東京・六本木で開催されている「CRAFT SAKE WEEK 2026」は、日本酒を軸にしながらも、その枠を軽やかに超えていく体験型イベントである。
10周年を迎えた今年は、数多くの酒蔵と飲食店が集結し、空間演出やクラフトドリンク、日本茶といった多様な要素が融合。オーガナイザー・中田英寿氏の視点のもと、日本の食文化を“味わう”だけでなく“再発見する”場として進化している。グラスを傾けるその先に、文化の現在地が見えてくる。
10周年を迎えた、日本食文化の集大成

「CRAFT SAKE WEEK 2026 with OMAKASE byGMO at ROPPONGI HILLS」は、日本酒を軸に日本の食文化を多角的に体験できる祭典である。
2016年の初開催から10周年を迎えた本イベントは、過去最大規模となる13日間の開催となり、130の酒蔵と20の名店が集結する集大成的な内容となった。

この催しを語るうえで欠かせないのが、オーガナイザーを務める中田英寿氏の存在だ。全国各地の生産者を訪ね歩き、日本酒や食文化の価値を国内外へ発信してきた同氏にとって、本イベントは単なる催しではない。日本文化の可能性を再編集し、次の世代へ手渡すための“場づくり”そのものなのである。
単なる試飲イベントではない。日本酒と料理人、空間、そして来場者が交差することで、日本食文化そのものを体感する場へと進化しているのが本イベントの本質である。
空間そのものが“体験”を生む

会場となる六本木ヒルズアリーナに足を踏み入れると、まず印象に残るのは空間設計だ。今年の会場デザインを手がけたのは、国際的に活躍する建築家・重松象平氏。テーマは「宴」。
日本の織物文化に着想を得た大きな布が、会場上部からゆるやかに吊り下げられ、空間を柔らかく区切る。風に揺れるたびに表情を変えるその構造は、来場者の動線を自然に導きながら、場に一体感を生み出す。
酒と料理を楽しむ時間そのものが、ひとつのインスタレーションとして成立している、そんな感覚を覚える演出である。
“泡”で幕を開けた10周年

開催初日のテーマは「祝・10周年、awa酒で乾杯の日」。世界的にも注目を集めるスパークリング日本酒が一堂に会し、繊細な泡とともに華やかなスタートを切った。
開場前から来場者が列をなし、平日にもかかわらず場内は活気に満ちていたのが印象的だ。スターターセットの販売ブースにも行列ができるなど、節目の年にふさわしい熱量が会場全体を包み込んでいた。
名店とのペアリングがもたらす発見

本イベントの醍醐味のひとつが、レストランとのペアリング体験である。期間前半には、イタリアンや居酒屋、ラーメンなどジャンルの異なる人気店が出店し、日本酒と料理の新たな関係性を提示する。
例えば、旨味の強い料理に寄り添う一杯や、軽やかな酒が料理の輪郭を引き立てる瞬間など、組み合わせによって味覚の印象が大きく変わるのが面白い。
ここでは“酒に料理を合わせる”だけでなく、“料理に合わせて酒を選ぶ”という双方向の体験が自然に生まれる。それはまさに、食文化の奥行きを体感する行為といえるだろう。
嗜好品としての広がり「一杯の余韻をどう楽しむか」

10周年を迎えた今年は、日本酒にとどまらない“嗜好の広がり”も印象的だ。新たに登場した「JAPAN CRAFT DRINK STAND」では、ジンや梅酒、ラム、ビールといった国産クラフトドリンクが集結し、日本の風土が育んだ多様な味わいを提示する。
さらに、日本茶の新しい可能性を提案する「HANAAHU TEA」のブースでは、料理とのペアリングを前提に設計された茶の世界を体験できる。ワインのように味わいの構造を捉えるそのアプローチは、日本茶の概念を更新する試みといえる。


加えて、会場には協賛企業のブースも並び、そのひとつとしてJTも出展。加熱式たばこデバイス「Ploom」のevoシリーズを手に取り、香りの違いを試しながら、自分好みの一服を見つけるのも一興だ。
酒や食の余韻に寄り添う嗜好品として、こうした体験が用意されている点も、本イベントの奥行きを物語っている。
日本食文化の“これから”を体感する場

「CRAFT SAKE WEEK」は、日本酒の魅力を発信する場であると同時に、日本食文化の未来を提示するプラットフォームでもある。酒蔵、料理人、クリエイター、そして来場者が交わることで、新たな価値が生まれていく。
10年という節目を迎えた今、その役割はより明確になった。ここで体験できるのは、完成された伝統ではなく、進化し続ける文化の“現在地”である。中田英寿氏が長年向き合ってきたのも、まさにその“現在地”なのだろう。
グラスを傾けながら、料理と向き合い、空間に身を委ねる。その一連の時間の中で、日本の食が持つ奥深さと可能性に改めて気づかされるはずだ。
【詳細情報】
CRAFT SAKE WEEK 2026 with OMAKASE byGMO at ROPPONGI HILLS
期間:4月17日(金)〜29日(水・祝)
時間:平日15:00〜22:00、土日祝12:00〜21:00
場所:六本木ヒルズアリーナ
住所:東京都港区六本木6-10-1
公式サイト:CRAFT SAKE WEEK
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