その時代の文化も含めて音楽を深掘りする空間
T.S.さん/鹿児島県
自宅1階に設けた6畳間にレコードやターンテーブル、楽器類が隙間なくみっちり並ぶ。ここが、T.S.さん語るところの“最強の夢想空間”だ。
家族が過ごす2階のリビングから離れ、完全にひとりになり、1920年代から現代までの音と文化に浸るT.S.さんだけの特別な空間なのである。
“夢想”と言うには訳がある。父は70年代ロック、母はビートルズやオールディーズが好きで幼少期からどちらも聴いていた。高校でビートルズのコピーバンドを組み、情報も少ない中で歌い方や歌詞、政治背景などを調べるうちに夢中になった。そしてロカビリーやR&B、最初期のブルースまで興味はさかのぼっていく。
50年代のルイ・ジョーダン。
持ち主のひと言が中古盤のスリーブに。
「一つのきっかけから深掘りしていくのが好きなんです。ビートルズから始まって、前後左右に研究と想像が広がった感じ」
音源はCD中心だったが、10年ほど前からクラブイベントを通してレコードに熱中。ターンテーブルも入手し、DJをするようにもなった。現在の所有枚数は……、
「数えたことないですけど、CDは6000枚弱、レコード盤は2000枚くらいでしょうか」。
棚のレコードは年代と海外国内でざっくりと分類している。
ターンテーブルはテクニクス。世界的DJ御用達のものだ。
以前の狭い自室は楽器も含め、こうしたモノで一杯だった。7年前に家を建てる際、工務店にイメージを伝えて棚などもしっかりと造作してもらった。
「夜は酒を飲みながら音楽を聴いたり、ギターやベースを爪弾いたり。各時代の文化も含めて、さまざまな想像を膨らませる、それが僕にとっての至福の時間です」
短波受信できる70年代のラジオ。
アメリカで50年代から流行ったホットロッドに敬意を表しミニ四駆を改造
7インチ盤が100枚ほど収納できるケース。DJを行う時はこの箱に入れて持ち歩く。
■PICK UP
壁の一面だけ緑にしたのは、かけているレコードのジャケットが引き立つように。ターンテーブルの上に、ジャケット用の棚もつけた。
【ROOM DATA】
広さ/10.94㎡
使用年数/7年
趣味/楽器演奏、音楽研究
文/秋川ゆか
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