19501コロナ終息後には野生のお猿と 「密会・密着・密集」の三密だっ! |野生の猿の楽園『波勝崎モンキーベイ』(静岡県・南伊豆町) 2020年5月7日オープン!

コロナ終息後には野生のお猿と 「密会・密着・密集」の三密だっ! |野生の猿の楽園『波勝崎モンキーベイ』(静岡県・南伊豆町) 2020年5月7日オープン!

男の隠れ家編集部
編集部
「こんな所にポツンと波勝崎。最寄りの駅から徒歩6時間。歩いて来ないで下さい!」どこかで聞いたような、何とも自虐的な文句ではないか。これは猿、もとい去る5月7日にオープンした『波勝崎モンキーベイ』のコマーシャルだ。「猿しかいません!」と言い切る、波勝崎(はがちざき)とは一体どんな所なのか!?
目次

野生の猿と身近に触れ合える場所として人気だった、伊豆の『波勝崎苑』が休園

伊豆半島南西部にある波勝崎(はがちざき)周辺には、昔から野生のニホンザルが群れをなして暮らしていることで知られていた。昭和初期、波勝崎の三つ又付近の山で仕事をしていた肥田与平さんは、野生の猿に関心を寄せていた。そんなある日、仕事場で昼の弁当を盗まれてしまう。その犯人が猿だと知り、肥田さんはますます野生の猿に興味を抱くようになる。

戦後、南伊豆の発展に意欲を示していた下田市出身の元県議会議員・沢村久右衛門さん(当時下田ドック社長、下田信用金庫理事長、東海バス取締役)も、波勝崎に棲息する野猿に着目。沢村さんの尽力により、人と野猿の群れが間近で触れ合える『波勝崎苑』を、開園することとなった。その初代飼育管理者として肥田さんが迎えられたのだ。

『波勝崎苑』は昭和32年(1957)に開園。以来、肥田さんは昭和57年(1982)に退職するまでの25年間、飼育担当者として野生の猿の生態研究に打ち込みつつ、猿と人間の共通点や特徴をとらえて、猿の社会と人間社会を結ぶ 掛け橋となった。さらに入園者に対する野猿の解説は、臨機応変にユーモアをまじえた話術によって、数多くの観光客を魅了した。

昭和48年(1973)、年間入園者がピークを迎え、46万人を数えた。しかし90年代に入るとその数は減少を続け、2018年にはついに最盛期の20分の1の2万人にまで落ち込んでしまう。そして2019年9月、入園者減少による経営難のため、9月末日で休園することを決定したのである。

300頭はいると言われる、東日本でも最大級の野猿が棲息する波勝崎。そのまま放置されていたら、餌がもらえなくなった猿たちが、近隣のみかん畑を荒らしたり、野菜を食べてしまったりするであろう。住居に侵入して食べ物を盗むようになるかもしれない。子猿が多いから、飢え死にしてしまう事例が続出する事も考えられる。そして害獣扱いされて駆除される、そんな不幸な結末は見たくない。運営会社「波勝崎苑」はそうならないためにも、休園後も当面の間、猿への餌やりを続けていた。それと同時に、施設を引き継いでくれる業者を探していたのである。

爬虫類王国 「iZoo」を運営する白輪社長によって、新たに『波勝崎モンキーベイ』として再始動!

そこに名乗りを挙げたのが、河津町で爬虫類や両生類を専門とする『体感型動物園 iZoo(イズー)』、カエルを専門とする『体感型カエル館 KawaZoo(カワズー)』を運営する「レップジャパン」(白輪剛史社長)であった。レップジャパンは2020年1月29日、波勝崎苑から園内の売店など建物2棟の無償譲渡を受け、経営権を引き継ぐことを発表。さらに地元の伊浜区が所有している、約4万6千平方メートルの園地も3年間の無償貸与が決定する。2棟の建物は、2020年4月7日から始めたクラウドファンディングで集まった資金の一部を活用し、改装を手がけた。そして2020年4月24日、『波勝崎モンキーベイ』と改称し、生まれ変わった野猿の楽園が、営業を再開する運びとなった。

ところが新型コロナの影響で、ゴールデンウイーク前のオープンは断念せざるを得なくなった。そこであらためてオープンは5月7日に仕切り直したのである。

再開にあたり、白輪社長は「野生の猿とここまで接近できるのは、先進国ではここだけです。それだけでも海外から訪れる人へのアピールになり、必ず観光の大きな目玉になると信じています」と、意気込みを語っている。

白輪社長自身「もともと波勝崎苑の存在を、まったく知りませんでした。2019年9月に閉園すると聞いて、初めて知りました。iZooがある東伊豆から、ほんの少しクルマで走っただけで、こんなに雰囲気が違う世界があるのだと、自分でもそのギャップにすごく驚かされてしまったほどです」と、ビデオメッセージで語っている。

今では忘れられた存在になってしまい、多くの人が知らないので、訪れる人も減ってしまった。ならば広く知ってもらえさえすれば、その魅力に気づく人が大勢出てくるはずだ。まさしく無限の可能性を秘めているといっても過言ではない。

波勝崎の猿は海岸を生活圏に持つ、学術的にも大変貴重な一群と言われている。園の中では猿の餌やり体験ができるエリアもあり、普段は間近で見る事ができないニホンザルの行動をゆっくり観察もできる。

国立公園内のため規制が厳しく、施設はあくまで改装にとどまっているが、そこが逆に懐かしい昭和感を醸し出している。伊豆半島の中でも、とくに手つかずの自然が残る風景と相まって、新たな魅力となっているのだ。

「ライオンいません、キリンもいません。ヘビヘビ、ワニワニ、カメカメ・・・」という、強烈なインパクトのコマーシャルで話題の『iZoo』を手がけた白輪社長だけに、今後の戦略からも目が離せないだろう。

波勝崎モンキーベイ
入園料金:大人(中学生以上)1200 円 
     小人(小学生):600 円 
     幼児(6歳未満):無料
住所:静岡県賀茂郡南伊豆町伊浜2622-1
電話番号:0558-67-0003
営業時間:9:00~16:00(最終入園15:30)
駐車場:無料(約200台)
交通:車名高速道路沼津ICより約120分(約116km) 
波勝崎モンキーベイ公式HP:http://monkeybay.jp
公式HPの免責事項を必ずお読みいただきお越しください

文/野田伊豆守

爬虫類王国 iZoo + KawaZoo オフィシャル完全ガイド
監修・写真/白輪 剛史(iZoo/KawaZoo園長)
出版社:三栄
判型:A4変形
定価:1250円+税

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いくつになっても、男は心に 隠れ家を持っている。

我々は、あらゆるテーマから、徹底的に「隠れ家」というストーリーを求めていきます。

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