【プロフィール】俳優 眞島秀和
1976年生まれ。山形県米沢市出身。大学時代から俳優を志し、1999年の映画『青~chong~』でデビュー。映画『スウィングガールズ』『愚行録』『心に吹く風』など、ドラマ『海峡』『なぜ君は絶望と闘えたのか』『隣の家族は青く見える』『おっさんずラブ』『坂の途中の家』など多くの話題作に出演し、強い印象を残す。2020年のNHK大河ドラマ『麒麟がくる』では主人公・明智光秀の盟友、細川藤孝役を好演した。主演を務めるグルメドラマ『#居酒屋新幹線』が、2021年12月14日から放送中。

上京して入った大学で刺激を受け、表現者の道を志した若い日

年間10作近く出ている? 連続や単発ドラマ、映画、舞台、ドキュメンタリーなどの語りもありますし、そうかもしれませんね。ありがたいことです。

俳優になろうと考えたのは、実は大学受験の失敗があってこそなんですよ。高校卒業後の進路として第一志望だった福島大学がダメで、東京の国士舘大学に入りました。すると、山形県から出てきた自分にとっては刺激がいっぱいで。最初はアルバイトをしながらの普通の学生生活だったんですが、大学で出会った友人たちがバンドを組んだりダンサーを目指し始めたり。そんな姿がかっこよくて、自分も何か表現してみたいと思ったんです。

テレビドラマや映画はもともと好き。そこに出る側になってみたいという気持ちは、たぶん子どもの頃から感じていたのかもしれませんね。

それから俳優養成の学校で学び、青年座の研究生にもなりました。仲間内で自主映画なども制作していました。そんな中で、李相日さんが日本映画学校卒業制作として監督した『青~chong~』で主演。俳優としての初デビューです。それを機に、大学のほうは中退してしまいました。

20代は、お金の無い中でも仲間と共に必死で取り組んだ日々でした。24歳の頃、体調を壊して病院に行ったことがあります。お医者さんが笑って言うには、栄養失調だと。ちゃんと食べなければという意識もあまりなかったんですよね。テレビなどに少しずつ出るようになっても、現場で出演者だと気づかれないのはしばしば。スタッフと間違われたり、富士山ロケで事務所の先輩と2人、山で置き去りになったこともありましたよ(笑)。

“普通でいること”こそが切り拓いてきた名バイプレーヤーへの道

20代後半で事務所に入ってからは、『スウィングガールズ』『海峡』など自分にとって大きな転機となる作品に出演できました。監督やスタッフ、共演の方々からも多くの学びや気づきを受けたと感じます。思い出に残る作品もたくさんあります。また近年では『おっさんずラブ』『麒麟がくる』などの話題作に参加させていただいたのもとてもよい経験です。

俳優を続けるモチベーションとは何か。それはおそらく、まわりの人たちとご一緒できる喜びがあるからです。監督、共演者、スタッフ……さまざまな才能を持つ素晴らしい人たちと一緒にやらせてもらっているということに、とにかくうれしいんですよ。自分を主張しようという感じにはならない、というかなれない、かな。もちろんそうした方々からは多くの刺激を受けます。けれどむしろ同じ場で共に仕事ができることに今も、なんだかわくわくしてしまうんですよ。

役柄としては比較的ストイックで生真面目な感じのものが多いのも確かですが、自分自身もかなり地味な性格だと思うんです。仕事を通して知り合う方々は、俳優さんもスタッフさんも、話すことは面白いし、皆個性的だし。それに対して僕は、かなり普通なんだなと思います。特に面白い話も持ち合わせませんし、感覚もわりと一般的なのかなぁと。でもね、もう45歳になりましたし。この歳になって、もうこれでいいんじゃないかなとも思います。普通でいることが、自分の役者としてのありようなのかもしれないと。

役作りでも、現場でどういう演出をされるかに身を任せるほうが多いですね。もちろん、演じる役がどういう人物なのか考え抜く中で、アイデアが浮かべば取り入れます。撮影に向かう途中でも、ふと見かけた人のしぐさや行動など、これは使えるかもということもけっこうあります。そういう、街で見る“普通の人”からのインスピレーションはとても大切ですね。そこには、頭で考えるだけでは到達できないリアリティがあると感じます。

東北新幹線内でご当地グルメと地酒を堪能する新ドラマとは

提供:「#居酒屋新幹線」製作委員会

新ドラマ『#居酒屋新幹線』では、ただただ楽しくおいしくご当地グルメとお酒をいただいています。僕の出身である東北が舞台というのもありがたい設定でした。

損保会社の内部監査室で働く主人公が、東北新幹線で各地に日帰り出張しては、帰りの車中で、購入したツマミやお弁当、酒を1人楽しむという話。最初にオファーされた時はなんて地味なドラマかと思いましたよ。けれどロケが始まると本当に楽しくて。実際にあるお店を訪ね、隠れた名品を探して買い、新幹線内できれいに並べて食べる。もう、わくわくするしかありません。

8話分の撮影は終了しましたが、おいしいものばかりです。コロナ禍で旅を控えていた方々がこれを観て、“行きたい”“食べたい”“買いたい”と思ってくださったら、なによりですね。

主人公の高宮進さん、けっこうお酒が強いんですよ。新幹線に乗り込んだらすぐに“居酒屋”開店。カバンに秘めたマイ居酒屋セットもいいんです。座席の折畳みテーブルに持参の小鉢やぐい呑みを使って見つけたアテとお酒を並べ、存分に堪能し、東京駅に着く前に片付けて閉店する。たとえ日帰りでも、そういう旅の楽しみ方もあるんですよね。

進さんは監査という仕事柄、ストレスも多いのでしょうね。生真面目なタイプだとも思います。そんな人にとってのささやかな楽しみの時間……。なんだか共感してしまいます。

僕は進さんほどぐいぐいとは飲めませんが、お酒は好きです。この撮影を経てからは、地方に仕事で出るたびに何かしら地元のおいしいアテと地酒を探すようになりました。気に入ったものは、取り寄せて家でゆっくりいただいたり。

例えば仙台駅構内にもある「すてーきはうす伊勢屋」のコンビーフ。お弁当の付け合わせにちょこっと乗っていたのに感動して、今は取り寄せしていますよ。

犬の散歩とサウナは何も考えない時間――それが隠れ家かも

僕にとっての隠れ家って何だろう。

内緒にしたいお店とかではなくて、そのまんまの自分に還れる場所や時間っていうことですよね。

いま思い浮かんだのは、犬を散歩させている時間かな。チワワを飼っています。だいたいは夕方に、決まったコースをのーんびりと散歩するんですよ。そのかん、たぶん何も考えていません。リセットしようとかも思わない。ただ犬と自分といつもの景色だけがあるっていう感じですね。

そうそう、もうひとつありました。サウナです。『サウナーマン』というドラマにも出ましたが、それ以前から僕はサウナ好きなんです。家の近くにいくつか行きつけのスーパー銭湯などありまして、時間が空けば車で出かけます。

最近は若い人たちにもサウナがブームみたいで、慣れていないとルールとかマナーとか気にすることもありますよね。でもね。自分のペースで好きに入ればいいんですよ。まわりを気にせずマイペースで、が僕の信条。たまに地方のサウナにも立ち寄ります。そうするとサウナ室内は平均70代以上とかで、オヤ、なんか若いのが入って来たなァなんて目で見られるのもなかなか面白い経験です。

サウナに入ること自体も好きですが、隠れ家といえるのは、帰りに運転する車の中かも。サウナですっきりとし、夏などは窓を開けると風が入って。犬の散歩以上に、何も考えていない。ああ、気持ちいいなぁと感じるだけのシンプルな存在に戻っている。僕にとって、不可欠な時間なんだと、こうして話していて感じました。

これからのことは自分ではよくわからない。ただ、今後も素晴らしい方たちとご一緒できる機会があれば、できる限りのことをしていくだけです。

『#居酒屋新幹線』は東北新幹線沿線が舞台で、僕の故郷である山形には残念ながら行けませんでした。いつか続編で、山形新幹線編も実現できたらいいですね。

山形だったらどんなツマミがいいかな。やはり漬物かな。小さい頃から食卓にはいつも漬物がありましたから。え?「晩菊」知ってるんですか!? びっくり。あの漬物も日本酒に合いますよね。

東北のおいしいもの、もっともっと知ってもらえたらいいなと思っています。

<ドラマ情報>
「#居酒屋新幹線」
2021年12月14日(火)より、MBS/TBS ドラマイズム枠にて放送開始。また、2022年2月5日(土)からは、チャンネル銀河での放送も決定。
監督:芝﨑弘記 吉野主 エダゴウシ
脚本:木田紀生 黒沢久子 阿相クミコ 横幕智裕
出演:眞島秀和、新山千春(1話ゲスト)、大石吾朗(3話ゲスト)、水間ロン(7話ゲスト)、坂井真紀(8話ゲスト)ほか
https://www.mbs.jp/izakayashinkansen/

損保会社の内部監査室で働いているサラリーマン高宮進の密かな楽しみは、出張帰りの新幹線で堪能する ご当地テイクアウトグルメ。新幹線の中で、出張先で見つけた極上のグルメやお酒を一人楽しむ主人公・ 高宮進を演じるのは、ドラマ、映画、舞台など多方面で活躍中の眞島秀和。グルメドラマで主演を務める 彼が、どのような表情を魅せてくれるのかに注目だ。

文/秋川ゆか 撮影/田村 巴
ヘアメイク/佐伯憂香、スタイリスト/増井芳江
・黒ジャケット¥66,000(税別) ・黒パンツ ¥37,000(税別) suzuki takayuki
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