ブッシュクラフトサイトはソロキャンプに最適だった
北軽井沢と聞いてほとんどの人は長野県の軽井沢のイメージするはずだ。しかし「北」と付くだけで県が変わる。軽井沢は長野で北軽井沢は群馬県の長野原町にある。
秋のとある週末、思い立ってソロキャンプギアをハイエースに放り込み、出かけてみることにした。碓氷軽井沢ICで高速を降りて中軽井沢からしばらく登坂、峠を越えるとそこは長野原町。軽井沢の賑やかな雰囲気とは真逆の静かな自然が広がっている。目的地である「outside BASE」にはブッシュクラフトサイトがあり、通常のキャンプサイトとは違ったキャンプが愉しめるという。
早速チェックインをし、そのサイトへと向かった。カラマツの静かな森がキャンプ場の端に広がっており、とてもワイルドな雰囲気。その分、炊事場やトイレからは遠くなってしまうが、静かにキャンプを愉しみたい人にはいいだろう。
また、普通のサイトは直火禁止だが、このブッシュクラフトサイトは直火ができるのもいい(日程等に一部条件があるので要確認)。よし、サイトの設営をしようか。
浅間山を身近に感じて日は暮れていく
今夜はソロテントを張らないことにした。ゼインアーツのギギ1をシェルターにしてコットで眠る。焚き火とリビングはキャノピーの先に作ったが、もし寒くなったらシェルターに入ればいい。そう、ソロキャンプは常に身軽なのだ。
焚き火の準備をして食事作りまでの時間、キャンプ場内の看板矢印に導かれて裏山に登ってみた。腰丈ほどある深いクマザサを掻き分けて先に進むと、夜は満天の星が眺められるという開けた丘に出た。そうだ、今朝ほど見た草軽電鉄が走っていた山の線路はあの辺だろうか。見えるはずもない鉄路を想像し、秋の冷たい空気を思い切り吸い込んだその空には、たくさんの赤トンボが飛んでいた。
サイトに戻ると先ほどよりも冷え込んでいて、周辺の木々の色も昼間とは全く違う森になっている。早速焚き火を熾して白ワインの栓を抜く。「信州じゃないけどお隣だし、別に信州ワインでもいいよな」とひとりごちた。
8インチのダッチオーブンでミートソースたっぷりのナチョスを作り、さらに野菜販売所とキャンプ場の受付で買った朝採れ野菜などの串揚げを仕込んで揚げていく。コフランのテレスコーピングフォークは子ども用のオモチャだよという人がいるけれど、いや、焚き火を愉しむソロキャンプでは大活躍する最高のギアのひとつだろう。
夜の訪れ。ペトロマックスの灯油ランタンをプレピートして火を灯すと、森は一瞬にして明るさを取り戻す。遠くで子どもの笑い声が聞こえるが、ここは遠く離れたソロサイト、きっと向こうは私の存在にすら気づかないだろう。浅間山麓の自然を身近に感じながら、愉しいひとり酒宴が始まる。
串揚げとステーキが旨い 食べ過ぎてしまうソロの夜
ある渓流釣り師から聞いた話だが、渓流解禁当初の渓ではたくさんの山菜が採れるという。野営で焚き火を熾して山菜と釣れたイワナを天ぷらにして食べるのが最高の贅沢だと嬉しそうに話す彼を見て、いつか自分もやってみたいと思っていた。
そしてなかなか飲み歩けない昨今、大好物の串揚げを作ろうと思いついたのだった。地元の野菜と肉類を揚げて酒を飲むのも最高の贅沢でないか。鍋に素材が浸かるか浸からないかくらいの油、縦に揚げて揚げた側から食べるスタイルが旨過ぎる。揚げ終わったら油はよく冷まして必ず持ち帰るようにしたい。
40代になり牛肉の脂身が若干苦手になり、赤みの肉を好んで食べるようになった。数年前にオーストラリアを旅した時、現地のレストランで食べた薪で焼いたステーキの味が忘れられず、火を熾すソロキャンプでは必ず真似をするようになったのだ。常温に戻した赤身肉をじっくり焼きながら、煙の香りをつけていく。焼き上がったらアルミ箔に包んでしばらく放置するのがポイントだ。これでステーキのドリップが抑えられる。
20時になったのでキャンプ場が主催するバーに行ってみた。基本的にソロキャンプではあまり人に会うことはないが、時にこういう出会いも愉しいもの。同年代とおぼしきキャンパーと、使っているキャンプギアの話で盛り上がった。
標高1,200mの山麓、直火の炎がよりありがたい
ジンジャーのリキュールを2杯いただいたところで、またひとりに戻る。キャンプサイトに帰ると既に小さな熾火になっているグリルの上で、ビーフジャーキーがいい色に燻されていた。しっかり身が締まって硬い。それを肴にして寝酒にスコッチをストレートで飲んだ。
コオロギがランタンを飛び越えて薪の下に潜り込む。神聖な高原、虫一匹たりとも殺してはいけないような気がして探してみたが、それはもう見つからなかった。
【BEST CHOICE】ソロキャンパー必携の高性能ウォッチ
ソロキャンパーは全てが自己責任。ゆえに高性能な時計も身を助ける道具のひとつになる。ガーミンの「インスティンクト・タクティカル・カモグラファイト」はアメリカ国防総省のMIL規格の時計。裏付けられたミリタリースペックはソロキャンプで役立つ。
※詳細は https://www.garmin.co.jp/
Camp ground information
北軽井沢の聖地「outside BASE」
田中ケン氏プロデュースのキャンプ場は抜群のロケーション。広大な敷地にキャンパーを詰め込まない方針で、1サイトが広々。ブッシュクラフトサイトについてはキャンプ場に要確認。
outside BASE(あうとさいど べーす)
群馬県吾妻郡長野原町大字北軽井沢字鷹繋2032-2457
電話/03-3306-4559(予約センター)
チェックイン・チェックアウト/14時〜翌13時(テントサイト)、14時〜翌11時(コテージ)
料金/テントサイト4,500円〜(4名+車1台)、コテージ1万2,000円〜(4名+車1台)
アクセス/上信越自動車道「碓氷軽井沢IC」より約50分
HP/https://www.outsidebase.com/
※開設期間、シーズン料金等の詳細はHPでご確認ください。
Thanks/Team outside
Text/Noriy.K Photo/Kenji Mukano
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