103439「別府大使」マーク・パンサーさんと別府温泉を巡る|日本一の温泉郷・おんせん県おおいた

「別府大使」マーク・パンサーさんと別府温泉を巡る|日本一の温泉郷・おんせん県おおいた

男の隠れ家編集部
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目次

音楽ユニット「globe(グローブ)」のメンバー、マーク・パンサーさんはツーリズム別府大使。マークさんと別府の街や温泉を巡りながら、別府温泉の魅力について語っていただいた。

(※その他の写真は【関連画像】を参照)

※この記事は2024年12月号に掲載されたものです。

【プロフィール】
Marc Panther マーク・パンサー
フランス・マルセイユ出身。2歳からモデルとして活動。「MEN’S NON-NO」初の専属モデル。音楽ユニット「globe」のメンバーとして活躍。DJ、大学の客員教授、アパレルブランドなど幅広く活躍中。

■別府をこよなく愛し、別府の街と温泉に精通

温泉大好きマーク・パンサーさん。浴衣の着こなしもキマっている。

別府温泉郷は別府八湯という8つの温泉地からなる。その一つ、別府温泉は別府市の中心地に旅館や共同温泉が点在している。

マークさんとともに別府の街歩きをしながら別府温泉をめざした。

「ここに素敵な建物があるんですよ」

マークさんが最初に案内してくれたのは別府市公会堂だ。五連のアーチ窓が美しい、鉄筋コンクリート造り。モダニズム建築の傑作で、昭和3年(1928)の建設。別府温泉が観光で発展を遂げていた時代を物語る。

別府市公会堂はモダニズム建築で知られる吉田鉄郎設計。

昔の建物をもう一つ、「SELECT BEPPU」。築百年の長屋を改装、別府の土産物、別府ゆかりの作家・職人の作品を販売している。マークさんは二階に上がり、座敷に座って、台湾の現代アーティスト、マイケル・リンさんの襖絵を眺めた。

「ここの二階は隠れ家なんです。和風な空間に現代アートのビビットな花柄。このシンプルさが素敵です。別府はアートがある街で、ちょっとした所に隠れているので、作品を探す楽しみもあります」

「SELECT BEPPU」の2階にある襖絵。

マークさんは別府の街や温泉についての情報に、驚くほど詳しい。

マークさんが別府に通うきっかけとなったのは、グローブのメンバーKEIKOさんだった。故郷である大分に戻っていたKEIKOさんに会うため、マークさんは大分を訪れるようになった。別府温泉郷との出合いもそのときだった。

「鉄輪温泉の湯けむりを、高速道路から見たときに、地球の力強さのようなものを感じました。グローブ=地球。地球の力強さをもらって、グローブも力強さを取り戻さなくては、と勇気づけられました」

そのうち、週に一度大分市のクラブでDJをすることになった。温泉に魅せられて、「別府八湯温泉道」のスタンプラリーに参加し、88カ所の温泉を巡って名人位を獲得した。下駄をはいてあちこちを街歩き。ついにはツーリズム別府大使に就任することとなった。

日本最古のアーケード「竹瓦小路」。近代産業遺産にも認定されている。

「別府は第二の故郷。クリエイティブな街で、発想力が湧いてきます。別府の人は人柄が良くて、街歩きも楽しい。僕のことをグローブのマークとしてではなく、別府のマークとして接してくれるのがうれしい」

モデル時代、グローブ時代から、地方にロケや公演に行くと、最後は決まって地元の温泉に入っていた。前々から温泉が大好きだったが、別府の温泉は特別だという。

「別府は海があり、山があり、自然が豊かな土地。街を歩けばすぐに温泉にあたる。温泉が多いだけでなく、種類も豊富で、いろんな泉質が楽しめる。別府八湯は有名な別府温泉や鉄輪温泉だけでなく、熱い湯の浜脇温泉、共同温泉の多い亀川温泉など、八湯にはそれぞれの良さがあります。日本一の温泉郷ですね」

⚫︎アクセス
(電車)JR「小倉駅」よりJR鹿児島本線大分行きで約1時間25分JR「別府駅」下車。
(車)大分自動車道「別府IC」より約5分
問別府市観光協会
TEL/0977-24-2828

■「別府 豊泉荘」の露天風呂 泉質の良さに感心する

そろそろ温泉に入りたい。マークさんの目が訴えている。そこで別府温泉の「別府 豊泉荘」に向かった。浴衣に着替えて露天風呂へ。和風庭園に囲まれ、壱の湯と弐の湯、源泉掛け流しの露天風呂が2つある。湯に浸かりリラックスするマークさん。

「豊泉荘」の庭園露天風呂。純日本庭園に囲まれ、心と体が癒される。

「いやぁ、気持ち良いね。ここの泉質はすごく良い。良い温泉だね」

炭酸水素塩泉は「美肌の湯」とも呼ばれる。肌に優しい湯を、マークさんもすっかり気に入った様子だ。

ひと休みするために、「茶房 信濃屋」へ。ここでは大分名物・だんご汁を注文した。だんご汁は小麦粉をこねて帯状に引き延ばしただんごと、季節の野菜を煮て味噌仕立てにした、大分の郷土料理だ。

郷土料理のだんご汁を美味しそうにいただくマークさん。
「だんご汁」850円。季節ごとの野菜と手延べのだんごを味噌仕立てにした。

「ベジタリアンなので野菜が多く入っているのがうれしい。汁を飲み干すとカボスの香りと味がきゅっときて、最後まで美味しいね」

別府の食についても一家言を持っている。別府名物といえば、発祥とされるとり天。地鶏が美味しく、天ぷら系、唐揚げ系の2つのタイプがあるという。

もう一つの名物、別府冷麺も系統が分かれている。ツーリズム別府大使だけあって、地元のグルメや美味しい店の情報にも詳しく、すぐにも街のガイドが務まりそうだ。

「クリームあんみつ」1000円。
コーヒーを淹れる店主の石川美巴子さん。コーヒーの美味しさにも定評がある。創業は昭和56年(1981)。女性を中心に人気が高い。

⚫︎2つの泉源と心安らぐ空間「別府 豊泉荘」

100%掛け流しの温泉旅館。泉質は炭酸水素塩泉で美肌の湯と呼ばれる。大浴場、貸切風呂と2つの庭園露天風呂があり、日帰り入浴もできる。料理はプランごとに会席料理を選べる。

大分県別府市青山町5-73
TEL/0977-23-4281
宿泊料/1泊2食付1万4900円~
カード/可
部屋数/33
チェックイン・アウト/15:00・10:00 
泉質/炭酸水素塩泉

⚫︎古民家でいただく甘味と郷土料理「茶房 信濃屋」

元は炭鉱主の別荘だった古い屋敷を改装。鹿鳴館をイメージしたシャンデリアや中央の大きな円形テーブル、窓際のテーブル席など、気品と落ち着きがある空間となっている。

大分の郷土料理だんご汁や郷土甘味やせうまのほか、スイーツも多数。

大分県別府市西野口町6-32
TEL/0977-25-8728
営業時間/9:00~17:30
定休日/木曜

■最古の市営温泉・竹瓦温泉で日本の温泉文化を楽しむ

続いて別府温泉のシンボル的な存在、竹瓦温泉に向かった。その途中、近くの商店街で、マークさんが足を止めたのは時代から取り残されたような、古びた路地だった。

「竹瓦小路」のアーチがかかる。大正10年(1921)に完成した、現存する日本最古のアーケードだ。雨に濡れないで、竹瓦温泉に行ける。当時は大変なぜいたくだっただろう。

その竹瓦温泉はすぐそこ。ようやく目的地にたどり着いた。入母屋造りの二階建て建築に唐破風造りの玄関。重厚かつ豪壮な建物は、別府市で最も古い市営温泉だ。この日も地元の人や観光客で大賑わいだった。

観光客と地元の人で賑わう待合室。館内は天井が高く、昭和のレトロな面影を残している。

「別府温泉郷には市営温泉や地区ごとの共同温泉がたくさんあります。僕は数ある温泉の中でも、市営温泉が一番好き。タトゥーなどの制限がないので誰でも入れます。いろんな人が入りに来る、共同温泉の自由な雰囲気が好きです」

マークさんは最初に竹瓦温泉名物の「砂湯」に向かった。浴衣に着替えて、砂の上に寝転ぶと“砂かけさん”が熱い砂をかけてくれる。

「最初はドキドキしますが、慣れるとヤバいくらい気持ち良いんですよ」

帳場の窓口で、久野副館長と話し込むマークさん。
名物である砂湯を楽しむマークさん。砂湯の気持ち良さを絶賛する。

熱い砂で体が温まったところで砂を落として、次は内湯へ。

「ここは名物の砂湯目当ての人が多い。砂湯だけでなく普通浴まで行く温泉好きは僕くらいでしょう(笑)」

浴場は半地下式で階段を下りていく。天井が高く、レトロな雰囲気に満ちている。マークさんは居合わせた地元の人たちと湯に浸かりながら、気さくに会話を始めた。

「市営温泉では毎日来ている地元の爺ちゃんと話ができる。別府に大仏があった頃とか昭和の話をしてくれる。えー、そうだったのと和気あいあいとなって、テレビの百倍くらい面白い話が聞ける。いろんな情報が入ってくるし、別府ではテレビやネットがいらない生活ができますね」

多くの人が集まり、交流する、共同温泉のような施設は日本ならではの温泉文化だろう。

幸せそうな表情で、竹瓦温泉の湯を満喫するマークさん。

「ヨーロッパの温泉はセラピーなんです。水着を着て体を治すために入るので、時間制限などのルールが決められている。日本の温泉は体を治す効果もあるけれど、癒しのために入るので、自由でのんびりできる。裸で何も隠さず人と触れ合って、会話を楽しみ、笑い合って入る。日本の温泉文化は素晴らしいですね」

マークさんは父がフランス人、母が日本人。2歳のときに日本に来た。温泉文化に違いがあるように、日本とフランスとのはざまで、イジメなどに苦しんだ幼少時代も経験している。その頃からモデルとなり、芸歴は現在で52年。

モデル時代は男性向けファッション誌『メンズノンノ』の初代専属モデルとして活躍。小室哲哉さん、KEIKOさんと平成7年(1995)にグローブを結成してからは、ラップと作詞を担当。作詞家として多数のアーティストにも歌詞を提供している。

「モデル時代は一人で活動していたのが、グローブに入ってからは、3人による絆が生まれました。それも縁だと思います。ただ、あの頃は売れすぎでした」

泊食分離の泊まり方が広まったため、別府の夜の街は内外の観光客で賑わっている。
喫茶なつめの名物・温泉コーヒー600円。観海寺方面の温泉水で淹れたコーヒーに温泉水が付く。

パニック障害、花粉症、ステージのある時は吐いていたという。そんな生活が変わったのは新型コロナが流行した頃。娘さんが大学に進学して、生活そのものが変わった。

鎌倉に引っ込んでマリンスポーツを楽しみ、健康的な生活になった。コロナ明けで鎌倉が混みだしたので、今度は長野の八ヶ岳に引っ越し。現在は長野のほかに神戸、別府を入れると、3拠点生活だ。

食生活も変わった。現在は一日一食。野菜8割、ジビエ2割の食生活。15㎏痩せて、毎日が楽しく過ごせるようになった。別府での穏やかな暮らし、人との触れ合いが精神的な安定に寄与したことも大きい。

「それまでがむしゃらに生きてきましたが、50歳を過ぎて、僕の後半生は変わりました。僕は僕。自由に生きる。それを教えてくれたのは別府の街であり、温泉ですね」

別府の駅周辺にはレトロな商店街が何カ所かある。
別府二大グルメの一つ「別府冷麺」。店によってスープの味、辛さも違う。

来年には、グローブ結成30周年を迎える。「globeは永遠に」を合言葉に、すでに始動している。

ツーリズム別府大使としても、これまでは主に外に向かって発信していたが、これからは内向き、地元別府の人たちに別府の良さ、「住めば都」を発信していきたいという。

「それこそが本当の大使です。忙しすぎるので、こっちに移住した方がいいのかな。今後は別府に引っ越すことも考えています」

近い将来、別府の街で日常的に温泉の暖簾をくぐる浴衣姿のマークさんを見かける日が来るかもしれない。

⚫︎別府温泉のシンボル「竹瓦温泉」

明治12年(1879)に創設。元は海岸近くの竹葺きの小屋で、2代目の建物は瓦葺きだったため、この名前が付いた。現在の建物は昭和13年(1938)に建て直された。

砂湯が名物。内湯は男湯が塩化物泉、女湯が炭酸水素塩泉と泉質が違う。

大分県別府市元町16-23
TEL/0977-23-1585
営業時間/6:30~22:30(砂湯は8:00~)
定休日/第3水曜

名人会に加盟するともらえる木札。尊敬される?「全然(笑)」。

⚫︎大分県の源泉数と湧出量

日本列島は至る所で温泉が湧いている。そんな中大分県は源泉数、湧出量ともに全国1位となっている。

大分県の中でも、源泉数は由布院温泉がある由布市を抑えて、県内では別府市が1位である。別府温泉はおんせん県大分を代表する温泉地といってよい。

⚫︎マークさんがAIと作った新たな音楽「BEPPU 18 Songs」

マーク・パンサーさんが市民アンケートをもとに選出されたスポット18カ所を中心としたエリアのイメージソング18曲を最新のAI技術により制作。

各スポットに設置された二次元コードを読み込むと楽曲とともにプロモーション映像が再生できる。

※現在は終了しています。

⚫︎別府ゆかりの作品に出合える店「SELECT BEPPU」

西法寺通りの古民家を改装したセレクトショップ。別府に縁のある作家や職人の作品、オリジナル商品などが多数。別府土産を探しに!

「古民家でアートというところがすごい」とマークさん。

大分県別府市中央町9-34
TEL/0977-80-7226
営業時間/11:00~18:00
定休日/火、水曜
※詳細は公式HPへ

鉄輪温泉周辺拡大図

別府温泉は活火山の鶴見岳・伽藍岳の東麓の扇状地に泉源が広がっている。別府八湯(地図内:赤)は南北4つずつに分かれ、広く分布。

鉄輪温泉周辺には地獄めぐりの7つの地獄(地図内:青)が集まり、6カ所の手頃な共同温泉(地図内:共)が点在する。

※この記事は2024年12月号に掲載されたものです。

文/阿部文枝 撮影/渡部健五

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