29451SeaKayak Camp〜大海原を自在に散策した後は伊豆の美味で至福の酒宴を。|はじめませんか?ソロキャンプ

SeaKayak Camp〜大海原を自在に散策した後は伊豆の美味で至福の酒宴を。|はじめませんか?ソロキャンプ

男の隠れ家編集部
編集部
西伊豆の松崎にはキャンプサイトの脇からシーカヤックに乗り、そのまま海に出ることができるキャンプ場がある。キャンプに何かひとつ刺激が欲しい人に最適のソロキャンプフィールドだ。
目次

商店街まで歩いて行けるユニークなキャンプ場

首都圏に住む人にとって、伊豆半島はとても身近なリゾート地として人気が高い。海や山に魅力的なスポットが目白押しなので、様々なアウトドアスポーツが愉しめる。それに加えあまり俗化されていない西海岸では、今もノスタルジックな風景を残す町がたくさんあるのも人気の要因だ。

そんな西海岸の松崎町には、一風変わったキャンプ場がある。松崎港に面した「伊豆松崎あそび島キャンプ場」だ。かつては造船所だった場所を改修。松崎の商店街から歩いて行けるというとても便利な施設なのである。とはいえ芝生の快適なサイトは、全て那賀(なか)川の河口や松崎港に面し、町中にいることを忘れさせてくれる。

キャンプ場とシーカヤックのプロショップという、ふたつの顔を持っているのも特徴。
入口付近には圧巻の艇庫がある。世界の名艇がズラリと並んでいた。
設営に手間取るのを避けるため、今回のテントは月明かりでも迷わず張れるモンベルのムーンライト1型を用意した。
タープはソロキャンプに最適なユニフレームのREVOタープを合わせた。
チェアはカヤックにも楽に積めるヘリノックス チェアワンをセレクト。快適かつソロでも準備を楽にこなせるラインアップである。

商店街まで歩いて行ける利点を活かし、チェックインを済ませテントやタープを設営した後、商店街へ食材の買い出しに行った。

松崎の商店街はキャンプ場から徒歩3分ほど。なまこ壁が有名な美しい町並みを愉しみながら、散策を兼ねて食材を買いに出た。

魚本来の味を最大限に引き出し、連日売り切れ必至の「はやま」のさつま揚げ、ワンランク上の肉や名物の川海苔コロッケで知られる「アサイミート」、港の漁協直売所で干物などを購入。

漁協直売所、さつま揚げのはやま、アサイミートは全て港の近くにある。

酒は松崎の棚田で栽培した赤米や黒米を原料にした焼酎「百笑一喜(ひゃくしょういっき)」を手に入れた。

百笑一喜を扱っている松亀酒店だけが少し離れた場所にあるが、それらを全部回っても1時間足らず。町歩きと共に日頃の運動不足解消にもなる。

その後、少し離れた場所に置いてある自分のカヤックを取りに行った。実は私、シーカヤック歴は30年超でここ松崎はホームグラウンドなのである。しかし最近はあまりに海から遠ざかり、体がすっかりなまってしまったので、ソロキャンプを愉しみつつ、カヤックのリハビリを兼ねるために、この松崎のキャンプ場をセレクトしたのであった。

スーパーやコンビニもあるので、何か買い足したい時なども安心だ。そんな素朴な町中をキャリアにカヤックを載せて散歩。

漕いだ距離は情けない限り それでも新たな収穫

サイトの準備が完了したら、海図をチェックしてコースを確認する。
あそび島の全景。背後の2階建ての家は受付兼管理人住居。
陸上の地図と同じようにコンパスも使って漕ぐ。

このキャンプ場は、平成10年(1998)から活動を開始しているシーカヤックのプロショップ「西伊豆コースタルカヤックス」も併設。ビギナーから長期エクスペディションを目指す人まで、レベルや予算に応じてスクールやツアーを設定してくれる。キャンプ場の管理人でチーフインストラクターも務めているのは、ノンサポートで日本列島縦断やカナダのクイーンシャーロットを単独完全無補給で漕破した村田泰裕さん。その他のスタッフもベテラン揃いなので、初めての人でも安心である。

この日は埼玉から来たふたりがシーカヤックの初心者講習に参加していた。陸上で基礎をレクチャーされた後、ミニツーリングに出かけて行った。
バウ(前)側に海図を入れたチャートケース、スターン(後ろ)側には予備パドルをセットして準備完了。

帰ったらすぐに食事の準備に取りかかれるように準備を済ませた後、キャンプ場端にあるスロープにカヤックをセット。

ここは造船所時代に船を進水するための設備だったので、エントリーにはもってこいのスペース。今回のソロツーリングは、8kmほど南の雲見港の先にある千貫門(せんがんもん)を往復するつもりだった。これは海上に浮かぶ岩の小島が、まるでパリの凱旋門のような形をしている西伊豆屈指の名所。陸地からは見るのが難しい場所なのだ。シーカヤックならば、岩門をくぐることもできる。

ところが松崎港から外海に出ると、肩が痛くて以前のように漕ぐことができない。やむなくすぐ隣の小石だらけの浜に上陸。

ここは切り立った崖が覆いかぶさるように迫る、なかなか迫力満点の浜であった。今まで素通りしていただけに、これも怪我の功名というやつだと納得。しばらく休んだ後、少し先の洞窟を探検する。私はこの洞窟は戦国時代に活躍した、伊豆水軍の船隠しだったと想像した。

陸地からは行くのが困難な浜に上陸した。そして西伊豆の海岸線は複雑で、浸食された奇岩や洞窟など陸地からは見られない景色が連続する、世界有数の素晴らしいシーカヤックスポットであることを再確認。

今回はここまでで満足することにして、早々に引き揚げることに……。情けないがこれが今の実力。

キャンプ場に帰着後、カヤックや道具の洗浄を済ませ、食事の準備に取りかかることにした。

無事に帰港したら、カヤックだけでなくパドルやライフジャケットなどの用品も真水で洗う。これを怠ると、様々なパーツが機能しなくなる。
今回はご好意に甘え、キャンプ場の設備を使わせてもらった。

炭火で炙れば美味となる伊豆の名物に舌鼓を打つ

今回はカヤックツーリングも目的だが、すぐ近くに海を感じながらソロキャンプを堪能し、英気を養うことももうひとつの目的。そのためには伊豆の旨いものを食すことも大事なのである。だがシーカヤックツーリングの後、手間のかかる料理は面倒。ということで商店街を回り、炭火で炙るだけで極上の味に酔いしれることができる地元の美味を仕入れた。

全てのサイトが芝生なので、背の低い焚き火台やコンロを使用する場合は延焼対策、地面保護のためにベースプレートの使用が鉄則となっている。厚さ12mm程度のコンパネを2枚重ねにすればOK。

メインは伊豆の美味しい干物と全国的な人気を誇るさつま揚げ。変わり種で人気抜群のカレー串、口中に広がる甘味がクセになるスイートコーンのさつま揚げ、そのほかに定番人気の詰め合わせを手に入れた。そのままでも美味しいので、調理中に我慢ができなくなったら食べればいい。

干物は定番のアジの開きとサンマみりん干し、それに伊豆でしか味わえない珍味・イルカの漬けをセレクト。どれも炭火で炙るだけでいい。さらにお腹にたまるものとして、肉の旨味が凝縮された阿波尾鶏のもも肉もラインアップに加えた。鶏肉が焼けるのを待つ間に、干物は食べ頃になる。特にサンマはこげやすいので、表面がカリッとしたらすぐにいただこう。

シーカヤックの後は調理が少し大変なので、基本は炭火で炙れば食べられるものとした。鶏肉のみ、塩とコショウで焼いた。
キュウリの簡単漬物も肴に最適。

海を渡る心地良い風を全身で感じながら酒宴に興じる

そしてソロキャンプに欠かせない酒は、松崎の石部棚田で採れた赤米仕込みの「百笑一喜」を選んだ。黒米仕込みも気になるところなので、次回はそちらにしてみよう。それを持参したホッピーで割る。クセの少ない焼酎だったので、グイグイいけてしまい、昼間カヤックで演じた体たらくも一瞬にして忘れさせてくれた。

焼酎はホッピー割りでいただく。

その後、焚き火台で様々な形を見せてくれる炎と戯れながら、心地良い酔いに体が包まれるまでひとりの夜を愉しんだ。そして薪がきれいに燃え尽きたところで、テントに潜り込むこととした。

プリムスの41マイクロランタンとSOTOの虫の寄りにくいランタンの光が、夜の闇を優しく照らす。

翌朝は河口でライズする魚が上げる水音で目覚めた。

朝は町と隣接しているとは思えないほど静寂に包まれる。他のキャンパーがいなかったこともあり、河口で魚がライズする音が響き渡った。

釣り師ならばサイトから釣り糸を垂れるところだろう。そんなことを思いながら、簡単ミネストローネと具入りスクランブルエッグで朝食を済ませた。次回は必ず片道8kmは漕ぐことを胸に誓いながら……。

夕食は炭火で炙るだけだったので、朝食はSOTOのシングルバーナーST-301の強力な火力を生かし、トマトジュースをベースに、キャベツとトマト、ベーコン、ショートパスタを使った簡単ミネストローネを作った。
さらにソーセージとトマトを入れ、彩りにも考慮したスクランブルエッグも。
そのまま食べられるミニフランスパンとの相性も抜群だ。
調理道具は2〜3人のキャンプでも便利に使えるユニフレームのfan5duoとEPIのチタン3点食器セットを用意した。fan5duoには誰でも簡単にご飯が炊けるライスクッカーが付いているので、朝は絶対にご飯が食べたい、という人にもオススメ。調理だけでなく後片付けも意外に簡単なのが良い。

【BEST CHOICE】野外でも手軽に収納スペースを確保

脚高のある棚として使えるアイデア商品。大切な用品を雨水や泥汚れから防いでくれる。天板を追加すればテーブル、重ねれば物置棚とマルチに活躍する。今回は天板なしでテーブルとして使ったが、問題なく機能を果してくれた。折り畳めばコンパクトになる。

フィールドラック ブラック
重量:1.7kg
価格:4,500円
問い合わせ:新越ワークス

Camp ground information

カヤッカーの楽園「伊豆松崎あそび島」

全てが松崎港か那賀川河口に面した芝生のサイトという贅沢なシチュエーション。シーカヤックやフィッシングはもちろん、サイクリングのベース基地などアクティビティと合わせて使える。

伊豆松崎あそび島(いずまつざきあそびじま)
静岡県賀茂郡松崎町松崎507
電話/0558-42-0898
チェックイン・チェックアウト/12時〜翌11時 
料金/基本料金車1台と4人まで8,800円。人数追加は1名につき2,200円で最大2名まで。サイトに空きがある場合、ソロキャンプ2,700円。全サイト貸切8万8,000円。 
アクセス/東名高速道路「沼津IC」新東名高速道路「長泉沼津IC」から東駿河湾環状道路・伊豆中央道・国道136号線を経由で約1時間50分 
HP/http://asobijima.com/
※開設期間、シーズン料金等の詳細はHPで ご確認ください。

Thanks/イワタニ・プリムス、コールマンジャパン、新越ワークス、新富士バーナー、モンベル、ユニバーサルトレーディング

Text/Izunokami Noda Photo/Masaki Kanamori

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