コロナ禍で外食することが減った一方で、自宅時間が長くデリバリーを利用する機会が増えた人も多いことだろう。海外旅行も難しい今、色々な国の料理を楽しんで、旅行気分を味わってみてはいかがだろうか。

今回おすすめしたいのは、ネパール料理だ。インド料理と混同されることも多いが、中国やチベット、東南アジアの食文化と混ざり独特の魅力がある。本記事ではネパールの食文化や代表的な料理など、ネパール料理の特徴について詳しく紹介しよう。

ネパールの伝統的な食文化とは

ネパール料理は、日本でインドやタイ料理ほどポピュラーではないため、造詣が深い日本人は少ないだろう。ここではまず伝統的なネパールの食文化について、詳しく紹介しよう。

ネパールの特徴的な食文化

ネパールの食文化はインドと同じく、ヒンドゥー教の影響が色濃く反映されている。最も特徴的なのが、食べられる肉の種類が限られていることだ。

ネパールで主に食べられているのは、ヤギ、水牛、鶏の3種類。ヒンドゥー教徒は牛肉を食べないのでは?と疑問に思う人もいるかもしれない。確かに、ヒンドゥー教では牛は神と同等とされ崇められている。ただし、水牛は食用とされ一般的に普及しているのだ。

ちなみに、3種の中で最もご馳走とされているのが鶏だ。ネパールでは祭りや来客など、特別な時にもてなす料理として、チキンカレーが振る舞われることが多い。ネパール人が好きなのはヤギの肉で、豚は汚いものとして、食べる人が限られている。さらに、宗教的な理由から、肉や魚をまったく食べないベジタリアンも多く存在している。

また、ネパールでは他人が口にした料理は汚れていると考えてられており、夫婦間以外で料理を共有しない。これは鍋を囲む文化のある日本人からすると、カルチャーギャップを感じるところだ。

宗教以外で日本との大きく違うのは、冷蔵庫がそれほど普及していないことだ。そのため、買った食材は基本的にその日のうちに使い切る。都会にはスーパーもあるが、買い出しは市場が中心で、野菜を天秤で計って買うなど、日本ではあまり見られなくなった活気ある青空市場の光景が今も健在である。

ネパールでの食事の時間帯

食事をとる時間帯も、日本とは少し異なる。1日3食の日本と違い、1日2食+軽食が基本的なスタイルだ。

朝起きるとまずお茶を飲み、10時頃にしっかりとした朝食を食べる。そして15時頃に昼食の代わりとして「カジャ」と呼ばれる軽食をとった後、20~21時頃に夕食を食べる。日本人からすると、どの食事の時間帯も少し遅く感じられるが、これがネパール人のオーソドックスな生活スタイルなのだ。

ネパールの定番定食 「ダルバート」

ネパールで朝夕ともによく食べられている、オーソドックスな定食が「ダルバート」。「ダル」は豆、「バート」は米を意味する。

インド料理がナンが主食であるのに対し、ネパール料理では米が主食なのが特徴だ。そこに豆のスープと野菜のカレー、そして「タルカリ」と呼ばれる数種類の付け合わせが1つの皿に盛られて出てくる。様々な料理が少しずつ食べられるので、栄養面でもバランスがよい。

ダルバートは、多くのネパール・インド料理店で提供されている。特に最近ネパール料理店が増えて激戦区となっている新大久保では、各店がワンコインで食べられるダルバートランチを提供しており、人気を博している。

本格的なネパール料理を食べられると話題の「ネパール民族料理AANGAN(アーガン)」では、500円で「チキンダルバットセット」を提供している。ワンコインでチキンカレーと豆のスープ、ライスに付け添えが付く、満足度の高いランチだ。(参考:ネパール民族料理アーガン新大久保店

肉料理

ここからはそれぞれの料理について、詳しく説明していこう。ネパールの肉料理は、柔らかさより歯ごたえが重視され、スパイスをたっぷり使ったものが多い。代表的なメニューは以下の3つだ。

外はカリカリ、中はジューシー 「セクワ」

鶏の肉を調味液に漬け込んで串刺しにし、炭火で焼いた料理が「セクワ」だ。調味液にはガラムマサラや唐辛子、にんにくなどのスパイスがふんだんに使われており、ビールなどのつまみとしても相性がよい。

高温の炭火でじっくり炙っているため、外はカリカリ、中はふっくらでジューシー。一般的には鶏肉が多いセクワだが、羊や水牛を使ったものもある。特に水牛を使ったセクワを扱う店は日本に少なく、現地ならではの料理と言えるだろう。

セクワはネパール料理の中でも有名であるため、日本でも取り扱いのある店が多い。もしテイクアウトして自宅で楽しみたいなら、池袋駅にある「こせり」をおすすめしたい。チキンやポーク、マトンと3種類のセクワがあるので、食べ比べてみても楽しいだろう。(参考:こせり

ネワール族の伝統料理 「チョエラ」

肉をスパイスでマリネした 「チョエラ」は、ネパールの先住民ネワール族の伝統料理だ。基本的には水牛が多いが、鶏や羊が使われることもある。

マリネしているためスパイスが中まで染み込み、ピリリと辛味と旨味が効いているのが特徴で、焼いて食べる「ハクチョエラ」と、蒸して食べる「マンチョエラ」がある。

手間のかかる料理のため、ネパールでは祝い事や祭りの際に、もてなしの料理としてよく振る舞われている。チョエラは西大島にある「ネパール居酒屋シティマート東京店」で食べられる。チキンとマトン2種類あるので、ぜひ食べ比べてみてほしい。(参考:ネパール居酒屋シティマート東京店)

スパイシーな干し肉 「スクティ」

「スクティ」とは干物のこと。冷蔵庫が普及していないネパールでは、肉をさばく際、余すことなく使い切るために、干物にして保存する文化が根づいているのだ。また、高山に住む少数民族の保存食としても活用されている。

野菜と一緒にカレーに混ぜたり、香辛料と一緒に炒めたりと、調理の仕方も様々なバリエーションがある。シンプルに塩こしょうして炙っただけでも、酒のつまみとして絶品だ。

スクティは、東馬込のネパール料理店「チャーミング」で提供されている。近郊ならばテイクアウト可能なため、一度トライしてみてはいかがだろうか。(参考: チャーミング

主食

ネパール人は前述のダルバートをほぼ毎日食べるため、主食は米とカレーだ。ただポピュラーな麺料理や鍋料理もあり、違った味を求める時や特別な時に食されている。以下に詳しくご紹介しよう。

広地域で愛される 「チャウミン」

「チャウミン」は、日本の焼きそばに似た、カレー風味の麺料理である。漢字だと「炒麺」と表記するチャウミンは、もともと中華圏が発祥であり、ネパールだけでなく世界中で食べられている。

具材は店によって様々だが、ネパールではチキンやキノコ、玉ねぎ、卵、海産物、ナッツなど入れることが多い。スパイスも店によって違うが、一般的に辛さは控えめであるため、日本人でも食べやすいメニューだ。

チャウミンは日本でも、多数のネパール料理店で食べることができる。湯島・春日・本郷に3店舗を持つアジアンダイニング&バーの「マリカ」でも人気メニューの一つだ。ちょっぴりスパイシーなネパール風焼きそばを、ぜひ自身で味わっていただきたい。(参考: マリカ

ネパールで大人気 「トゥクパ」

中国・チベットから伝わった、うどんに似た麺料理だ。小麦粉が貴重なネパールでは、晴れの日に食べる特別な料理として人気がある。

もちもちしてコシがある麺と、トマトや玉ねぎ、ほうれん草などの野菜を、塩味のチキンベーススープで煮込んで作られている。スパイスをよく使うネパール料理としては珍しく、優しい味が特徴だ。

トゥクパは高輪にあるネパール料理店「レッサムフィリリ」で食べられる。ネパールの伝統料理を数多く扱う店であるため、ほかのメニューと合わせて楽しみたい。(参考:レッサムフィリリ

お店で食べる高級料理 「ギャコック」

もともとチベットの王宮で食べられていた、宮廷料理の「ギャコック」。チベット鍋と呼ばれる、日本のしゃぶしゃぶ鍋に似た特殊な鍋を使って作る寄せ鍋のような料理だ。

ネパールでは今でも高級料理として知られており、家庭料理ではなくレストランなどで食べることが多い。具材は水牛や羊肉、野菜や春雨、卵などが一般的で、店によっても違いがある。数種類のハーブと岩塩のみのシンプルな味付けで、あっさりしているため、スパイスが苦手な人にもおすすめだ。

ギャコックは、前述した高輪のネパール料理店「レッサムフィリリ」でコース料理として提供されている。ネパール料理店の中でも取り扱いがある店が少ないので、機会があればぜひ試してみよう。

軽食

軽食というと、日本ではおやつに近いイメージだが、ネパールでは昼食代わりであり、割とボリュームのあるものが食べられている。実際どんなメニューがあるのだろうか。詳しく紹介していこう。

軽食の代表格 「モモ」

ネパール料理の軽食といえば、一番有名なのが「モモ」だ。具材を皮で包み、蒸したり揚げたりして食べる料理で、見た目は餃子や小籠包に似ている。ここでも、中華圏の食文化が色濃く反映されているのだ。

具材は鶏肉や水牛がよく使われるほか、肉の入っていない野菜だけのモモも存在する。酢醤油でいただく日本と違い、ネパールのモモは様々なスパイスを使ったスープにつけて食べるのが一般的だ。店によってスープの味が違うので、食べ比べてみるのも一興だろう。

モモはネパールの代表的軽食であるため、多くのネパール料理店で提供されている。その中でもおすすめの店は、新大久保にある「ネパール居酒屋モモ」だ。その名の通り「モモ」が看板メニューで、ぷりぷりでジューシーな旨さがウリである。(参考: ネパール居酒屋モモ

ネパールのお好み焼き「バラ」

ネパール語では「ウォー」と呼ばれる「バラ」は、レンズ豆の粉にひき肉や卵を混ぜて焼いた、ネワール族の伝統料理である。

豆をすりつぶす時に香辛料やスパイスを混ぜているため、チリソースとの相性は抜群だ。外はカリカリ、中はフワフワの食感は、日本のお好み焼きにも似ている。粉もの料理好きにはぜひともおすすめしたい。

バラは、十数年以上東京のネパール料理店を牽引してきた老舗の「サンサール」で食べられる。カレー味のソースがかかった生地にナイフを入れると、とろりと半熟の卵が流れ出す。カリッとした生地とのコントラストを、ぜひ自身の舌で確かめていただきたい。(参考: サンサール

初心者にもおすすめ 「チャタモリ」

 「チャタモリ」もネワール族の伝統料理で、薄く平たい見た目はバラと似ているが、レンズ豆の粉ではなく、米粉を使っているのが特徴だ。

パリッと薄く焼き上げた生地に、卵やひき肉、みじん切りにした野菜やカレーなどを乗せて食べる料理で、「ネパールのピザ」とも呼ばれている。

スパイスのクセも強くなくあっさりと食べられるので、ネパール料理初心者にもおすすめだ。

こちらのチャタモリは前述の「サンサール」のほか、東京・根津のネパール料理レストラン「PASA(パサ)」で食べられる。PASAでは各種料理のテイクアウトも行っているので、自宅でゆっくりと味わってみるのもよいかもしれない。(参考:PASA

スイーツ

中国やチベット、インドの食文化の影響を受けたネパールは、スイーツも多彩だ。ここではポピュラーなお菓子を3つご紹介する。

食感も楽しめる 「セルロティ」

米粉から作ったドーナッツのようなお菓子で、現地では屋台などで安価で提供されている庶民的なスイーツである。

米粉といっても荒く潰してあるため、表面に米のプチプチ感が残っており、面白い食感が楽しめる。地元民はカレーなどをつけて食べることもあるようだが、日本人にはまず揚げたてをそのまま食すことをおすすめしたい。

こちらのセルロティは、巣鴨にあるネパール料理店「プルジャダイニング」で食べられる。カリッとした食感が絶品であり、かなうならできたてを食べてみてほしい。(参考:プルジャダイニング

ネパールで大人気 「ジェリ」

ネパールで定番菓子として知られている「ジェリ」は、揚げた生地をシロップに数分漬けて作った、とても甘いスイーツだ。

インドでは製法も味もほぼ同じの「ジャレビ」という菓子があるので、そちらを知っているという人もいるかもしれない。

ジェリはきれいに揚げられるようになるまでに、相当な修行が必要と言われている。熟練の職人が作ったジェリはかじった瞬間、カリッとした生地からじゅわっと甘いシロップが溢れ出す。特に温かい牛乳とは相性がよい。

かなり甘いので好き嫌いはあるかもしれないが、本国ネパールでも大変人気のスイーツであり、甘党にはぜひおすすめしたい。

ジェリを取り扱う店は日本では少ないが、西葛西にある「トウキョウミタイワラ」で購入できる。こちらは日本では珍しい、インド菓子の専門店。ジェリ以外にも美味しそうなスイーツがたくさん並んでおり、思わず目移りしてしまいそうだ。(参考:トウキョウミタイワラ

冬至の満月に食べられる 「ヨモリ」

もともとはネワール族の伝統菓子であったが、現在は他の民族にも広く好まれているネパールの名産スイーツだ。

米粉を練った生地の中に、ゴマや香辛料を混ぜたチャクと呼ばれる糖蜜を入れ、蒸しあげている。

ヨモリはネワール族の行事で使われることが多く、特に12月の満月に行われる「ヨモリ・プーネマ」には欠かせないお菓子だ。日本のネパール料理店ではあまり見かけないが、もし食べる機会があればぜひ試してみてほしい。

飲み物

最後に、ネパール料理で忘れてはいけないのが飲み物だ。ここではネパールで特によく飲まれている2種類をご紹介しよう。

ネパールで欠かせない飲み物 「チャ」

日本ではインドの呼び方である「チャイ」という名で知られているが、ネパールでは「チャ」と呼ばれている。

紅茶にたっぷりのミルクと砂糖を入れて煮立て、クローブ、カルダモン、シナモン、しょうがなどのスパイスで香りづけをしたミルクティーだ。

ネパール人が朝起きてまず飲むのがこのチャである。朝以外にも朝食や来客時など、一日に何度も飲むのが一般的で、ネパール人のソウルドリンクといっても過言ではないだろう。

中目黒にあるおしゃれネパール料理店「ADI」では、本格的なネパール式のチャイとラッシーを、ドリンクスタンドで味わえる。手軽に購入できるので、ぜひ立ち寄ってみよう。(参考:ADI

日本でも大人気 「ラッシー」

日本でもインド料理店などで人気の「ラッシー」。ダヒと呼ばれるヨーグルトから作った、ヨーグルト飲料である。

日本のレストランではドリンクがそのまま出てくるが、現地ではナッツ類やドライフルーツなどを乗せて提供されることも多い。

プレーン以外にもマンゴーやバナナなど様々な種類があるので、バリエーションを楽しんでみてはいかがだろうか。

このラッシーを、自宅で手軽に作れる商品がある。ハウス食品が発売している「カレーパートナー」シリーズの「牛乳と混ぜるだけプレーンラッシー」、「牛乳と混ぜるだけマンゴーラッシー」だ。その名の通り、牛乳と混ぜるだけで簡単に作れるので、ネパール料理をテイクアウトした際のお供にいかがだろうか。

まとめ

ネパール料理はインド料理より日本人にとってはなじみが薄いかもしれない。しかし、中華料理やチベット料理の影響を受けていることでスパイスが控えめなメニューも多く、意外にも日本人にとってインド料理より食べやすいメニューが多いのだ。

コロナ禍で異国へ旅をするのも難しい今、いつもと違う料理をテイクアウトしてオリエンタルな気分に浸るという楽しみ方もある。この機会にぜひネパール料理にチャレンジしてみてはいかがだろうか。