NetflixやAmazonプライムビデオなどのストリーミングサービスで、年間100本程度の映画やテレビシリーズを観る海外テレビウォッチャーのキャサリンさんに、「隠れ家でこっそり鑑賞したい超過激な作品」を毎月2つオススメしてもらう連載。第6回は、家族の闇を描いた衝撃作を2本ご紹介。ともに海外で大ヒット中の作品ゆえ、必見!
明日は我が身!? 麻薬組織の資金洗浄をする羽目になった会計士の不運を描く『オザークヘようこそ』
今年最終シーズンが配信され、遂にフィナーレを迎えるNetflixの大人気シリーズ。シカゴで独立し会計士をしていた主人公のマーティがあることをきっかけに麻薬組織と関わることになる…、というストーリー。田舎の避暑地オザークへ移住し、家族ぐるみで資金洗浄をする羽目になったマーティ一家に襲い掛かる、不運の数々に思わず絶句してしまう。
毎シーズン、完全にやばいキャラクターが台頭するのも見どころの一つで、あまりのヘヴィーさにビンジウォッチ(複数回の連続視聴)に耐えられなくなる危険性すらあり!
「家族で一緒にいることは幸せ」というこれまでの価値観を一旦置いて、「家族だからこその辛さ」というリアルな面にもフォーカスしているところも、この作品の面白さ。資金洗浄を巡る家族や、取り巻く周辺人物の関係性の描き方も秀逸である。
~ひとりで楽しむ男の隠れ家ポイント~
観終わった頃には、資金洗浄のイロハを覚えてしまうくらいに詳細に描かれている。とてもお茶の間では観られそうにない。作品の重たさゆえ、心に余裕のある休日に、ひとりでじっくり観てほしい。
世界的メディア王とその一家をモデルにした風刺ドラマ『メディア王~華麗なる一族~』
2010年代、最大のヒットとなった海外ドラマ『ゲーム・オブ・スローンズ』の終了後、同じHBO作品の中でポスト『ゲーム・オブ・スローンズ』の地位を確立しているのが本作。
世界的メディア王、ルパート・マードックとその家族をモデルにした風刺ドラマで、現在配信されている新作ドラマの中でも、頭一つ飛び抜けてストーリーが練られている秀逸な作品。ビジネスサスペンスを軸に、コメディ要素も散りばめられていて、飽きずに楽しめる。登場人物のキャラも立っていて、個人的に観終わる頃には推しキャラができていたほど。
先に紹介した『オザークへようこそ』同様、本作も「家族だからこその辛さ」を生々しく描き出す。一瞬スーパーリッチであることを忘れてしまうほど、人間臭く振る舞う登場人物たちには、思わず親近感を覚えてしまうはずだ。
~ひとりで楽しむ男の隠れ家ポイント~
言葉遣いの悪い、癖強キャラクターが次から次に出てくる。「よくここまで人を罵る言葉のバリエーションを考えられるな」と感動するレベル。スーパーリッチの羽目の外し方も尋常じゃなく、家族が集う食事の場はまさに「地獄の食卓」だ。
【キャサリン】
Netflix、Amazonプライムビデオ等のストリーミングサービスで最新作を追いかける海外テレビシリーズウォッチャー。webメディア・雑誌などで執筆。