一番大切なのは「特別なスキル」ではなく、「やってみたい」という強い気持ち。揃えたい工具や作業手順、ホームセンター活用術など、役立つヒントを紹介する。
(※その他の写真は【関連画像】を参照)
※この記事は2024年10月号に掲載されたものです。
■手軽に始められるセルフリノベで空間一新
今、中古住宅を購入し、自分好みにリノベーションをして住みたいと考える人が増えている。新築では変更が難しい間取りや設備を、自由に変更できるのが中古住宅の大きな魅力なのだとか。
そうした住まいへのこだわりが強い人たちの間で注目されているのがセルフリノベーションという方法。プロに依頼するのではなく、自らプランニングして材料を調達し、施工までを行うため、自由な発想で思い通りの住空間を実現できるのが魅力となっている。

また、これらのニーズは賃貸住宅の居住者でも高まっていて、張り替え可能な壁紙やフロアタイルなどを使ってプチリノベを行う人たちが増えているのだそうだ。
ファッションを楽しむように、自分好みの室内に模様替えをしたり、趣味の品をコレクションしたりした空間には自然と愛着を感じるようになるもの。
今回の特集では、そんな自分にとって最も心地よいと思える室内をセルフリノベで作るための基礎やノウハウを紹介。理想の空間をかなえるヒントとして活用してほしい。
■DIYアドバイザーが語る セルフリノベの基礎
「張る」「塗る」「付ける」といった手軽な作業を通して自分らしい空間をデザインするセルフリノベ。その基本的な考え方や実際に行う上で役立つヒントなどを紹介する。
【お話を聞いた人!】
DIYアドバイザー 斉藤直斗さん
大学の建築学部卒業後、住宅メーカーに現場監督として6年間勤務。その後、「木工のまち」として知られる栃木県鹿沼市に移住し、木工職人に転身する一方で、DIYアドバイザーとしてインスタ、YouTubeなどでDIY初心者向けに発信。自ら製作したハンドメイド家具のオンラインショップも運営する。
https://lit.link/naotowoodworker
ハンドメイド家具のオンラインショップ TWIGS&DWARF
オーダー・セミオーダー対応。「暮らしにちょうどいい」家具や雑貨をハンドメイドで製作。
https://twigsanddwarf.com/
■Q1,リフォームとリノベーションの違いとは?
●リフォームは修繕、リノベーションは価値の創出

●リフォーム
古くなった住宅の改修や設備の更新を行い、機能や見た目を向上させることを主目的にしている。
改装、改修と同じ意味。例えば壁紙や床の張り替え、キッチンの交換、雨漏りの修繕、外壁の塗り替えなどの小規模な工事だけでなく、内外装や水回りなどを一新する大規模な改修工事もリフォームと呼ばれている。
●リノベーション
中古・新築問わず、室内の改修を通じて、空間に新しい価値を創出するという意味で用いられる。最近ではリノベーションという言葉のほうが流行している印象がある。
セルフリノベとはそうしたリノベーションを、業者を介することなく設計から施工、仕上げまでもすべて自分の手で行うことだといえるだろう。
■Q2,セルフリノベのメリットとデメリットとは?
●費用が抑えられ、自分のペースでできるのがメリット

●メリット
プロの業者に依頼するわけではなく、自ら材料なども調達するという点では費用が大幅に安く抑えられることが最も大きい利点といえる。
また、自分でデザインした空間を実現できることが喜びとなる。自分のペースで作業できること、何よりも手間ひまかけた分だけ愛着が湧くことは間違いなし。
●デメリット
リノベーションといってもやはり、個人でできることには限りがあること。あるいは発注ミスや作業ミスが続くと想定していた金額よりも高くなってしまうというリスクもある。
素人が作ったと一目でわかる稚拙な仕上がりになってしまう可能性があるが、個性や成長の糧だと思えばカバーできるかも!?
■Q3,賃貸住宅はどこまでリノベOK?
●原状回復が可能な範囲で行うのが原則
賃貸住宅は退去時の原状回復が原則。ただ、最近でははがしやすい床・壁用の材料も多く出ているので、以前より賃貸住宅でもセルフリノベがしやすい。
専用のアジャスター金具と支柱となる2×4材を組み合わせて既存の壁の前に合板などを張ることがお勧めだ。好きな色に塗ったり、棚を付けたり、壁一面を自由に活用できる。

●原状回復義務のルール
回復義務あり……ネジ穴、カビ・シミ、傷
回復義務なし……ピン穴、家具のへこみ、日焼け
●セルフリノベにお勧めの材料
床用……「フロアシート」「フロアタイル」など
壁用……「はがせる壁紙」「壁用リメイクシート」など
■Q4,まず揃える工具とは?
●目的が決まれば必要な工具はみえてくる

いきなりハードルの高い電動ドリルドライバーを買って宝の持ち腐れにしてしまっても意味がないだろう。そこで、工具を買う前に自分が何をやりたいかグランドデザインを描くことが重要だ。
例えば、床にフロアシートを貼るならヘラやカッターさえあれば十分に可能だし、ノコギリや電動丸ノコを持っていなくても、ホームセンターに出かけて木材カットサービスを利用すれば事足りる。
要するに、道具なしでもセルフリノベはスタートできるのだ。高価な電動工具を揃えるのにお金がかかると頭を悩ますより、どんな素材を用いて、どんな色に空間をデザインするかなど、アイデアを広げることがまずは大事だといえるだろう。
■Q5,材料はどこで買うのがいい?
●こだわる場合は、ネットショップへ

大量の商品が陳列されるホームセンターでは、実物を見ながら選べるのでお勧め。ただ、一般的な工具や資材、パーツなどがほとんどで、デザイン性の高いおしゃれなパーツや雑貨は充実していないことが多い。
そのため、こだわったパーツなどを選ぶ場合は、オンラインのDIYショップで探したほうがベターだといえるだろう。
●編集部お勧めのオンラインDIYショップ
●RESTA(リスタ) https://www.diy-shop.jp/
おしゃれな壁紙や賃貸でも使える床材など、人気のDIYインテリア素材が豊富に揃うネットショップ。
●P.F.S PARTS CENTER https://www.pfsonline.jp
インダストリアルな家具や生活雑貨、部材など、ディテールにこだわった暮らしをかなえるパーツが充実。
●DIY FACTORY https://www.diyfactory.jp
取り扱いアイテム数390万点以上。日本最大級のDIY工具やガーデニング用品、塗料のEC通販ショップ。
■Q6,百均の工具は本当に使える?
●固定器具やサンドペーパーは優れもの
実際使ってみて、ノコギリなど刃物の精度は低い印象だが、塗料やクランプ(固定器具)などは十分活用できるものが多い。なかでも百均ではサンドペーパー(紙やすり)がお勧め。
ホームセンターだと大判のものが一枚単位で売られているが、百均のサンドペーパーは、複数の粗さが揃っているため使い勝手も良い。

●百均のお勧め工具
●木工ガイド[Seria]
木材にビスを打ち込む際に使用する固定器具
●サンドペーパー[Seria]
使いやすいサイズで、粗さも4タイプをセット
●ノコギリガイド[Seria]
真っ直ぐに切れるようにサポートする器具
●F型クランプ[DAISO]
木材を挟んだり、固定したりする器具
●鉄工ドリル[DAISO]
ビスを締める前に使う下穴用のドリル
■Q7,初心者向きのセルフリノベとは?
●スモールステップでスタート!
まだ知識や経験のない初心者の場合、いきなり部屋全体のセルフリノベに取り組むというのはハードルが高いのではないだろうか。
そこで、まずは壁紙や床の仕上げ材などを替えてみるといった小さいところ、手の届く範囲からスタートしてみるのがお勧めだ。

例えば、壁の1カ所にアクセントクロスを貼るだけでも部屋の雰囲気はガラッと一変する。これは、部屋の壁の一面あるいは一部に色や柄のある壁紙を取り入れる方法のことである。
また、読者の方が2DKのアパートやマンションに住んでいるのだとしたら、まずは一方の部屋だけセルフリノベを行ってみるのもいいだろう。できるところから試してみてほしい。
■Q8,セルフリノべの流れとは?
●簡単な図面を作成するのがお勧め
SNSなどで情報収集をして発想を広げる構想段階からスタートし、次の計画・設計段階では、実際に作業を行う場所の寸法を測った上で、手書きでもいいので簡単な図面を作る。
それをもとに資材を購入し、実作業に進んでいくのが一般的な流れとなる。図面には必要な資材の種類やサイズ、本数を書き込んでおくのがポイント。これらを通じて資材調達などの実務作業を効率的に進めることができるようになる。

●基本の4ステップ
構想→計画・設計→資材の購入→DIY作業
■Q9,どうすればDIYスキルが上達する?
●YouTubeやインスタを参考に
今、DIYストアやYouTuberが発信するDIY講座や木工教室などがYouTubeやインスタグラムに数多く公開されているので、それらを見ながら作業することが上達の近道だといえる。
とくに主婦のDIY系インフルエンサーの活躍が目立っているが、どの動画も自由な発想力にあふれていて参考になることが多い。

●DIYの基礎を学べるSNS・ブログの例
●DIYアドバイザー斉藤直斗さんのYouTubeチャンネル
https://www.youtube.com/c/NaotoWorkingStudio20200316
●インスタグラム:木工DIYアドバイザー Naoto
https://www.instagram.com/naoto.woodworker/
●ブログ:DIY熱中教室
https://www.naoppedielandschaft.work/
■Q10,色彩計画など空間デザインの考え方
●シミュレーションアプリなどの利用もお勧め
内装の仕上げ材などを変更する際には、スマートフォンやPCを使って気軽にカラーシミュレーションが試せるオンラインツールやアプリの利用もお勧め。
実際に撮影した室内の画像を使って変更した壁紙や床材のイメージを確認できる。それらを参考にしながら広い視野でデザインを決めるのもありだ。

●無料でインテリアシミュレーションが試せるサービスやアプリ
●DAIKEN シミュレーションツール
https://www.daiken.jp/simulation/index.html
●Homestyler Interior Design
https://www.homestyler.com
■Q11,騒音問題への対策は?
●音漏れが気になるならレンタル工房利用も

賃貸住宅でDIY作業を行う場合、壁の近くで音を出すと響くので、部屋の中心で作業するという配慮も必要。近隣と交流があるなら「何時に音を出します」と事前に連絡しておくことも大切だ。電動工具を使う際はレンタル工房も検討しよう。
■Q12,廃材を減らすには?
●買い過ぎしないことで廃材を削減

廃材を減らすには、一度に大量に購入せず、必要なものを必要な分だけ買い揃えるのがポイント。作業工程ごとに準備していけば、当初の計画から変わっても資材を余らせるという事態を防げるので、環境に優しいセルフリノベを実現できるだろう。
■DIYスキルをワンランクアップできる ホームセンター徹底活用術
木材、ネジ、工具、塗料などセルフリノベに必要なものが一通り揃うホームセンターでは、DIY支援サービスにも注力。自らのアイデアを最大限カタチにするために役立つホームセンターの有効活用方法を紹介する。

■POINT❶[ 相談する ]
日頃からホームセンターを利用して感じるのは、規模の大きいホームセンターのほうが品揃えの良さはもちろん、DIYアドバイザーや商品知識が豊富なスタッフも多く在籍しているため、いろいろな相談ができるなどメリットが大きいことだ。
そのなかでも、この道何十年といったベテランのスタッフは親身になって相談に応え適切なアドバイスをしてくれることも多いので、そうしたスタッフと普段から仲良くなっておくのもお勧めだ。
■POINT❷[ 加工する ]
材料を調達するときに積極的に利用したいのが指定通りに加工してくれるサービスである。
木材の水平、垂直カットが基本だが、設備が整ったホームセンターなら、曲線カットや穴あけ、さらには木材以外の加工にも対応してくれるのが嬉しい。
また、カード会員になると無料で数カットまで利用できるというケースもあるので、よく利用する、あるいは最寄りのホームセンターがあればウェブサイトなどで確認してみるといい。

■POINT❸[ 体験する ]
近年、商品を販売するだけでなく、体験する機会を増やすことに力を入れているホームセンターでは、DIY関連のワークショップやイベントを多く開催するようになっている。
店内の工房などを会場にして、DIYアドバイザーの資格を持つスタッフなどが講師となってDIYやものづくりの普及に努めている。夏休みなどには親子向けの工作教室といった講座も開催されるので、子どもと一緒に参加してDIY体験をするのもお勧めだ。
■POINT❹[ 借りる/作る ]
DIYを支援するために、電動工具などをレンタルしているホームセンターも多い。レンタル料金は店舗によって異なるが1日当たり数百円など利用しやすい価格設定となっている。
これらを利用して、日常的に使用することの少ない工具であればレンタルするのもいいだろう。
また、店内にレンタル工房を設けているホームセンターの場合であれば、レンタル料さえ払えば、工房内にある電動工具などは無料で使うことができる。

■POINT❺[ 運ぶ ]
自家用車を保有していなかったり、長尺の資材などを持ち帰るのが難しかったりする場合は、運搬用トラックの無料レンタルを利用できるのが便利だ。
90分または120分など店舗によって時間は異なるが、ガソリン代もかからない。ただ、運搬中の事故に関しては自己負担になるケースもある。
そのため、慣れないトラックの運転に不安を感じる場合は、ホームセンターが提供するお届けサービスを利用したほうが安心だろう。
■POINT❻[ 倉庫代わり ]
普段からホームセンターにどんな資材があるかを把握しておけば、必要なときに必要な分だけスピーディーに調達可能。まさに倉庫代わりにホームセンターを活用でき、資材を自宅にストックしておく必要もなくなる。
また、近年ホームセンターのアプリで在庫状況が確認できるようになっている。そのためスマートフォンで事前に各店舗の状況を調べておけば無駄のない商品調達も可能になっている。活用して最新の在庫をチェックしよう。
取材・文/中武一朗
※この記事は2024年10月号に掲載されたものです。
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