29792Highland Camp〜虫の音響くカラマツ林、浅間山麓に抱かれ過ごす一夜。|はじめませんか?ソロキャンプ

Highland Camp〜虫の音響くカラマツ林、浅間山麓に抱かれ過ごす一夜。|はじめませんか?ソロキャンプ

男の隠れ家編集部
編集部
浅間山の裾野、北軽井沢の秋。どこまでも高い空、爽やかな風、そしてカラマツ林の中に広がるキャンプサイトはまさに高原ならでは。秋の虫の鳴き声を聞きつつひとりの夜が更けていく。
目次

ブッシュクラフトサイトはソロキャンプに最適だった

北軽井沢と聞いてほとんどの人は長野県の軽井沢のイメージするはずだ。しかし「北」と付くだけで県が変わる。軽井沢は長野で北軽井沢は群馬県の長野原町にある。

商店の少ない群馬県の北軽井沢では貴重な野菜直売所。
地元の野菜はもちろん、キャンプ用のちょとした食材も手に入る。
キャンプ場にチェックインする前に立ち寄った駅舎。大正4年(1915)に一部開通し、大正15年に草津温泉~新軽井沢間55.5kmの全線が開通した草軽電気鉄道(現在は廃線)。
沿線に18あった駅のひとつ、北軽井沢駅の駅舎が今も残る。木造平屋建ての駅舎の形は善光寺がモデルともいわれ、国の「有形文化財」に。

秋のとある週末、思い立ってソロキャンプギアをハイエースに放り込み、出かけてみることにした。碓氷軽井沢ICで高速を降りて中軽井沢からしばらく登坂、峠を越えるとそこは長野原町。軽井沢の賑やかな雰囲気とは真逆の静かな自然が広がっている。目的地である「outside BASE」にはブッシュクラフトサイトがあり、通常のキャンプサイトとは違ったキャンプが愉しめるという。

上信越自動車道を碓氷軽井沢ICで降り約1時間、ひと山越えて長野から群馬県の長野原町へ。今夜のソロキャンプサイトがある「outside BASE」は深いカラマツ林の中。

早速チェックインをし、そのサイトへと向かった。カラマツの静かな森がキャンプ場の端に広がっており、とてもワイルドな雰囲気。その分、炊事場やトイレからは遠くなってしまうが、静かにキャンプを愉しみたい人にはいいだろう。

快適生活研究家の田中ケン氏プロデュースのキャンプ場は管理棟からしてオシャレ。ファミリーキャンプ場かと思いきや、意外にソロキャンパーも多いと聞き、ひと安心。

また、普通のサイトは直火禁止だが、このブッシュクラフトサイトは直火ができるのもいい(日程等に一部条件があるので要確認)。よし、サイトの設営をしようか。

浅間山を身近に感じて日は暮れていく

今夜はソロテントを張らないことにした。ゼインアーツのギギ1をシェルターにしてコットで眠る。焚き火とリビングはキャノピーの先に作ったが、もし寒くなったらシェルターに入ればいい。そう、ソロキャンプは常に身軽なのだ。

ゼインアーツのギギ1はソロキャンプでも快適で、最高のシェルターだ。
キャンプサイトが妙にふかふかだと思ったら、どうやらそれは溶岩の軽石のようだ。サクサクふわふわで歩いて気持ち良い。周辺に落ちている溶岩石を拾い、直火用のファイヤーピットを作る。

焚き火の準備をして食事作りまでの時間、キャンプ場内の看板矢印に導かれて裏山に登ってみた。腰丈ほどある深いクマザサを掻き分けて先に進むと、夜は満天の星が眺められるという開けた丘に出た。そうだ、今朝ほど見た草軽電鉄が走っていた山の線路はあの辺だろうか。見えるはずもない鉄路を想像し、秋の冷たい空気を思い切り吸い込んだその空には、たくさんの赤トンボが飛んでいた。

裏山へ散策に出かけると、まさにそこは大自然。浅間山を身近に感じられる岩や木々、草木の森が広がっていた。

サイトに戻ると先ほどよりも冷え込んでいて、周辺の木々の色も昼間とは全く違う森になっている。早速焚き火を熾して白ワインの栓を抜く。「信州じゃないけどお隣だし、別に信州ワインでもいいよな」とひとりごちた。

8インチのダッチオーブンでミートソースたっぷりのナチョスを作り、さらに野菜販売所とキャンプ場の受付で買った朝採れ野菜などの串揚げを仕込んで揚げていく。コフランのテレスコーピングフォークは子ども用のオモチャだよという人がいるけれど、いや、焚き火を愉しむソロキャンプでは大活躍する最高のギアのひとつだろう。

荷物は最小限。シングルバーナーと8インチダッチ、直火で料理を作る。テンマクのユニバーサルグリルとテオゴニアのファイヤープレーストング、そしてディグディフのログキャリーも活躍。
周辺にカラマツの枝がたくさん落ちているが、キャンプ場でも広葉樹を売っているので1束買っておくと安心。

夜の訪れ。ペトロマックスの灯油ランタンをプレピートして火を灯すと、森は一瞬にして明るさを取り戻す。遠くで子どもの笑い声が聞こえるが、ここは遠く離れたソロサイト、きっと向こうは私の存在にすら気づかないだろう。浅間山麓の自然を身近に感じながら、愉しいひとり酒宴が始まる。

焚き火を熾し、白ワインを開けてひとり乾杯。
ダッチオーブンに仕込んだナチョスの上火に炭を乗せて、チーズを溶かしていく。
誰もいないブッシュクラフトサイトに煙が立ちこめる夕暮れ。こういう素敵な時間があるから、ソロキャンプはやめられない。

串揚げとステーキが旨い 食べ過ぎてしまうソロの夜

ある渓流釣り師から聞いた話だが、渓流解禁当初の渓ではたくさんの山菜が採れるという。野営で焚き火を熾して山菜と釣れたイワナを天ぷらにして食べるのが最高の贅沢だと嬉しそうに話す彼を見て、いつか自分もやってみたいと思っていた。

そしてなかなか飲み歩けない昨今、大好物の串揚げを作ろうと思いついたのだった。地元の野菜と肉類を揚げて酒を飲むのも最高の贅沢でないか。鍋に素材が浸かるか浸からないかくらいの油、縦に揚げて揚げた側から食べるスタイルが旨過ぎる。揚げ終わったら油はよく冷まして必ず持ち帰るようにしたい。

串揚げの素材は新鮮そのもの。
「甘唐からし」という野菜は初めていただくが、揚げ物には合うだろうか。
深型のコッヘルを用いて少量の油で揚げ、揚げ終わったら冷やして専用容器に入れて必ず持ち帰る。

40代になり牛肉の脂身が若干苦手になり、赤みの肉を好んで食べるようになった。数年前にオーストラリアを旅した時、現地のレストランで食べた薪で焼いたステーキの味が忘れられず、火を熾すソロキャンプでは必ず真似をするようになったのだ。常温に戻した赤身肉をじっくり焼きながら、煙の香りをつけていく。焼き上がったらアルミ箔に包んでしばらく放置するのがポイントだ。これでステーキのドリップが抑えられる。

串揚げを食べながらオージー・ビーフのステーキを焼く。
直火で焼くステーキの旨さを知ってしまうと病みつきになる。
スモーキーな赤み肉はいくらでも食べられる。ビーフを薄切りにして水気を取り、焚き火の煙にかける。3時間で美味しい酒肴に。
ギギ1の中にコットを入れるとまさにそこはベッドルーム。わずか4kgの幕体だが、中は広々でソロにも最適。

20時になったのでキャンプ場が主催するバーに行ってみた。基本的にソロキャンプではあまり人に会うことはないが、時にこういう出会いも愉しいもの。同年代とおぼしきキャンパーと、使っているキャンプギアの話で盛り上がった。

20時、キャンプ場の主催するバーに行ってみた。
オリジナルのカクテルなどがワンコインで楽しめる。

標高1,200mの山麓、直火の炎がよりありがたい

ジンジャーのリキュールを2杯いただいたところで、またひとりに戻る。キャンプサイトに帰ると既に小さな熾火になっているグリルの上で、ビーフジャーキーがいい色に燻されていた。しっかり身が締まって硬い。それを肴にして寝酒にスコッチをストレートで飲んだ。

自分で作ったビーフジャーキー。アウトドアスパイスの塩気が効いていて最高のつまみだ。
足元から直接暖まれる直火。足裏をかざせば体中が温かくなる。

コオロギがランタンを飛び越えて薪の下に潜り込む。神聖な高原、虫一匹たりとも殺してはいけないような気がして探してみたが、それはもう見つからなかった。

地元のパンとウインナー、卵を焼いただけの朝食だが、コーヒーと愉しんで贅沢な時間を過ごした。
近くの浅間牧場で霞んだ浅間山を望む。牛も間近に!

【BEST CHOICE】ソロキャンパー必携の高性能ウォッチ

高精度なGPSセンサー、トラックバック機能でルートナビゲートもしてくれる。

ソロキャンパーは全てが自己責任。ゆえに高性能な時計も身を助ける道具のひとつになる。ガーミンの「インスティンクト・タクティカル・カモグラファイト」はアメリカ国防総省のMIL規格の時計。裏付けられたミリタリースペックはソロキャンプで役立つ。
※詳細は https://www.garmin.co.jp/

Camp ground information

北軽井沢の聖地「outside BASE」

田中ケン氏プロデュースのキャンプ場は抜群のロケーション。広大な敷地にキャンパーを詰め込まない方針で、1サイトが広々。ブッシュクラフトサイトについてはキャンプ場に要確認。

outside BASE(あうとさいど べーす)
群馬県吾妻郡長野原町大字北軽井沢字鷹繋2032-2457
電話/03-3306-4559(予約センター)
チェックイン・チェックアウト/14時〜翌13時(テントサイト)、14時〜翌11時(コテージ) 
料金/テントサイト4,500円〜(4名+車1台)、コテージ1万2,000円〜(4名+車1台)
アクセス/上信越自動車道「碓氷軽井沢IC」より約50分
HP/https://www.outsidebase.com/
※開設期間、シーズン料金等の詳細はHPでご確認ください。

Thanks/Team outside

Text/Noriy.K Photo/Kenji Mukano

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