洗練された都会的なエリアから少し離れれば、人情味あふれる下町の風景が広がる大阪。昭和レトロを味わい楽しむ夜の旅へ、いざ出発。
(※その他の写真は【関連画像】を参照)
※この記事は2024年11月号に掲載されたものです。
■入り口をくぐると、もうそこは昭和の世界

開発めざましい大阪梅田のど真ん中にありながら、昭和の雰囲気が色濃く残る「新梅田食道街」へ。まずは、「百百」の串カツで小腹を満たそう。
赤い暖簾をくぐって中に入れば、ザ・昭和の風景。年季の入ったカウンターも、茶色く焼けた壁も創業当時のまま。聞けば今年で創業54年、先の大阪万博と同い年という。

「居心地がわるなるから触らんといて、と常連さんから言われるのでそのままにしています」
と笑うのは、2代目の稲垣寛志さん。先日も30年ぶりに訪れたという客から「やっててくれて、ありがとう」と涙ながらに感謝されたそうだ。
そんな話をしているうちに、カラリと上がった串カツが目の前に並べられる。カウンターに備え付けの壺に入ったソースにつけていただく。もちろん、二度づけは禁止だ。


お勧めの若鶏は衣がカリカリっと香ばしく、噛むと肉汁がじゅわっと広がる。秘伝のソースはあっさりとコク深く、串カツの油を程よく中和してくれる。ここで、氷水で冷やされたビールをぐいっ。「旨い!」と思わず声が出た。
「新梅田食道街」は昭和25年(1950)に18店舗からスタートした。ハシゴ酒の二軒目は、18店舗のひとつである老舗「北京」へ。
ステンドグラスの扉を開けると、使い込まれたカウンターの上に並ぶウイスキーボトル。「いらっしゃいませ」と3代目の斉木澄子さんがにこやかに迎えてくれる。

創業時は日本酒の店だったが、斉木ママのご主人が2代目を継いでから洋酒とビールの店になった。ちなみに、新梅田食「堂」街ではなく、食「道」街。
いろんなものを食べさせ、飲ませる店が狭い通路に並んでいるから「道」なのだ、と北京の初代店主が名付けたそうだ。
さっそく角のソーダ割り、お勧めのポテトサラダ、そして「お客さまのたいていは頼まれる」という名物料理“エッグ”を注文。しばらくすると、小さな陶器の鍋にぐつぐつと煮え立った“エッグ”が登場した。

ママのアドバイスに従い、箸でかき混ぜて、玉子が柔らかいうちにいただく。黄身のとろとろ感がたまらない。味付けは塩のみと至ってシンプル。少し時間がたって固まったそれもまた美味だ。
ターミナル駅から近いとあって、昭和の時代は会社帰りに毎日通う常連も多かったという。使い込まれたカウンターに身を任せながら、ゆったり、名物料理や世界の酒と、楽しい会話を味わえる名店である。


新梅田食道街
大阪府大阪市北区角田町9-26
TEL/06-6372-0313
⚫︎百百
創業当時の風情を伝える味わいある料金表。盛り合わせは5本で750円というリーズナブルさ。人気の若鶏は1本320円。観光客には紅ショウガも人気。




TEL/06-6312-1423
営業時間/12:15~14:00、17:00~22:00(土曜12:30~15:00、17:00~21:00・日曜12:30~18:00)
定休日/祝日、不定休
⚫︎北京
小さなトレイの上に本日の予算を置き、注文するとママがその都度お代をもらうキャッシュオン方式。懐具合で飲む量を調節できる。この日のお代は、角ソーダ割り、ポテトサラダ、エッグで1300円。



TEL/06-6311-2369
営業時間/17:00~22:30
定休日/土曜、不定休
※この記事は2024年11月号に掲載されたものです。
文/いしだかおり 撮影/渡部健五
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