99568大正4年創業の老舗蔵「八丈島酒造」|夏、島焼酎が呼んでいる

大正4年創業の老舗蔵「八丈島酒造」|夏、島焼酎が呼んでいる

男の隠れ家編集部
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■酒祖・庄右衛門の情熱を島の蔵人たちが受け継ぐ

(※その他の写真は【関連画像】を参照)

八丈島酒造は島一の歴史を誇る酒蔵である。次代を担うのが杜氏見習い3年目の奥山武宰士さんである。スポーツ選手として東京本土などで暮らした後、故郷八丈島へと帰還した。いつか、蔵を受け継ぐだろうという予感はあったと話す。

光を当てて蒸留中の様子を確認する。

蔵付き酵母の香りが漂う工場内を見学する。心臓となる大きな蒸留機、タンクでは醪が呼吸している、静かに、できあがる瞬間を待っているかのようだ。畑には植えたばかりのさつま芋が青々と葉を広げ始めていた。こだわりは原料となる八丈島産のさつま芋だ。

九州では黄金千貫など専用の芋を用いるが、食用の芋を使うことで甘みがプラスされる。生産効率よりも味わい、独自性で勝負だ。

「“醪(もろみ)”が呼吸していますね」と楽しげな奥山さん。焼酎は麦や米麹から酵母を作り(一次仕込み)、さらに麦や芋などの原料を加えて発酵を促す(二次仕込み)。

「元々島では食用としてさつま芋を作っていたようです。米があまり取れない地域ですから、焼酎はとても貴重なものだったそうです」と奥山さん。まず食べ物としての芋が必須で、昭和初期でも一日働いた日当で焼酎一升瓶が買えるかどうかだったという。

島の総人口は約6900人(令和6年時点)。昭和30年度時点の約1万2000人から半減している。後継者不足で現在は4つの酒蔵が残るのみである。

島民に愛されてきた酒だがこれからは都内などへの販売努力もしていきたいと話す。親子で営む小さな蔵。年間生産量は四合瓶で6万本くらいだ。量より質、こだわりは何よりも強い。

今注力している銘柄「江戸酎」はその結晶である。4種のさつま芋を軸として10種以上を独自にブレンドしている。微妙な塩梅によって年ごとに味わいも異なる。

3代目の奥山武宰士さんが「今まで飲んだことのない芋焼酎だと思います」と自慢の江戸酎を勧めてくれた。

橙色系芋なら紅茶のような香り、紫色系芋ならヨーグルトのような香り……複雑な味わいはジャズのセッションではないか。島のお爺さん、お婆さん、自分たちで作る原料のさつま芋は、さながら五線紙に踊る音符ということか。

「今まで飲んだことのないような芋焼酎です。八丈島産の芋ですから島を思い出していただけると思いますし、来島したいと思っていただければ」と奥山さん。

そして「子どもにも継いでもらいたいですけどね」と笑う。そこに島で百年続く酒蔵としての誇りを感じる。

■江戸酎(えどちゅう)

八丈島産の食用さつま芋だけで仕込む3年熟成の芋焼酎。白黄・紫・橙色芋系など約10種を配合し、年ごとに味が微妙に変化。複雑芳醇なアロマは貴婦人のよう。昔ながらの製法で造るイチ推しの酒。

720ml/2090円
アルコール度数/25度
原料/八丈島産さつま芋(100%)・麦麹

■一本釣り(いっぽんづり)

爽やかな麦の香りが吹き抜ける本格焼酎。口当たりの滑らかさ、透明感は減圧蒸留(蒸留機内の気圧を下げて低い温度で沸騰させる)ならではだろう。麦を極限まで冷ましてから仕込んでいる。

720ml/1188円
アルコール度数/25度
原料/麦・麦麹

■八重椿(やえつばき)

麦焼酎(9割)にさつま芋焼酎(1割)を少しブレンド。麦の香ばしさを纏いつつ、舌で転がせばフルーティな芋の香りと優しい甘みが広がり幸福感で満たされる。知るほどに奥深い酒造の代表銘柄。

720ml/1188円
アルコール度数/25度
原料/麦・八丈島産さつま芋・麦麹

■島流し(しまながし)

香り高く、鼻腔を刺激する芳香が五感を目覚めさせる。それもそのはず、アルコール35度の本格焼酎である。麦4:芋6の割合で甘みとまろやかさが調和。ロック飲みを勧めたい個性あふれる味わい。

700ml/2365円
アルコール度数/35度
原料/八丈島産さつま芋(60%)・麦(40%)・麦麹

●夏にぴったり!

スパークリング焼酎「Sparkling MARUSE」

業界初のスパークリング+焼酎。本来の精麦歩合70%から50%まで削ることで麦本来の味と爽やかな香りを際立たせ、さらに芋の華やかな香りをプラスした。

720ml/3300円
アルコール度数/12度
原料/八丈島産さつま芋・磨き麦(精麦歩合50%)

八丈島酒造
東京都八丈島八丈町大賀郷1576
TEL:04996-2-2855
公式HP:八丈島酒造

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