102921【前編】昭和×温泉人情旅「熱海温泉」時代が交差する路地を行く

【前編】昭和×温泉人情旅「熱海温泉」時代が交差する路地を行く

男の隠れ家編集部
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昭和の時代に新婚旅行や団体旅行で賑わった街、それが熱海。時代の流れとともに変貌を遂げつつも、昭和を彷彿とさせるものは今も息づいている。

(※その他の写真は【関連画像】を参照)

※この記事は2024年11月号に掲載されたものです。

■偶然耳にした人々の熱海愛、リゾートホテルに見た昭和

暑さから逃れたくて店の名も見ずに喫茶店へ入った。U字型のカウンターでほぼ占められている店内では、女性店主と3人の年配客が熱海の今について話し合っている。

「若者の観光客がずいぶん増えたなぁ」「でも懐かしい昭和が失われたわけじゃない」「路地や昔からの店とか残っているし」。

熱海愛に満ちた楽しげな会話につられて、その輪に加わったが、店を後にしようとしたときこう言われたのだ。「またおいでよ。私らは熱海に住んでいるんだし、いつもこの店にいるから」。

熱海を愛し、熱海の土に根差して生きてきて、これからも暮らしていこうとする人々の言葉には、心を潤す温かさがこもっていた。

熱海が発展した理由は、昭和9年(1934)に熱海駅─函南駅間の丹那トンネルが開通し、東海道本線が熱海経由となったこと。

さらに昭和39年(1964)の東海道新幹線の開通によって東京─熱海間は58分(現在は45分)で結ばれ、熱海は新婚旅行のメッカとなる。衰退した観光地の代名詞となった時代もあったが、官民挙げての努力が実って昭和の風情を残しつつ熱海は蘇った。

広大な海原を背景に佇むホテルニューアカオ、オーシャン・ウイング棟。2023年7月にリニューアルオープン。

土地の人々の言葉に触れ、熱海の歴史を心に刻みつつ向かったのは、昭和48年(1973)に開業した名勝・錦ヶ浦に聳え立つ「ホテルニューアカオ」。

このホテルは現在2つの宿泊棟と大浴場棟の3大施設で構成されているが、そのうち昭和が今も息づく「オーシャン・ウイング」を訪れた。

チェックアウトの時間帯で、さまざまな年齢層の宿泊客と行き交う。その幅の広さはホテルの魅力がもたらすものなのだという思いがよぎる。

往時の姿を写した古写真が飾られた通路。
同ホテルの前身である赤尾旅館の古写真(創業時、1954年頃)。

そして、ロビーから「メインダイニング錦」へ。広報を務める山口愛海さんは「今の時代ではとうてい実現不可能な豪華絢爛な造りと内装、日本離れした憧れの舞台のような豪傑さを、そのまま大切に守り続けています」と語った。

「メインダイニング錦」には、時代を感じさせるシャンデリア、手直しされた昔からの椅子やテーブル、重厚そのものの柱、そして数々の調度品があった。それらが醸し出す歴史の重みは別格の風情を漂わせているようだ。

496席ある豪壮な「メインダイニング錦」はビュッフェ会場となっている。

しかし、昭和を受け継ぎながら新たな手法も駆使している。その一つが昔懐かしい街並みを再現した「にぎわい横丁」。壁にはレトロな看板が飾られ、赤い公衆電話も。

昭和からの三世代が楽しめるファミリー用の客室も新設、ホテルの新たな試みからも目が離せない。

宴会やダンスホールとして使われていた600m2の広さの「サロン・ド・錦鱗(きんりん)」。錦ヶ浦の立地と波間が魚の鱗のように見える景観から錦鱗と名付けられた。天井にはスワロフスキー製のシャンデリアが昔のままに。
「メインダイニング錦」からの景色。

⚫︎部屋から伊豆大島を望む「リニューアルした客室」

新設されたプレミア和洋室は最大7名まで宿泊可能。「以前、宿泊されたお客さまがお子さんとお孫さんをお連れになる。そんな三世代ファミリーでご利用いただきたいお勧めのお部屋です」と山口さん。

⚫︎「新設の缶詰Bar」にぎわい横丁でインベーダーゲームも!

温泉から出てすぐのにぎわい横丁にある缶詰バーには、全国各地から集めた約50種類の缶詰が並ぶ。昔懐かしいレトロな看板が飾られるカウンター席も。

⚫︎蘇った熱海のランドマーク「ホテルニューアカオ」

海洋上に佇む「オーシャン・ウイング」と断崖絶壁の頂上に聳える「ホライゾン・ウイング」で構成され、熱海のシンボルとして親しまれるリゾートホテル。

「オーシャン・ウイング(旧ホテルニューアカオ本館)」は2021年11月にコロナ禍などにより閉業したが、2023年7月に「オーシャン・ウイング」として復活。昭和時代の意匠を守りつつ、新たな旅のスタイルに合わせた挑戦も行う。

静岡県熱海市熱海1993-250
TEL/0557-83-6161
料金/1泊2食付1万5800円(入湯税別)~
客室数/350室
チェックイン・アウト/15:00・10:00

熱海温泉
問い合わせ/熱海市観光協会
TEL/0557-85-2222
アクセス/(車)東名高速道路「厚木IC」より約1時間。
(電車)JR「東京駅」より東海道新幹線で約40分「熱海駅」下車。

※この記事は2024年11月号に掲載されたものです。

文/相庭泰志 撮影/遠藤 純

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