自販機メシのメッカともいわれる群馬県の南西部に位置する藤岡市。ここに、昭和レトロを感じさせる自販機メシがあると聞いた。自然と文化を探訪する藤岡市の散策は、懐かしいドライブインの自販機メシからスタートさせたい。

オレンジハット新町店〜自販機メシのラーメンで昭和レトロを満喫する〜

群馬県の大動脈といわれる国道17号線。オレンジハット新町店は、片側2車線の新町バイパスと呼ばれる幹線道路に沿う広い敷地の奥にある。新町バイパスを走っていると縦長の「自動販売」という看板が目立つので迷うことはまずないだろう。

オレンジハットは群馬県内では有名な自販機店舗のチェーン店だ。現存する店舗は少ないが、ある店舗ではオリジナルのTシャツやパーカーなどのグッズを販売し品薄になるほどコアな人気を集めている。

独特のレトロ感を放つ店舗外観は、ロックバンドのミュージックビデオ撮影にも利用されるなど、若年層からみても感性を研ぎ澄まされるものがある。外装だけでなく、店内も昭和52年の開業当時からほとんど変わっていないという。

店内は一言でいうならゲーセンだ。フロア内には古びた筐体のビデオゲームやパチンコ台のほか、旧式のプライズゲームも並んでいる。ここではぜひプライズゲームに挑戦して、オレンジハットオリジナルのロゴ入りキーホルダーをゲットしておきたい。

ゲーム機が並ぶフロアの奥には、壁一面に自販機が設置されている。レトロな昭和自販機は、まるで我こそが自販機コーナーの主役であると主張しているかのようにど真ん中に鎮座している。

オレンジハット新町店の昭和自販機は、天ぷらうどんとラーメン(いずれも330円)とトーストサンドの2台。天ぷらうどんはスタンダードなかき揚げが豪快に乗せられた関東風の黒い出汁、ラーメンはチャーシュー・ナルト・メンマのシンプルなものだ。購入からわずか25秒で提供されるうどんとラーメンは熱々で、自販機メシとは思えないほどの満足感がある。ゲームに興じる客だけでなく、仕事中の営業マンやトラックドライバーなどが盛んに立ち寄るのも頷ける。

同じトースト自販機が設置されていても、トーストサンドの味は店舗により異なっている。購入すると自販機内で高温の鉄板を使って上下両面を焼き上げる方式だ。提供された直後はあまりにも熱いため、備え付けのトングを使って取り出す。アルミホイルの包みを開くと、こんがりと焼き上がったトーストサンドが姿を現す。自販機内でこんなにも見事に焼き上がったトーストができあがるなんて、昭和自販機を開発した技術者には頭が上がらない思いだ。

店内にはゲームコーナーと自販機コーナーの間にイートインスペースがある。イートインスペースはボックスシートとテーブルが設置されており、休日にはカップルやファミリーが食事を楽しむというのだから驚かされる。

オレンジハット新町店
群馬県藤岡市立石635 電話0274-42-1297(11:00~22:00)
営業時間/6:00~24:00 定休/無休
アクセス/関越自動車道藤岡ICから車で約5分
昭和自販機/うどん&そば1台、トースト1台 そのほかの自販機/ジュース7台、カップラーメン1台、お菓子3台

藤岡市ひとり旅のおすすめスポット

藤岡市は緑と清流に恵まれた土地だ。世界遺産にも登録された「富岡製糸場と絹産業遺産群」のひとつである高山社跡は有名だが、ひとり旅ならさらにディープな藤岡の魅力を探っていきたい。藤岡市ひとり旅のおすすめスポットを紹介していこう。

八塩あじさいの里〜青紫に囲まれた散策路を歩き八福神巡り〜

6~7月の探訪なら八塩あじさいの里がおすすめだ。八塩温泉の周辺には約5000株ものあじさいが植えられており、あじさいが咲き誇る散策路を辿りながら八福神めぐりを楽しめる。

散策コースでは落ち着きのある日本庭園を観覧できるほか、カワセミなどの野鳥やホタルにも出会える。時期によってはライトアップされたあじさいを楽しめるので、開花情報とあわせてイベントもチェックしておきたい。

八塩あじさいの里
群馬県藤岡市浄法寺124-1 電話0274-52-3111(鬼石総合支所にぎわい観光課)
営業時間/常時 定休/無休 料金/無料
アクセス/上信越自動車道藤岡ICから車で約20分

下久保ダム〜山道は美しく、水面に映える湖に心酔〜

一級河川・利根川水系の神流川(かんながわ)に建設された下久保ダムは、ただの無機質なダムではない。美しいL字型のダム湖を形成し「神流湖」として近隣住民に親しまれている。

散策コースが整備されているため、徒歩での散策は澄んだ空気を存分に味わえる。湖は美しいエメラルドブルーの鏡面で、人工的に作られた風景だとは思えない美しさだ。放水のタイミングで訪問できれば、大迫力の美しい4門放流を観覧できる。

観覧後は、少し離れた場所にある管理所を訪ねてぜひダムカードもゲットしておきたい。なお、左岸は群馬県藤岡市だが、右岸は埼玉県児玉郡に面している。

下久保ダム
群馬県藤岡市保美濃山(左岸) 電話0274-52-2746
営業時間/常時 定休/無休 料金/無料
アクセス/上信越自動車道藤岡ICから車で約40分

ふくろう陶房〜伝統を受け継いだ窯元で心静かに陶芸を作る〜

藤岡市出身の陶芸家青木茂氏の窯元であるふくろう陶房では、45年を超える作陶歴を活かした陶製のふくろうのほか、愛らしい陶人形などの作品を観覧できる。青木氏の作品を目にするだけでも和みを感じられるが、ここではぜひ陶芸体験を楽しみたい。

青木氏の代表作であるふくろうを模したふくろう作りでは、手のひらサイズのふくろう作りが体験できる。マグカップなどの日用品もたったの30分で作れるので、藤岡のひとり旅を感じられる思い出の品にしたい。

ふくろう陶房
群馬県藤岡市下日野1955-3 電話0274-28-0880
営業時間/9:00~18:00 定休/月曜(祝日の場合は火曜)、第3火曜 料金/無料(陶芸体験は3240円から)
アクセス/上信越自動車道藤岡ICから車で約15分

上州おにし〜風情ある道の駅〜

奥多摩の玄関といわれる道の駅上州おにしは、レトロ感漂う建屋が訪れた観光客の目を楽しませる。館内では石器時代の遺跡や住居跡の歴史展示を観覧できるほか、週末には陶芸や木工体験もできる。敷地内に食堂もあり、本手打ちラーメンや手作り餃子は特におすすめだ。

1年のうち春と冬の2回開花する桜が7000本も植えられており、春は4月中旬、冬は11~12月が見ごろとなっている。

道の駅上州おにし 
群馬県藤岡市譲原1089-2 電話0274-52-3300
営業時間/9:00~17:00(駐車場・トイレは24時間) 定休/火曜 料金/無料
アクセス/上信越自動車道藤岡ICから車で約25分

藤岡市のひとり旅は、オレンジハットのオリジナルキーホルダーや下久保ダムのダムカード、ふくろう陶房で自作した陶芸作品など、形に残るアイテムが数多く手に入る。思い出のアイテムを手にすると、不思議とまた自販機メシが恋しくなるから、自販機メシを求める男のひとり旅はやめられない。