層に沿って形成されたこの通路には、龍が通ってできたという逸話も残る。

そして、龍泉洞の一番の見どころといっても過言ではないのが、世界有数の透明度を誇る地底湖だ。

ドラゴンブルーとも呼ばれる龍泉洞の地底湖は、幻想的な青で彩られており、名水百選にも選ばれている。現在公開されているのは3箇所だが、洞窟内部にはほかに5つあり、現在も調査が進められている。龍泉洞に足を運んだ際には、しっかりと目に焼き付けておこう。

龍泉洞へのアクセス・所要時間

龍泉洞の所在地は、岩手県下閉伊郡岩泉町だ。JR「盛岡駅」よりバスで約2時間10分、車なら東北自動車道「盛岡IC」から約2時間でアクセスできる。

入洞料は高校生以上の大人が1,000円・小中学生が500円。営業時間は10~4月が8:30~17:00、5~9月が8:30~18:00 となっている。また2週間前までの予約で、岩泉観光ガイド協会によるコースガイドも受けられる。料金は人数によって変動があり、1人300~2,000円となっている。

龍河洞・高知県〜日本の地質百選に選定〜

日本三大鍾乳洞最後の1つが、高知県にある「龍河洞(りゅうがどう)」だ。

こちらは国の天然記念物および史跡、日本の地質百選に指定されている鍾乳洞で、その前長は4km、観光コースは1kmとなっている。また事前予約をすれば、専用のヘルメットや作業着を着て道なき道を行く、冒険コースも体験できる。

2019年7月には音と光、そしてプロジェクトマッピングを駆使した体験型施設に生まれ変わった。そんな龍河洞の見どころには、「記念の滝」「天降石」「神の壺」というものがある。

記念の滝とは、龍河洞内部にある11mの滝のこと。滝つぼにライトが置かれているため、幻想的な景色を楽しむことができる。

続いて天降石は巨大な石柱のことで、そばにはユニークな形をした鍾乳石が垂れ下がっている。長い年月をかけてできたこれらの形成物は、自然の力が持つ迫力を感じさせてくれる。

最後の神の壺とは、約2000年前にこの洞窟に住んでいた弥生人が使用していた壺が、鍾乳石と一体化したものを指す。どのように鍾乳石が成長したかの目印となることに加え、考古学上でも貴重な資料となっている。

またこのほかに、龍河洞にはショッピング、カフェ、ドリンクスペースなど洞窟内で1日過ごせるような施設がそろっている。無料Wi-Fiも設置されているので、1日ゆったりと涼しい鍾乳洞内で過ごすのもよいだろう。

龍河洞へのアクセス・所要時間

高知県香美市土佐山田町にある龍河洞。公共交通機関を利用するならJR「土佐山田駅」からとさでん交通バスで約20分の「龍河洞」で下車、車なら高知自動車道「南国IC」から約25分とアクセスがよいのが嬉しいポイント。

入洞料は高校生以上の大人が1,200円、中人700円、小人550円だ。営業時間は3~11月は8:30~17:00、12~2月は8:30~16:30となっている。ちなみに冒険コースはプラス1,000円で、ヘルメット・ヘッドランプは無料レンタル、つなぎ・長靴は別途1,000円でレンタルできる。

さらに前日15時までに予約すれば、公益財団法人龍河洞保存会によるコースガイドを受けることも可能。料金は大人子ども関係なく1人500円で、1回のガイドは最大5人までだ。

自然の神秘と力強さを感じる、壮大な鍾乳洞。日本には各地に鍾乳洞があるが、興味がある方はぜひ今回紹介した日本三大鍾乳洞から巡ってみてはいかがだろうか。