プライベートだけでなく、接待や宴席ですし屋に足を運ぶ際、どんなタネを頼むだろうか。

まずは店におすすめを聞いてみるのも良いが、旬をある程度知っておくと、話の小ネタになるだけでなく、食事をより楽しむことができるはずだ。

実りの秋というように、すしにおいても秋以降に旬を迎えるものが少なくない。ここでは、栄養満点の秋が旬のすしタネを紹介する。

●秋に旬を迎えるタネ

秋のすしタネは、魚介類ならではの脂が乗った豊かな味わいのものが多い。それは、来る冬や産卵に備えて、魚たちが栄養を溜め込む時期だからだ。

ただ、注意しなければいけないのが、取れる場所で「旬」は異なるということ。
秋の旬をある程度知っておいた上で、店で確認してみるのがおすすめだ。

▷コハダ

10月〜1月に旬を迎える、江戸前ずしの代表的なタネ。「江戸前すしは小肌に止めをさす」といわれように、味が濃いため最後の締めとする通人もいる。高級魚ではないが、締め方や味付けなど職人の腕とこだわりがわかるタネといえるので、ぜひ味わいたい。

出世魚であるため体長によって名前が変わり、コハダは7cm〜10cmのものを指す。13cmほどになるとナカズミ、15cm以上の成魚はコノシロだ。4cm程度の稚魚はシンコで、この場合の旬は夏となる。

▷サバ

10月〜11月に旬を迎える秋サバ。一般的にはマサバのことで、夏に北で栄養を蓄えた後、産卵のために南下するため、秋には脂が乗った締まった身を味わうことができる。

コハダ同様、締め方で味が左右されるので、職人の腕、そして個体の脂の乗り方で味わいが異なるのも、サバならではの楽しみだ。

▷カツオ

春と秋、年に2回旬を迎え、4月頃に旬を迎える「初鰹」はさっぱりとした味わい。8月中旬以降に旬を迎える「戻り鰹」は、水温の低下に伴い黒潮に乗って初秋以降に南下してくるため、脂がたっぷりと乗っている。

もっちりとした食感が特徴で、高知県産のものは11月頃まで味わえる。

▷タイ

一年を通して楽しめるが、春の「桜鯛」と同じく、秋の「紅葉鯛」は美味で有名。青森県や福島県の鯛もあるが、秋は天然鯛の名産地である鳴門や明石で取られたものがおすすめ。

天然物ならではの身の締まりと甘み、香りをぜひ楽しみたい。

▷メバチマグロ

マグロといってもさまざまな種類があり、秋に旬を迎えるのがメバチマグロだ。特に、秋は三陸近海で取れたメバチマグロが人気のため、高値がつくことも多い。

冷凍技術の発達により、冷凍でもおいしいマグロが通年味わるようになった。ただ、せっかくなら、秋のメバチマグロは生のものを味わいたい。

▷イクラ

今や一年を通しておいしいイクラを日本全国で味わうことができるが、本来の旬は9月〜10月。産卵を迎えた秋サケから、新鮮なスジコを取り、それを粒にばらしたものがイクラとなる。

旬の新鮮なイクラを冷凍することで年中楽しめるとはいえ、秋ならではの取れたてをぜひすし屋で楽しみたい。ちなみに、イクラという名はロシア語で魚卵を指す「ikura」が由来。

▷エンガワ

エンガワは、ヒラメやカレイのヒレの付け根の部分を指し、「縁側」が名前の由来。1匹で限られた量しか取れないため、特にヒラメのエンガワは高値になる。一方、カレイのエンガワは安価に楽しむことができる。

ヒラメは晩秋から冬にかけて旬を迎えるため、エンガワも秋以降が旬。ほど良い脂は上品な味わいで、コリコリとした歯ごたえを楽しめる。

ここで挙げたのはあくまで一例で、すし屋によっては当日仕入れがなかったり、ほかの旬のタネを仕入れていたりする場合もある。その日の仕入れによっておすすめが変わるのがすし屋の楽しみのひとつでもある。

まずは、おすすめを聞いてみるのが一番だ。

●秋のすしは栄養豊富

新鮮な魚介類を楽しめるすしは、国内外問わず人気が高い。その理由は味わいだけでなく、「すしはヘルシー」というイメージがあることもひとつだろう。事実、魚介類は生食したほうが栄養豊富という面もあり、積極的に摂取していきたい食材だ。

そして、秋に旬を迎える魚介類は脂が乗っているため、栄養価が高いものが少なくない。例えば、EPA(エイコサペンタエン酸)をはじめ、DHA(ドコサヘキサエン酸)、亜鉛、タウリンなど、すしタネには大人にうれしい栄養素が豊富なのだ。

こうした栄養素を知っておくことで、秋の旬をよりおいしく楽しめるはずだ。