28678遊覧飛行で高度5000mから富士山の勇姿を!!  FDA×大井川鐵道×富士山静岡空港 3社特別企画 「富士山遊覧飛行と大井川鐵道と南アルプスあぷとライン」 体験ルポ

遊覧飛行で高度5000mから富士山の勇姿を!! FDA×大井川鐵道×富士山静岡空港 3社特別企画 「富士山遊覧飛行と大井川鐵道と南アルプスあぷとライン」 体験ルポ

男の隠れ家編集部
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乗り物好きにはたまらないツアーが人気を博している。それは大井川鐵道とFDA(フジドリームエアラインズ)、それに富士山静岡空港の3社が連携し、富士山を中心とした静岡県の魅力を空路と陸路の2本立てで、立体的に堪能してしまおうという、何とも贅沢なツアーなのだ。「ジャパン・ツーリズム・アワード」に入賞、さらに「Go Toトラベル」も使えるという、この夢のような企画に満を持して参加してみた!
目次

3社提携の画期的なツアーに胸が高鳴る

静岡空港6時30分集合に間に合うように、まだ夜が明けていない東名高速道路を、西へとクルマを走らせた。

飛行機と鉄道、それにバスに乗り、静岡の魅力をまるごと楽しんでしまおうという欲張りなツアーは、朝5時30分に静岡駅南口をスタートする。だが静岡周辺に住んでいない限り、前泊することになってしまう。静岡空港まで自力で行けば、ターミナルビルに近い有料駐車場を利用しても1日500円、少し離れた場所なら無料だ。ということで、迷わず空港合流をチョイス。

6時20分頃に空港へ到着すると、すでに大鉄観光のバスが到着していた。6時30分になり、空港ターミナルがオープンするとバスで来た人たちだけでなく、私たちと同じように空港で合流した参加者が一緒になり、団体受付のカウンターにてチケットを受け取る。

通常のフライトと同じように荷物検査を受け、チェックインを済ませボーディングブリッジへ。と思ったら、階段を下りて駐機場へと案内された。飛行機へは昔のように歩いて行き、タラップを使って乗り込むのだ。これはこのツアーならではの粋な計らいとのこと。この瞬間、これから始まる遊覧飛行への期待感がさらに膨らんできた。

富士山静岡空港に集合した参加者は、電光掲示板に表示されたFDA3776便の文字や、タラップで飛行機に乗り込む演出に大興奮。

低空から望む霊峰富士の勇姿は・・・

たくさんの笑顔を乗せたFDA3776便(富士山の標高と同じ便名!)は、定刻7時30分に富士山静岡空港を離陸。約40分の遊覧飛行へと出発した。

スタッフのお見送りも嬉しい限り。

離陸後、飛行機は駿河湾上を北東へと飛行し、清水港上空付近で旋回、富士川に沿って北西へと進路を変更した。この日は雲が多かったが、地上の風景はとてもよく見えた。何しろ通常は富士山周辺を飛行する際、高度は1万mほどになる。

ところがこのツアーでは、特別な許可を得て5000m付近を飛行。おかげで地上の風景も迫力満点なのだ。まさに原寸大のジオラマを目の当たりにしているようで、視線は釘付けにされてしまった。

そして本栖湖付近で再び旋回し、いよいよ富士山上空へと機首を向ける。過去11回行なわれたこのツアーでは、富士山が見えなかったのは1度だけと聞いている。そのため雲は多めだが晴れ間も見えるので、当然、富士山は見えるものとタカをくくっていた。機体が傾き、眼下に本栖湖と精進湖がはっきりと見えた。次の瞬間、目の前には均整のとれた美しい富士山の姿が見え・・・なかった。

富士山はまるでソフトクリームのように、山全体が笠雲にスッポリと包まれているではないか! 山頂部分に笠がかかっているのは珍しくないが、ここまで山の形がきれいにわかるように、雲に覆われてしまうのは珍しいかも。静岡県民の私は、かえって神秘的な光景が見られて、得したような気分になれた。遠くから参加した方々、ごめんなさい!!

通常の約半分、高度5000mから眺める地上の様子や富士山は迫力満点。今回、富士山は雲に覆われていたが、神秘的でもあった。

富士山上空をしばらく飛行した後、愛鷹山上空から再び駿河湾へと向かう。その間、眼下には地形がはっきりわかる風景が流れる。

「これほど地上の風景がはっきりと分かるのは、離着陸の時を除くと私たちでもめったに経験できなません。こうして見ると陸地が地図と同じなのが不思議な感じですね」と、キャビンアテンダントさんも興奮気味だ。このまま日本列島を縦断してくれたら凄いだろうな、なんて考えていたが、機体は次第に高度を下げ、静かに富士山静岡空港に着陸した。

好天ならば、こんな風景が楽しめるはず!

多彩な楽しみが待つ井川線に乗車

富士山静岡空港を後にするため、バスに乗り込む際にFDAからの記念品が渡された。さらに車内では軽朝食が配られ、約1時間30分のバスの旅が始まる。

バスに乗り込む際、空港からの記念品と大井川鐵道周辺の案内などが渡された。

車内では大鉄観光の担当者が予定の確認だけでなく、大井川鐵道周辺の見どころを細かく解説してくれるので、飽きることはない。途中「千頭駅」でトイレ休憩。「千頭駅」は大井川鐵道本線の終着駅。ここから先はトロッコ列車並みに小さなボディのディーゼル機関車と客車が、深山幽谷の世界に分け入る井川線(愛称:南アルプスあぷとライン)となる。

今回は千頭からの乗車ではなく、長島ダムが作られたことにより誕生した、接岨湖の真ん中に立地する「奥大井湖上駅」から「千頭駅」を目指し、井川線に乗車する。

ただしこの駅へは山道を下り、鉄橋の脇に設けられた狭い歩道橋を歩いて渡らなければ行くことができない秘境駅だ。当然、駅周辺には集落などない。バスを降りた県道から脇道に入ると、すぐに駅の展望スポットがある。

ここから眺める風景は、エメラルドグリーンの湖面に浮かぶ木々が生い茂った岬に、赤い鉄橋が両側から架かる不思議な風景だ。その岬上に目指す「奥大井湖上駅」があり、よくポスターなどに採用される絶景として人気なのだ。

展望スポットから見た奥大井湖上駅の絶景。

展望スポットから先は、文字通りの山道を10分ほど下る。途中、滑りやすい場所もあるので、ツアーに参加する場合は歩きやすい靴が必須だ。山道を下り終わるとレインボーブリッジ(東京の同名橋よりこちらの方が歴史が古い!)を渡り駅へと向かう。

すぐ脇に線路がある橋を渡るのも、他ではなかなか味わうことができないレアな体験。そしてこの「奥大井湖上駅」は、2019年に静岡県で唯一、外国人が選ぶ「クールジャパンアワード」を受賞している。この風景は、外国人だけでなく日本人が見ても最高にクールと言えよう。

井川線を利用するか、山道を辿らなければ行けない秘境駅なのだ。

11時4分発の千頭行きの列車に乗車。2つ目の「長島ダム駅」に到着すると、先頭にアプト式電気機関車が連結された。次の「アプトいちしろ駅」までは、90‰(パーミル・1000m水平移動すると90m垂直移動する)という急勾配区間。

そのため線路中央にアプト式ラックレールを敷き、機関車側の歯車と噛み合わせることで、列車を安全確実に上り下りさせるのだ。床下からゴロゴロと歯車が噛み合う音が響き、列車は見る見る坂を下って行く。列車に乗っていて、これほどの高度差を体感できる路線は日本唯一の存在である。

「アプトいちしろ駅」で電気機関車を切り離した後は、ディーゼル機関車に牽引された小さな車体は、蛇行する大井川に沿って右へ左へと急なカーブを繰り返す。開け放たれた窓からは、瑞々しい空気が車内いっぱいに吹き込む、快適な列車旅が味わえた。

ダム建設により生まれた90‰の急勾配区間のみ電化され、アプト式電気機関車が連結される。その作業も必見! 他の区間はかわいいディーゼル機関車が牽引する。

機関車が牽引するレトロ客車にも乗車

お楽しみは乗り物だけではないのも、このツアーの魅力。昼食は「川根温泉ホテル」で静岡県と川根地方の名産品をふんだんに使用した、ランチバイキングが味わえる。もちろん、各テーブルに使い捨てのビニール手袋が用意されているなど、コロナ対策は万全で、安心して美味に舌鼓が打てる。

お楽しみのランチは川根温泉ホテルのバイキング。種類、味とも大満足のラインナップ。

大人から子どもまで大満足の料理に加え、名産の川根茶がたっぷり呑めるドリンクバーや、お茶を使ったスイーツも充実しているデザートなど、参加者全員が満面の笑顔になったランチタイムを過ごせた。

そしてツアー最後のお楽しみは、大井川鐵道本線を走るSL特急乗車だ。しかしこの日は蒸気機関車が整備中だったので、これまた大井川鐵道の自慢でもある電気機関車が牽引というサプライズに遭遇。

蒸気機関車が整備中のため、電気機関車がレトロな客車を牽引。のどかな風景の中を走って行くと、タイムスリップの感覚も味わえる。

それはそれで、大変貴重な体験なのである。何しろ昭和初期に建造された客車は、大井川鐵道でしか乗車できない“走る骨董品”だし、それを牽引する電気機関車もマニア垂涎のシロモノなのだ。

昭和の雰囲気漂う木造駅舎の「川根温泉笹間渡駅」から「新金谷駅」まで、約40分の列車旅を堪能した後は、バスで富士山静岡空港へ。ここで解散する人も静岡駅まで帰る人も、空港でお土産を購入できるのだ。そして空港組は17時頃に解散。日帰りとしては、超が付くほど濃い内容のツアーであった。

旅の締めくくりは富士山静岡空港でお土産をゲット!

この素晴らしいツアーは、ツーリズムの発展・拡大に貢献し「ツーリズムEXPOジャパン」とのシナジー効果に寄与、または国内・海外の団体・組織・企業の持続可能で優れた取り組みを表彰する「第6回ジャパン・ツーリズム・アワード」に入賞。さらにお得に旅が楽しめる「GO TOトラベル事業」の対象にも選ばれている。人気急上昇中なので、来年以降も随時ツアーが組まれる予定。これはもう参加するしかない!

日程・料金などの問い合わせは、
大井川鐵道公式HP   http://oigawa-railway.co.jp/archives/52641

文/野田伊豆守 撮影/金盛正樹

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