54045鍋に欠かせない名脇役! 冬に知りたい「ネギ」の話

鍋に欠かせない名脇役! 冬に知りたい「ネギ」の話

男の隠れ家編集部
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ぐっと冷え込む日が続き、温かい鍋料理を食べる機会も増えてきた。好きな具材を煮込んで、シメまで楽しめるのが鍋料理の良いところだが、そんな鍋料理に欠かせない食材のひとつが「ネギ」だ。肉や魚などなんにでも合うし、煮込んだ時の甘みと美味しさは、冬ならではの味わいといえる。

これからの鍋シーズン、知ればもっと美味しくなるネギに関する話を紹介する。

●ネギは大きく分けて2種類

ネギは大きく分けて「白ネギ」と「青ネギ」の2つの種類がある。

白ネギ(根深ネギ)

主に白い部分を食べる「白ネギ」。一般的に、長ネギともいわれるのがこのタイプで、栽培の際には根元に土を寄せて白い部分が長くなるように育てられる。

関東より東の地方で好んで食べられてきたという経緯があり、根深ネギは寒さに強いという特性がある。

青ネギ

主に関西から西の地方で食べられてきた歴史があり、青ネギや葉ネギともいわれる。白い部分が少なく、緑の部分が多いタイプ。「わけぎ」や「あさつき」なども青ネギの部類に入る。青ネギは暑さに強い。

ネギは葉? それとも根や茎?

白ネギの場合は白い部分が土に埋まっているため、この部分は「根」や「茎」に見える。一方で青ネギは青い部分がほとんどなので、「葉」ではないかと感じる。しかし、実際にはどちらのネギも大部分は「葉」にあたる。

ネギの茎は、根っこのあたりのごく短い部分だけで、あとはすべて葉なのだ。

これは白ネギであっても同じで、白ネギは別名「根深ネギ」ともいうが、土を盛って栽培するため、大部分は太陽に当たらない。

そのため白くなっているだけで、実際には葉なのだ。

●関東はネギの名産地

ネギは日本各地で生産されているが、出荷量が多いのは関東だ。

夏は茨城、冬は千葉と埼玉

茨城県は、全国でもトップクラスのネギの産地で、なかでも夏ネギが有名。一方、千葉県と埼玉県のネギは秋冬に収穫され、千葉県産のネギは12月〜2月に旬を迎える。一年のなかでも特に美味だ。

埼玉県では、夏の暑さを乗り越えた秋冬どりといわれる11月〜3月が旬。全国的にも知られる「深谷ねぎ」をはじめ、美味しいネギが生産されている。

江戸で進化した根深ネギ

現在では白ネギと青ネギは地域に限らず食べることができるが、江戸時代には関東では白ネギ、関西では青ネギ栽培が一般的だった。それには、どうやら気候が影響していたようだ。

江戸でネギが栽培されはじめたのは、天正年間(1573〜1593年)のこと。大坂からの入植者が、現在の東京都江東区にあたる砂村という地域でネギの栽培をはじめたのがきっかけだった。

最初は、関西と同じく青ネギを栽培したが、関西に比べると江戸は寒かったため、霜枯れしてしまう。そこで、土に埋まっている霜枯れしていない白い部分を食べるわけだが、これがなかなかいける。そうして可食部分を増やすため、白い部分を長くするべく土寄せをして育てたのだ。

こうした経緯から、現在の根深ネギが誕生し、関東では根深ネギが一般的になっていた。

砂村で栽培される「砂村ネギ」にはじまり、隅田川をさかのぼり、足立や葛飾といった江戸の北方で栽培されるネギは「千住ネギ」として、その美味しさで名が知られていく。

千住ネギは締まりが良く、熱を加えると甘みが出る。煮くずれしにくい特徴もあり、これはうまいということで、鍋物に好んで使われたという。千住ネギは、現在では江戸東京野菜「千住一本ネギ」としてブランド化されている。

各地の特徴的なネギ

関東だけでなく、日本各地でさまざまなネギが栽培されている。

【曲がりネギ】

この時期になるとスーパーで見かけるのが「曲がりネギ」。その名の通り、根本が曲がっているネギだが、生育環境が悪くて曲がったわけではない。

例えば、曲がりネギ発祥の地といわれている宮城県仙台市の岩切地区では、水田が多いことから地下水位が高く、野菜を育てても根腐れしやすい。まっすぐに立つネギの栽培が難しいので、一度ネギを抜き取り、人の手で傾斜をつけて横に寝かせて栽培することで、曲がったネギとなるのだ。

ネギは上に伸びようとするため斜めに植えると負担がかかるわけだが、この負担によって、甘みが増すという。

【平田赤ねぎ】

山形県庄内地方では伝統野菜「平田赤ねぎ」というものがある。赤ネギというだけあって、白ネギの白い部分が赤い。

赤いのは表面だけだが、通常の白ネギとは違った趣や風味、味わいを楽しむことができる。赤ネギは山形県庄内地域だけでなく、茨城県水戸でも栽培されている。

●実は主役級のネギ

ネギは鍋の脇役と思いがちだが、これからが旬の新鮮なネギは、調理法によっては主役級の美味しさがある。例えば、ネギとマグロを煮込んだ「ねぎま鍋」は江戸時代から食べられている鍋料理。昆布でダシをとり、醤油と酒、みりんで煮込めば、ネギのうまさを存分に堪能できるだろう。

大切なのは、美味しいネギを見分けること。鍋にするなら根深ネギだが、根深ネギの場合は白い部分が長く、緑の葉との境目がはっきりとしているものが良い。光沢があり、巻きがしっかりしていてハリがあるものをチョイスしよう。

風邪の時は焼いたネギを布でくるんで喉に巻く、という伝承があるが、ネギはβ−カロチンやビタミンCといった栄養が豊富だ。寒い季節を乗り切るためにも、積極的に食していきたい。

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いくつになっても、男は心に 隠れ家を持っている。

我々は、あらゆるテーマから、徹底的に「隠れ家」というストーリーを求めていきます。

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