NetflixやPrime Video、U-NEXTなどのストリーミングサービスで、年間100本程度の映画やテレビシリーズを観る海外テレビウォッチャーのキャサリンさんに、「隠れ家でこっそり鑑賞したい超過激な作品」を毎月2つオススメしてもらう連載。
第17回は“事実は小説より奇なり”的なドキュメンタリー作品をどうぞ。
■200万ドル分の伝説のコカインを求めてカリブ海へ!『コカインを探せ!』

Netflix映画『コカインを探せ!』独占配信中
「北部のおとぎ話の始まりは『昔むかし…』だが、南部のおとぎ話は『ウソじゃねぇ』で始まる(笑)」と無駄にうまいひと言をいってのける、アメリカ南部訛りのおっちゃんの語り口はもはやフィクション感プンプン。だが、正真正銘のドキュメンタリーだ。
タイトル通りコカインを探す話だが、作品のなによりの魅力は登場人物(ほぼ全員おっさん)のキャラクターがフィクション並みの濃さということ。リーマンショックで会社が傾き、人生窮地に陥っている一般人のおっさんが、裸足で生活する謎のおっさんジュリアンの「ある場所に大量のコカインを埋めてきた」という眉唾物の話を真に受け、仲間を連れて本気で捜索を開始する。
この仲間のおっさんも、絶対薬物キメてるだろっていうテンションで当時を振り返るのだが、これも思いっきりフィクションっぽい。とにかく「そんなこと起きる?」って終始画面に突っ込みたくなる斜め上の展開に釘付け。一般人のおじさんが、なぜそうまでしてコカインを探したのか? そしてその顛末は。ぜひ最後まで見届けて頂きたい。
~ひとりで楽しむ男の隠れ家ポイント~
ヤバイおっさんが何人も登場するが、観終わった後はなぜだかちょっと彼らが可愛くも見えてくる。マンガ並みのキャラ立ちに、ついつい笑ってしまいそう。
■記憶を失った双子が隠された重い過去と向き合う『本当の僕を教えて』

Netflix映画『本当の僕を教えて』独占配信中
先ほど紹介の作品とは全く異なるテイストの驚愕の実話。18歳のときに交通事故に遭い、それまでの記憶を失ったアレックスは、双子の兄弟であるマーカスからどのような人生を歩んできたか教えてもらい、事故後の人生を幸せに過ごしていた。
しかし、母が亡くなったことをきっかけに、実はマーカスがアレックスに伝えていた幸せな幼少時代の話は全て嘘だということが発覚する。なぜマーカスはアレックスに嘘をついたのか、そして本当の幼少期とは…。
アレックスの視点、そしてマーカスの視点から語られる兄弟の本当の過去はとにかく重く苦しい。マーカスが”嘘をつかなければならなかった”その背景に震える。そして50代になるまで双子は向かい合って過去について面と向かって語ることはなく、本作で初めてその機会を得る。
双子以外の登場人物(家族や取材したインタビュアーなど)を極力排除し、双子だけにフォーカスすることで、彼らが置かれた苦しい状況がよりヒシヒシと伝わってくる珠玉のドキュメンタリー。
~ひとりで楽しむ男の隠れ家ポイント~
人によっては過去のトラウマのトリガーを引いてしまう可能性があるので、心が元気な時に観て頂きたい。
【キャサリン】
Netflix、Amazonプライムビデオ等のストリーミングサービスで最新作を追いかける海外テレビシリーズウォッチャー。webメディア・雑誌などで執筆。
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