■機材との対話から生まれた理想の音楽空間
レコード店や楽器店が立ち並ぶ音楽の街、御茶ノ水。靖国通りから一本入ったホテルの1階にある「JAZZ OLYMPUS!」はジャズ好きの間では言わずと知れた名店だ。
店に入ってすぐ目に留まるのは店名にもなっているJBLの名機・Olympus。スピーカーの上には目玉のようなものが。
「中域の“375”と垂直の軸を合わせたくて、中に入っていた“075”のツイーターを出して上に置いたんです」とマスターの小松誠さん。
スピーカーの下には2枚の集成板と1枚の無垢板を挟んでスピーカー台の上に設置。元々は高さを出すために置いたのだが、板の重ね順によって音質に違いが出たという。入れ替えては聴き比べてを繰り返し一番下に無垢板を置く今の順になったそうだ。
父親が音楽好きで、幼少期からさまざまな音楽を聴いて育ったという小松さん。中学の担任に連れられて行ったジャズ喫茶の音楽に惹かれ、次第にジャズとオーディオの世界にのめり込んでいった。
「通い詰めた店の音をイメージすると自然とアンプとスピーカーの組み合わせもほぼ同じになりました。僕にとってはその店の音が“おふくろの味”なんです」
店で流れるレコードは定番曲がほとんど。「お客さまにとって、ここが素晴らしいジャズとの出会いの場となってくれたら嬉しいです」と小松さんは想いを語る。
カートリッジはSHUREのVN35MRⅢ。交換針はメーカー製造中止のため今後は日本のメーカーのものが頼りになるそうだ。
■店主とっておきの一枚
世界のポピュラー 第1巻 ジャズ編
中央公論社
世界のポピュラー音楽について学べる、全12巻からなる書籍。中学の担任から、その内のジャズ編を贈られ、今も大切にしている。付録のレコードには『テイク・ファイブ』などジャズの入門編といえる曲が収録されている。
■音響機材
レコードプレーヤー:THORENS TD124、 THORENS TD124MKⅡ
アンプ:(プリ)JBL SG520、(パワー)JBL SE400S
スピーカー:JBL Olympus
JAZZ OLYMPUS!
平成21年(2009)創業
東京都千代田区神田小川町3-24 お茶の水ホテル昇龍館1F
TEL:03-3259-0055
営業時間:11:45~16:00、19:00~22:00(土曜13:00~16:00)
定休日:日・月曜、祝日、第1・3土曜
席数:25席
アクセス:東京メトロ「新御茶ノ水駅」より徒歩約4分
撮影/遠藤 純
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