旬の新鮮な魚介類が揃う市場巡りもお愉しみ
月並みな欲求で恥ずかしい限りだが、秋になったのでソロキャンプを愉しみつつ、新鮮な海産物を腹いっぱい食べたくなってしまった。そうなると目指すは海に近いキャンプ場がベスト。しかし海辺に行けば、どこでも新鮮な魚介類が簡単に手に入ると考えるのは大間違いだ。海が近くても一般人も買い物ができる市場がなければ、普通の街中とたいして変わらない。
その点、茨城県の大洗海岸に面した小高い松林内に快適なサイトが広がる「大洗サンビーチキャンプ場」ならば、すぐ近くの那珂湊(なかみなと)漁港前に11店舗が軒を連ねる「那珂湊おさかな市場」があるから目的は果たせる。
ここでは場内をひと回りすれば、旬の魚介類をひと通り揃えることができるのだ。なにしろ目の前に広がる太平洋で水揚げされ、競り落とされた鮮魚がズラリと並んでいるのだから。
この市場に来た時にいつも悩むのが、ついつい買い過ぎてしまうこと。欲張って刺身も食べたくなる。しかしキャンプで刺身というのは色々と面倒なので、キャンプ場にチェックインする前に、市場内の食事処で海鮮丼などをいただき、少し早めの昼食を済ませてしまうのも良いだろう。腹が満たされた状態で買い物をすれば、冷静に品定めもできるはずだ。
観光客が多い市場だけあり、発泡スチロールのトロ箱と氷がセットで売られている。買った魚介類はそれに入れれば、クーラーボックスに匂いをつける心配もない。伊勢エビを筆頭にカレイやハマグリなど、やっぱり大量の魚介を購入し、とりあえず食材の準備が完了。車をキャンプ場へと走らせた。
あえて広いサイトを選択 余裕のレイアウトに
今回予約しておいたのは、松林に囲まれたAC電源付きの広いサイト。ソロキャンプでは少し贅沢な気もするが、空間に余裕があるとテントやタープを設営するのがスムーズ。隣の人と離れている上、松の木が目隠しにもなるので気兼ねなく愉しめる。
サイトにクルマを停め、荷物を広げたらまずはテントの準備。用意したのはモンベルのドームテント、ひとりでも簡単に張れるだけでなく、ペグで固定しなければ持ち上げて移動できる自立式。テントをベストな位置にセッティングするのに苦労しないのが良い。
松林越しに雄大な太平洋が広がる快適サイト
テントの位置さえ決まれば、あとはリビングになるタープをセット。ソロキャンプながら、道具の配置にも余裕を持たせた。焚き火台などはテントやタープから少し離すことで、薪がはぜて生地に穴を開けてしまうことを防げる。
ひと通りセッティングが終わったのは、まだ日の高い15時前。夕食の準備を始めるには少し早いので、ゆっくりとチェアに身を沈め、遠くに聞こえる波の音に耳を澄ませていた。すると松林を抜けて頬を撫でる海風も心地良く、いつの間にか夢の中へと誘われてしまった。誰かのためにあれこれイベントを考えなければならないグループキャンプと違って、時間を好きなように使え、変更も勝手気ままなのがソロキャンプの醍醐味だ。
目覚めはとても快適で、ゆっくり2時間近く昼寝を愉しんだ感覚だった。しかし実際は1時間も経っていなかった。普段はなかなか味わうことのできない贅沢な時間を堪能した後は、いよいよ最大のお愉しみである夕食の準備に取りかかることにしよう。
焼くだけという単純さが旨味をより強調する
海産物をシンプルに愉しむなら、炭火でじっくりと焼くのが一番だろう。下ごしらえも楽なので、ソロでは最高のメニューである。下準備にはいつでもキャンプに行けるよう、ひと通りの食器や調理道具を収めたマイ・コンテナボックスが大活躍。バットやまな板、包丁からワインオープナーなどの小物もセット。これをクルマに積みさえすれば困らないのだ。
ハマグリは浜焼き風、ウロコを落として飾り包丁を入れたカレイは塩焼きに、そしてイカは適当なサイズに切り分けホイル焼きにした。さらに伊勢エビは豪快に丸ごと焼く。炭火でじっくりと焼き上げた新鮮な魚介類は調味料いらず。今日は脂が乗っていて大変味が良い深海魚、メヒカリも用意した。これもシンプルに塩焼きにすると旨いのだ。
これらの酒肴はクーラーボックスでキリッと冷やしておいたシチリア産の白ワイン「トーラ・カラット2018」を味わいつつ、じっくり夜を愉しみながら全て美味しくいただいた。
翌朝は日の出と共に起きて、まずは昨日足を向けなかった海岸を散策。朝の空気をたっぷり吸い込んだところで、朝食の準備を開始。
市場で買ったタコをぶつ切りにし、ブロッコリーやパプリカと共にオリーブオイルで煮た簡単アヒージョを作る。1泊2日、海鮮三昧のソロキャンプ。秋の味覚を求めてまたキャンプ旅に出たい。
【BEST CHOICE】風に強い頼もしい調理湯焚き火台
「薪グリルsolo」の最大の特徴は、風防と火床が一体となったフレーム構造となっている点。これによりコンパクトながら高い剛性を発揮。このシリーズはソロのほかにノーマルとラージがある。焚き火の熱が風防に反射するので小さいながらもとても暖かい。
薪グリルsolo
重量:約1.1kg
価格:6,620円
問い合わせ:新越ワークス
Camp ground information
太平洋を望む丘上のサイト「大洗サンビーチキャンプ場」
AC電源付きサイト、クルマが入らない子どもにも安心のサイト、海が見えるサイト、日帰りのバーベキューエリアなど、様々なスタイルに対応。コインシャワーやコイン洗濯機も完備。
大洗サンビーチキャンプ場(おおあらいさんびーちきゃんぷじょう)
茨城県東茨城郡大洗町大貫町1212-57
電話/029-267-2234
チェックイン・チェックアウト/13時〜翌10時
料金/入場料大人ひとり300円、AC電源付きサイト1区画5,000円、それ以外のサイト3,000円
アクセス/北関東自動車道「水戸大洗IC」から国道51号線経由で約10分
HP/https://sunbeach-camp.org/
※開設期間、シーズン料金等の詳細はHPでご確認ください。
Thanks/イワタニ・プリムス、コールマンジャパン、新越ワークス、新富士バーナー、モンベル
Text/Izunokami Noda Photo/Atushi Sekino
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