童話から飛び出してきたような家

近年、エコピープルを中心に注目を集めているアースバッグハウス。既存の木造建築とは異なり、最も身近な自然素材である”土”を主材に用い、袋に入れて積み上げていくというシンプルかつユニークな建構造だ。

「最大の魅力は、曲線美。現代建築は、水平垂直が基本ですが、アースバッグ工法は曲線形状が表現できるため、かわいらしいフォルムに仕上がります。また、円形にすることで強度が増し、地震や災害にも強くなる。不燃材である土を使っているため、火事にも強い。いいことづくめなんです」

そう話すのは、アースバッグハウス(改良型)の施工を手掛けている先駆者、合同会社土芸の小堺康司さん。土を使うことでの様々なメリットもあるとか。

「どこでも手に入る素材のため、環境負荷が少なく済みます。30cm以上の厚みがある土壁は、夏は暑い日差しや紫外線からひんやりと守ってくれ、冬は蓄熱してくれる。調湿機能もあるので、通年、快適に過ごすことができます。耐久性も高く、『100年以上住める家』として半永久住宅の可能性も秘めているんです」

さらに注目すべきは、セルビルドができること。小堺さんが講師を務めるワークショップでは、女性や技術に自信のない未経験者の参加も多いという。

「アースバッグ工法は、ローテクニック。セルフビルドしたい人向きの工法なんです。ただ、人手は必要なので、仲間とワイワイ作るのが理想。どんな大きさのものを、どんな用途で建てるのかにもよりますが、みんなでやれば人件費を抑えながら理想の家を建てられるのも大きな魅力です」

ワークショップでは技術のアフターフォローも。気になる人は参加してみるといいだろう。

【DATA】
予算: セルフビルドなら150万円〜、施工なら400万円〜(いずれもワンルーム内径4mドームの場合)
間取り: 1K~3Kなど
メンテナンス: 意外にも特別なメンテナンスは不要。外装を漆喰で塗る場合には、汚れがつきやすいというデメリットもあったが、現在は汚れにくく適した塗装剤も。土自体の調湿性を高めるには、1~2年は必要。

(問い合わせ)
合同会社土芸
熊本県熊本市西区河内町白浜1407-1
Tel. 090-2396-0422
https://www.dogeilabo.com

あわせて読みたい

地方で家を探すには?

物件探しのコツ

人口が少ない田舎では、不動産に出回る物件があまり豊富ではない。ぜひ活用したいのが、自治体が運営する空き家の仲介サービス『空き家バンク』だ。自治体ごとに利用法や内容が異なるため、移住検討エリアの情報を小まめにチェックしよう。また、持ち主が分かれば直接交渉や知人からの紹介という手も。地域での人脈作りこそ、希望の物件を見つける一番の近道といっても過言ではない。

借りるか、買うか

気軽な賃貸も、憧れのマイホームも、どちらも一長一短があるので好みの問題。ただ、移住と同時に家を購入するのは高リスク。まずは地域のことをよく知った上で土地探しをするのが望ましい。できればお試し的に賃貸で移住生活をした後、じっくり土地を探すと失敗がないだろう。ただし、田舎の場合、売買物件にも増して賃貸物件が乏しいケースも少なくない。

周辺環境の確認

自然豊かな土地での暮らしは、楽しみが多い分、都市生活にはない不便さやリスクも。土地や建物だけにとらわれず、時間帯や季節を変えて訪れ、周辺環境もしっかり確認しよう。山間地域では、日照時間の確認が重要。山の陰にあり、一日まったく陽が差さないという物件もある。台風や大雨、洪水、崖くずれ、塩害、冬の積雪や凍結など、一年を通してのリスクも要確認。

契約は慎重に

購入の際は、『市街化調整区域』かどうかの確認を。土地代が安いものの、商売が制限されている、住宅ローンの審査が通りにくいというデメリットがあるので注意が必要だ。また、不動産業者を介さず、持ち主と個人間売買をする場合は、司法書士や個人間売買専門の業者に仲介してもらうのがベター。賃貸の場合は、リフォームにまつわる費用負担の有無やその他ルールを契約前に確認を。

写真・取材・文/曽田夕紀子  写真提供:合同会社土芸